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令和4年度税制改正の大綱(5/8)

国際課税

過大支払利子税制の見直し

(国税)

対象純支払利子等に係る課税の特例(いわゆる「過大支払利子税制」)について、外国法人の法人税の課税対象とされる次に掲げる国内源泉所得に係る所得の金額についても適用する。

  • (1)恒久的施設を有する外国法人に係る恒久的施設帰属所得以外の国内源泉所得

  • (2)恒久的施設を有しない外国法人に係る国内源泉所得

(地方税)

法人住民税及び法人事業税について、対象純支払利子等に係る課税の特例(いわゆる「過大支払利子税制」)の見直しに関する国税の取扱いに準じて所要の措置を講ずる。

外国子会社合算税制の見直し

(国税)

特定外国関係会社等の判定における保険委託者特例に関する「一の保険会社等」及び「その一の保険会社等との間に特定資本関係のある保険会社等」によってその発行済株式等の全部を直接又は間接に保有されている外国関係会社である旨の要件について、次の見直しを行う。

  • (1)上記の「一の保険会社等」について、その範囲に保険会社等に発行済株式等の全部を直接又は間接に保有されている内国法人(保険会社等を除く。以下「判定対象内国法人」という。)で、次に掲げる要件の全てを満たすものを加える。

    • 1判定対象内国法人が、専ら100%内国法人グループ(判定対象内国法人及びその判定対象内国法人との間に特定資本関係のある内国法人をいう。)によってその発行済株式等の50%超を直接又は間接に保有されている保険業又はこれに関連する事業を主たる事業とする外国関係会社(その判定対象内国法人によってその発行済株式等の全部又は一部を直接又は間接に保有されているものに限る。)の経営管理及びその附帯業務を行っていること。

    • 2上記1の100%内国法人グループに係る他の内国法人(上記1の外国関係会社の発行済株式等の全部又は一部を直接又は間接に保有するものに限るものとし、保険会社等を除く。(2)において同じ。)が、専らその外国関係会社の経営管理及びその附帯業務を行っていること。

  • (2)上記の「その一の保険会社等との間に特定資本関係のある保険会社等」について、その範囲に上記(1)1の100%内国法人グループに係る他の内国法人で、専ら上記(1)1の外国関係会社の経営管理及びその附帯業務を行っているものを加える。

(注1)上記の「保険会社等」とは、内国法人で保険業を主たる事業とするもの又は保険持株会社に該当するものをいう。

(注2)上記の「特定資本関係」とは、二の法人のいずれか一方の法人が他方の法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有する関係等をいう。

(注3)特定外国関係会社等の判定におけるロイズ特例について、上記と同様の見直しを行う。

(注4)上記の改正は、外国関係会社の令和4年4月1日以後に開始する事業年度について適用する。

(地方税)

法人住民税及び法人事業税について、外国子会社合算税制の見直しに関する国税の取扱いに準じて所要の措置を講ずる。

その他

(国税)

  • (1)子会社からの配当と子会社株式の譲渡を組み合わせた租税回避を防止するための措置(子会社株式簿価減額特例)について、次の見直しを行う。

    • 1適用除外要件(特定支配日利益剰余金額要件)の判定

      • 子法人の対象配当等の額に係る決議日等前に最後に終了した事業年度(以下「直前事業年度」という。)終了の日の翌日からその対象配当等の額を受けるまでの期間(イにおいて「対象期間」という。)内にその子法人の利益剰余金の額が増加した場合において、対象期間内にその子法人の株主等がその子法人から受ける配当等の額に係る基準時のいずれかがその翌日以後であるときは、直前事業年度の貸借対照表に計上されている利益剰余金の額に期中増加利益剰余金額(その対象期間内に増加したその子法人の利益剰余金の額とその対象期間内にその子法人の株主等がその子法人から受ける配当等の額に対応して減少したその子法人の利益剰余金の額の合計額をいう。以下同じ。)を加算することができることとする。ただし、次に掲げる金額を証する書類を保存している場合に限る。

        • (イ)期中増加利益剰余金額

        • (ロ)特定支配前の期中増加利益剰余金額(特定支配日の属する事業年度開始の日から特定支配日の前日までの期間((ロ)において「特定支配前対象期間」という。)内にその子法人の利益剰余金の額が増加した場合において、その子法人の株主等がその子法人から受ける配当等の額(その基準時が特定支配前対象期間内にあるものに限る。)があるときにおけるその特定支配前対象期間内に増加したその子法人の利益剰余金の額とその特定支配前対象期間内にその子法人の株主等がその子法人から受ける配当等の額に対応して減少したその子法人の利益剰余金の額の合計額をいう。以下同じ。)

      • 上記イの適用を受ける場合には、特定支配日前に最後に終了した事業年度の貸借対照表に計上されている利益剰余金の額に特定支配前の期中増加利益剰余金額を加算する。

    • 2適用除外基準を満たす子会社を経由した配当等を用いた本制度の回避を防止するための措置(適用回避防止規定)について、次のいずれかに該当する場合には適用しないこととする。

      • 対象配当等の額に係る基準時以前10年以内に子法人との間にその子法人による特定支配関係があった法人(以下「孫法人等」という。)の全てがその設立の時からその基準時(その基準時前に特定支配関係を有しなくなった孫法人等にあっては、最後に特定支配関係を有しなくなった時の直前)まで継続してその子法人との間にその子法人による特定支配関係がある法人(イにおいて「継続関係法人」という。)である場合(その子法人又はその孫法人等を合併法人とする合併で、継続関係法人でない法人を被合併法人とするものが行われていた場合等を除く。)

