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教職員数と学力の関係

 少人数学級が学力に与える効果については、主として海外において様々な実証研究が行われているが、現在まで、その効果を統計的に有意に示した研究結果は少ない41。我が国の研究42においても、少人数学級の教育効果について明確に有意な結果を示すものはなく、こうした結果を踏まえれば、少人数学級に決して過大な期待はできないと考えられる。また、費用対効果の面からすれば、学級規模縮小だけに議論と予算を費やすことは効率的であるとは考えられない。
 また、少人数学級に限らず、例えば習熟度別指導、ティーム・ティーチング43、アクティブ・ラーニング44など文部科学省が志向する教育の方向性についても、教職員数を増加させることとその効果の因果関係に関する実証研究が求められ、それに基づく要求が、毎年の予算編成過程で示される必要があるのではないか。


41 例えば、Hanushek(1996, Journal of Economic Perspectives)では、TP(先生−生徒)比率は、生徒の成績に統計的に有意な影響なしとしている。Hojo and Oshio(2010, PIE/CIS Discussion Paper)では、数学と科学のデータを利用し、学級規模は生徒の成績に、統計的に有意な影響なしと結論付けている。また、Shimizu(2002, NIER Research Bulletin)は、小5と中1の数学スコアを学級規模毎(under 20, 21-25, 26-30, 36-40)に比較し、統計的に有意な影響なしとしている。さらに、Shinozaki(2008,平成 19 年度「全国学力・学習力調査」分析報告)は、全国学力テストの千葉県のデータを利用して研究した結果、小学校の国語と算数で統計的に有意な影響が見られたが、因果関係を示す証拠にはならないと結論付けている。
42 例えば、慶應義塾大学の赤林英夫教授と日本学術振興会の中村亮介特別研究員が横浜市の小学6年生と中学3年生の全国学力テスト等のデータを用いて少人数学級の効果を検証した論文(Can Small Class Policy Close the Gap? An Empirical Analysis of Class Size Effect in Japan(The Japanese Economic Review 2014))がある。この中では、小学6年生の算数、中学3年生の国語・算数では学級規模縮小の効果が見られず、小学6年生の国語のみ、学級規模が1人小さくなると偏差値が0.1上昇する効果が確認された。また、少人数学級は裕福なエリアほど効果が高く、全国一律の実施は学力の格差を拡大する可能性がある、としている。
43 複数の教員が役割を分担し、協力し合いながら指導計画を立て、授業を行う指導形態。
44 教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、グループ・ディスカッション、ディベート、グループ・ワーク等児童・生徒の能動的な授業への参加を取り入れた教授・学習法。

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