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4.エネルギー対策特別会計

 文中、( )書きの金額は、対27年度当初予算比の増減を表す。     

 エネルギー対策特別会計には、石油石炭税収を財源とするエネルギー需給勘定、電源開発促進税収を財源とする電源開発促進勘定、原子力損害賠償支援勘定の3つの勘定がある(図1)

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 平成28年度予算では、内閣府予算、文部科学省予算、経済産業省予算及び環境省予算に計上された、政府全体の予算で見て、一般会計からエネルギー需給勘定に5,967億円(+585億円)、電源開発促進勘定に2,913億円(▲130億円)繰り入れている。
 また、特会の各勘定の歳出としては、一般会計からの受入のほか、各勘定の前年度剰余金や資金からの受入等を財源として、エネルギー需給勘定に8,062億円(+964億円)、電源開発促進勘定に3,456億円(▲39億円)、原子力損害賠償支援勘定(※)に135億円(▲68億円)を計上している。
(※)賠償金支払いに必要となる資金の金融機関からの借入に係る利子を計上。

(1)エネルギー需給勘定(石油石炭税財源)

 エネルギー需給勘定の歳出は、再生可能エネルギーや省エネルギー関連の施策を実施する「エネルギー需給構造高度化対策」と、石油製品の流通や資源開発、石油備蓄などを行う「燃料安定供給対策」とで構成されており、平成28年度の経済産業省予算では、それぞれ3,677億円(+470億円)、2,821億円(+55億円)を計上している(図1)。

マル1エネルギー需給構造高度化対策
〈省エネルギー関連予算〉

 昨年7月に決定されたエネルギーミックスを実現するためには、石油危機後並の大幅なエネルギー効率の改善が必要とされている。これは、その必要性を国民にご理解いただき国民全体で省エネに取り組むことによって、はじめて実現できるものであり、補助金のみで成し遂げられるものではない。
 従って、省エネルギー予算を考えるにあたっては、財政制度等審議会「平成28年度予算の編成等に関する建議」(平成27年11月24日)でも指摘されたように、「規制による取組を前提として、効果的・効率的に措置することが不可欠」であり、「規則的手法と組み合わせること」や「適切な出口戦略や価格低減を促す補助スキーム」を導入することが必要と考えられる。
 こうした観点から、28年度予算における省エネルギー予算では、規制とのリンクを通じ、一定水準以上に深堀りした省エネ投資に補助対象を限定することや、終期の設定を含む適切な出口戦略や価格低減を促す補助スキームを新たに導入するなど、費用対効果を高めるための工夫を行っている。
 例えば、工場や事業所等における先端的な省エネ設備・システム等の導入を支援するエネルギー使用合理化等事業者支援補助金(515億円)については、マル1大企業に対しては省エネ法の中長期計画に基づく投資に補助を限定するとともに、ベンチマーク制度の対象事業者に対しては「目指すべき高い水準」の達成に向けた取組を促すとともに、マル2トップランナー制度対象機器を導入する場合には、トップランナー基準を満たす製品に補助対象を限定することとしている。
 また、民生用燃料電池(エネファーム)導入支援補助金(95億円)については、(図2)の通り補助金の終期、終期における目標価格(補助金なしで普及可能な価格)、終期までの各年度の基準価格(段階的に引下げ)を設定し、事業者の販売価格が企業努力により基準価格を下回れば補助率を上げ、基準価格を上回れば補助率を下げるスキームにすることとしている。これは、事業者に対し、各年度において価格低減努力を促し、補助金が終了する時点では、補助金がなくても製品が普及する自立的な市場が確立されることを目指すものである。
 同様に、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)の促進等のための補助金(110億円)や、電気自動車やプラグイン・ハイブリッド自動車等のクリーンエネルギー自動車促進のための補助金(137億円)についても、終期や補助単価の設定等において工夫を凝らすことで、自立的な市場の早期確立を促すこととしている。