      • 次のいずれにも該当する場合

        • (イ)その親法人と孫法人との間に、その孫法人の設立の時からその孫法人から子法人に支払う配当等の額に係る基準時まで継続して親法人による特定支配関係がある場合

        • (ロ)その基準時以前10年以内にその孫法人との間にその孫法人による特定支配関係があった法人(以下「ひ孫法人等」という。)の全てがその設立の時からその基準時(その基準時前に特定支配関係を有しなくなったひ孫法人等にあっては、最後に特定支配関係を有しなくなった時の直前)まで継続してその孫法人との間にその孫法人による特定支配関係がある法人((ロ)において「継続関係法人」という。)である場合(その孫法人又はそのひ孫法人等を合併法人とする合併で、継続関係法人でない法人を被合併法人とするものが行われていた場合等を除く。)

    • 3その他所要の措置を講ずる。

    (注)上記の改正は、令和2年4月1日以後に開始する事業年度において受ける対象配当等の額について適用する。

  • (2)グループ通算制度の施行に伴い、同制度における外国税額控除について、次の見直しを行う。

    • 1税務当局が調査を行った結果、進行事業年度調整措置を適用すべきと認める場合には、通算法人に対し、その調査結果の内容(進行事業年度調整措置を適用すべきと認めた金額及びその理由を含む。)を説明するものとする。

    • 2上記1の説明が行われた日の属する事業年度の期限内申告書に添付された書類に進行事業年度調整措置を適用した金額(税額控除不足額相当額又は税額控除超過額相当額)として記載された金額等がその説明の内容と異なる場合には、その事業年度に係る税額控除不足額相当額又は税額控除超過額相当額に係る固定措置を不適用とする。

    • 3税額控除額等(税額控除額、税額控除不足額相当額又は税額控除超過額相当額をいう。以下同じ。)に係る固定措置が不適用とされた事業年度について、その不適用とされたことに伴い修正申告書の提出又は更正が行われた場合には、原則として、その修正申告書又はその更正に係る更正通知書に税額控除額等として記載された金額をもって本固定措置を再度適用する。

    • 4その他所要の措置を講ずる。

  • (3)金融商品取引法に規定する市場デリバティブ取引又は店頭デリバティブ取引の決済により生ずる所得は、所得税法及び法人税法に規定する国内源泉所得である「国内資産の運用・保有所得」に含まれないことを法令上明確化する。

    (注)外国税額控除における国外源泉所得である「国外資産の運用・保有所得」についても同様とする。

  • (4)非居住者又は外国法人が振替特定目的信託受益権のうち社債的受益権に該当するものにつき支払を受ける剰余金の配当等の非課税措置の適用期限を2年延長する。

  • (5)令和3年に開催される東京オリンピック競技大会又は東京パラリンピック競技大会に参加等をする非居住者及び外国法人に係る課税の特例は、適用期限の到来をもって廃止する。

  • (6)非居住者に係る金融口座情報の自動的交換のための報告制度等について、次の措置を講ずる。

    • 1報告金融機関等の範囲に、海外投資家等特例業務届出者及び届出をして移行期間特例業務を行う者等を加える。

    • 2報告金融機関等の報告事項の提供方法から、磁気テープを提出する方法を除外する。

      (注)上場株式等の配当等に係る租税条約等の適用手続におけるその配当等の支払の取扱者のその支払を受ける者等に関する事項の提供方法についても同様とする。

  • (7)租税条約等の相手国等の税務当局との情報交換において、その租税条約等に定めるところにより、その相手国等の法令の規定により収集された個人番号を受領することができること及びその手続を法令上明確化する。

(地方税)

  • (1)グループ通算制度の施行に伴い、同制度における法人住民税の外国税額控除について、次の見直しを行う。

    • 1国税において、税務当局が調査を行った結果、進行事業年度調整措置を適用すべきと認めた内容と異なる申告が行われた場合にその事業年度に係る税額控除不足額相当額又は税額控除超過額相当額に係る固定措置が不適用とされるときには、その事業年度に係る法人住民税の税額控除不足額相当額又は税額控除超過額相当額に係る固定措置を不適用とする。

    • 2法人住民税の税額控除額等(税額控除額、税額控除不足額相当額又は税額控除超過額相当額をいう。以下同じ。)に係る固定措置が不適用とされた事業年度について、その不適用とされたことに伴い修正申告書の提出又は更正が行われた場合には、原則として、その修正申告書に税額控除額等として記載された金額又はその更正に係る税額控除額等とされた金額をもって本固定措置を再度適用する。

    • 3その他所要の措置を講ずる。

  • (2)法人事業税において損金算入の対象となる外国法人税額等の範囲の明確化

    外国税額控除の適用を受ける法人に係る法人事業税の所得等の計算上損金の額に算入される外国法人税額等には、外国法人税を課されたことを証する書類を保存していない等の理由により法人税額から控除できない金額等は含まれないことを明確化する。

  • (3)令和3年に開催される東京オリンピック競技大会又は東京パラリンピック競技大会に参加等をする非居住者及び外国法人に係る課税の特例は、適用期限の到来をもって廃止する。

  • (4)個人住民税、法人住民税及び事業税について、国税における諸制度の取扱いに準じて所要の措置を講ずる。