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平成30年度税制改正の大綱(5/8)

五 国際課税

1 恒久的施設関連規定の見直し

  • (国税)

    恒久的施設(Permanent Establishment)(以下1において「PE」という。)関連規定について、次の見直しを行う。

    • (1)PEの定義の見直し

      • @ PE認定の人為的回避防止措置の導入

        • イ いわゆる代理人PEについて、その範囲に、国内において非居住者又は外国法人(以下(1)において「非居住者等」という。)のために、その事業に関し反復して契約を締結し、又は一定の契約の締結のために反復して主要な役割を果たす者で、これらの契約が非居住者等の資産の所有権の移転等に関する契約である場合における当該者を加えるとともに、独立代理人の範囲から、専ら又は主として一又は二以上の自己と密接に関連する者に代わって行動する者を除外する。

        • (注)上記の「密接に関連する者」とは、その個人又は法人との間に直接・間接の持分割合50%超の関係その他の支配・被支配の関係にある者をいう。

        • ロ 保管、展示、引渡しその他の特定の活動を行うことのみを目的として使用する事業を行う一定の場所等は、PEに含まれないものとする。ただし、その活動が非居住者等の事業の遂行にとって準備的又は補助的な機能を有するものである場合に限る。

        • (注)上記の取扱いは、事業を行う一定の場所を有する非居住者等と密接に関連する者が当該一定の場所等において事業活動を行う等の場合において、当該一定の場所等がその者のPEを構成する等の一定の要件に該当するとき(当該事業活動が一体的な業務の一部として補完的な機能を果たすときに限る。)は、当該一定の場所については、適用しない。

        • ハ いわゆる建設PEの期間要件について、契約を分割して建設工事等の期間を1年以下とすることにより建設PEを構成しないことがその契約の分割の主たる目的の一つであった場合には、分割された期間を合計して判定を行うこととする。

      • A 租税条約上のPEの定義と異なる場合の調整規定等の整備

        • イ 我が国が締結した租税条約において、国内法上のPEと異なる定めがある場合には、その租税条約の適用を受ける非居住者等については、その租税条約上のPEを国内法上のPEとする。外国居住者等所得相互免除法についても同様とする。

        • ロ いわゆる支店PEについて、その範囲を国内にある支店、事務所等その他事業を行う一定の場所に改める。

        • ハ 建設PEについて、建設PEを構成する場所を、国内にある建設工事を行う場所等に限定する。

        • ニ 代理人PEについて、在庫保有代理人及び注文取得代理人の定義に関する規定を削除するとともに、同業者代理人に関する措置を廃止する等の措置を講ずる。

    • (2)その他

      • @ 外国組合員に対する課税の特例について、PE帰属所得(投資組合契約に基づいて行う事業に係るPEに帰せられる一定のものに限る。)に対する所得税及び法人税を非課税とする措置に改組する。

      • A その他所要の措置を講ずる。

    • (注)上記の改正は、平成31年分以後の所得税及び平成31年1月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用する。

  • (地方税)

    個人住民税、法人住民税及び事業税について、PE関連規定の見直しに関する国税の取扱いに準じて所要の措置を講ずる。

    (注)上記の改正は、平成32年度分以後の個人住民税並びに平成31年1月1日以後に開始する事業年度分の法人住民税及び事業税について適用する。

2 外国子会社合算税制等の見直し

  • (国税)

    内国法人の外国関係会社に係る所得の課税の特例(いわゆる「外国子会社合算税制」)等について、次の見直しを行う。

    • (1)経済活動基準

      株式等の保有を主たる事業とする外国関係会社のうち外国金融子会社等に相当する金融持株会社について、事業基準を満たすこととする。

    • (2)会社単位の合算課税制度における適用対象金額

      • @ 一定の株式譲渡益の適用対象金額からの控除

        特定外国関係会社又は対象外国関係会社(注1)(以下@において「特定外国関係会社等」という。)が、外国関係会社に該当することとなった外国法人の統合に関する基本方針及び統合に伴う組織再編の実施方法等を記載した計画書に基づいて、一定の期間内(注2・3)に、その有する対象株式等(注4)を当該特定外国関係会社等に係る内国法人又は他の外国関係会社(特定外国関係会社等に該当するものを除く。)に譲渡をした場合において、その譲渡の日から2年以内に当該譲渡をした特定外国関係会社等の解散が見込まれること等の要件を満たすときは、その対象株式等の譲渡による利益の額(注5)を、当該譲渡をした特定外国関係会社等の適用対象金額の計算上控除することとする。

