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【公会計に関する基本的考え方】6.その他の論点/財政制度等審議会

6.その他の論点


 現在、国の会計の記録整理は、単式記帳で行われているが、企業における会計処理一般においては、複式記帳が行われている。複式記帳については、すべての財(事実)の増減変動を記録し、発生主義的財務諸表を効率的に作成するために経常取引と資本取引を仕訳する機能や、会計処理の自動検証機能(借方、貸方の残が一致する機能)が存在する。

 現金ベースで予算管理が行われる現在の国の会計においては、一元的な国庫金管理の下で、実質的に会計処理の自動検証機能が働いており、直ちに複式記帳を採用する必要性はないと考えられる。将来の課題として、必要となる財務情報の具体的な内容を見極めた上で、いかにそれを効率的に作成、開示するかという観点から、新たなシステムを導入する際のコストとメリットとの衡量の中で、必要な記帳システムの検討を行っていくべきである。

財務報告として作成される財務書類の位置づけとの関係で、将来の課題としては、財務書類の適正性を確保するための方策についても、検討する必要がある。

 公会計の基本理念の整理や公会計に共通する会計基準については、新たな省庁別財務書類の会計基準の検討の進捗を踏まえ、公会計基本小委員会において、必要な検討を実施することとしたい。

7.結び

 公会計基本小委員会においては、今後の公会計のあるべき姿について、各分野における専門的な見地から幅広い審議を行った。

 その結果として、我が国の予算、決算においては現金ベースのものは不可欠であるが、他方で、事業に要する費用の総体を把握し、財政の効率化・適正化を図る観点から、発生主義の考え方や将来推計等の手法を、予算編成や予算審議の中でいかに活用できるか幅広く検討を進めていくことが適当であるとの考え方を示している。また、国の行政や財政の状況等に関する財務報告については、引き続き、その充実に努めるとともに、それを予算の効率化・適正化に活用していくべきであり、具体的には、省庁別のフローとストックの財務書類をまずは作成すべきことについて提言を行っている。

 しかしながら、公会計の充実に関しては、未だ、道半ばである。残された具体的な課題として、

 省庁別財務報告として開示すべき情報の詳細、

 事業、施策、政策に着目した財務報告の充実、

 我が国全体の財政状況に関する財務報告の充実、

 公会計全体を通じた公会計基準のあり方、

等があり、これらの諸課題については、引き続き、公会計基本小委員会において、必要な審議を継続していくこととしたい。