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〈再生可能エネルギー関連予算〉

 再生可能エネルギーについては、エネルギー自給率向上やCO2排出量の低減に寄与する重要なエネルギーであり、エネルギーミックスを踏まえた導入拡大を図る必要がある。
 こうした観点から、平成28年度予算においては、地熱や水力、風力発電の実証や開発支援等に重点的に措置している。
 具体的には、ベースロード電源であり、我が国に多くの資源が賦存している地熱資源のポテンシャル調査や掘削調査等に対する支援を行う事業に100億円を措置するとともに、設備更新の時期を迎える水力発電施設について、最新技術を用いた設備への更新や改造を促す予算を計上している(23億円)。また、次世代浮体式洋上風力の実証等を実施するための予算として75億円を計上している。
 この他、再生可能エネルギー固定価格買取制度において、電力多消費産業に対する賦課金の減免措置のための経費として483億円を計上している。

マル2燃料安定供給対策
〈資源開発〉

 エネルギーの安定供給を図る上で、足元の油価下落は新たな資源獲得を進める好機であることから、平成28年度予算においては石油・天然ガスに係る権益獲得に向けたリスクマネーの供給を強化することとしている(560億円)。
 また、国内資源についても、日本周辺海域に相当量が存在すると期待されるメタンハイドレートについて、将来の安定的なエネルギー資源として利用することを目的とした、海洋産出試験や資源回収技術の調査等を実施することとしている(130億円)。

〈燃料備蓄〉

 国は、石油備蓄法に基づき、約5,000万klの国家備蓄石油を保有しており、そのうち約3,400万klを全国10ヵ所にある国家石油備蓄基地に蔵置している。
 国家備蓄石油の管理に係る予算については、行政事業レビュー(平成27年11月)において、施設の管理コスト削減の必要性を指摘されたことを踏まえ、契約内容や修繕計画の見直し等を実施した結果、28年度は425億円(対要求▲14億円)を措置している。

〈コンビナート事業再編・強靭化〉

 石油コンビナート等の生産性と危機対応力を向上させるべく、平成27年度補正予算で70億円、平成28年度予算で130億円を措置し、マル1複数製油所等の事業再編・統合運営による設備最適化投資や、マル2製油所単位での残油処理能力等に優れた次世代型製油所モデルの構築投資、マル3首都直下地震等に備え被害を最小化し早期の石油供給機能回復に必要な製油所等の強靭化投資、などを支援することとしている。

(2)電源開発促進勘定(電源開発促進税財源)

 経済産業省における電源開発促進勘定の歳出は、発電設備の建設と運転を円滑にすることを目的とする「電源立地対策」と、発電用施設の利用促進と安全確保等を目的とする「電源利用対策」とで構成されており、平成28年度予算では、それぞれ1,593億円(▲26億円)、159億円(▲11億円)を計上している(図1)。
 「電源立地対策」の過半を占める電源立地地域対策交付金(868.9億円)は、発電用施設等の立地の促進及び運転の円滑化を図るため、発電用施設等の立地自治体に対して、設備容量や発電電力量などによって算定される交付金である。これについて平成28年度予算では、交付金本来の趣旨に鑑みて、廃炉が行われた原子炉に係る交付金の支給を停止するとともに、停止している原子力発電所に対する「みなし交付金」について、稼働実績や実際の運転状況等を踏まえ、引き下げを実施することとしている。
 他方、市町村の財政に占める交付金の割合が高いことに鑑み、こうした見直しは、激変緩和措置と併せて実施することとしている。具体的には、廃炉が行われた市町村に対しては、「原子力発電施設等立地地域基盤整備支援事業」を通じ、28年度は平成27年度予算額の8割を交付し、以後、10年間でこれを段階的に縮減・廃止することとしている他、エネルギー需給勘定において、新しいエネルギービジネスの導入等を支援するための「エネルギー構造転換理解促進事業(45億円)」を新設することとしている。また、「みなし交付金」引下げに際しても、市町村に対しては、5年間かけて段階的に引き下げるといった配慮をしている。
 なお、電源立地関係の各種交付金については、行政事業連レビューの指摘を受け、経済産業省において、適切な成果目標の設定や事後評価の徹底等のPDCAサイクルの強化、交付金の交付要綱等のHP掲載等の透明性向上に向けた措置等を実施することとしている。

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