      • (注1)一定の内国法人が株主等である特定外国関係会社又は対象外国関係会社を除く。

      • (注2)居住者等株主等による当該特定外国関係会社等に係る直接・間接の株式保有割合等が50%を超えることとなった場合における当該超えることとなった日(以下@において「特定関係発生日」という。)から原則として当該特定関係発生日以後2年を経過する日までの期間内の日を含む各事業年度とする。

      • (注3)特定外国関係会社等の平成30年4月1日から平成32年3月31日までの間に開始する各事業年度については、特定関係発生日から当該特定関係発生日以後5年を経過する日までの期間内の日を含む各事業年度とする。

      • (注4)外国関係会社(特定外国関係会社等に該当するものを除く。)の株式等で特定関係発生日に有するものをいう。

      • (注5)対象株式等を発行した外国関係会社の合併、解散による残余財産の分配その他の事由に伴って特定外国関係会社等において生ずる対象株式等の譲渡による利益の額を除く。

      • A 無税国に所在する外国関係会社の租税負担割合

        無税国に所在する外国関係会社の租税負担割合は、その外国関係会社に係る各事業年度の租税の額の所得の金額(決算に基づく所得の金額につき、税法令がある国に所在する外国関係会社が計算する場合と同様の調整を加えて計算した額)に対する割合とする。この場合において、その外国関係会社が受ける配当等の額があるときは、その配当等の額はその所得の金額から減算することとし、その所得の金額がないとき又は欠損の金額となるときは、その外国関係会社に係る租税負担割合は零とする。

    • (3)部分合算課税制度における部分適用対象金額

      • @ 関連者等に対する金銭の貸付けに係る利子

        部分合算課税の対象としないこととされる関連者等に対する金銭の貸付けに係る利子について、その関連者等の範囲から個人を除外する。

      • A 解散した外国金融子会社等に係る部分適用対象金額

        外国金融子会社等である部分対象外国関係会社が解散により外国金融子会社等に該当しない部分対象外国関係会社に該当することとなった場合には、その該当することとなった日から原則として同日以後3年を経過する日までの期間内の日を含む事業年度の一定の金融所得について、部分合算課税の対象としないこととする。

    • (4)外国金融子会社等に係る部分合算課税制度

      • @ 外国金融子会社等に該当する保険子会社の要件

        英国ロイズ市場において、現地の法令に従って設立された保険引受子会社と管理運営子会社が一体となって保険業を営む場合には、これらを一体として外国金融子会社等の該当要件の判定を行うこととする。

        英国ロイズ市場以外で、保険委託者と保険受託者を別会社とした上で、現地の法令に従って、これらが一体となって保険業を営む場合も同様とする。

      • A 外国金融子会社等に該当する外国金融持株会社の要件

        • イ 一の内国法人による100%保有要件

          対象となる部分対象外国関係会社に関する「一の内国法人によってその発行済株式等の全部を直接又は外国法人を通じて間接に保有されている部分対象外国関係会社である」旨の要件について、「一の内国法人及び当該一の内国法人との間に発行済株式等の全部を保有する等の関係のある内国法人によってその発行済株式等の全部を直接又は外国法人を通じて間接に保有されている部分対象外国関係会社である」旨の要件に見直す。

        • ロ 外国金融機関等に対する経営管理要件及び経営管理業務従事要件

          その本店所在地国の法令に準拠して専ら外国金融機関(発行済株式等の50%超を有するものに限る。)及び他の外国金融持株会社(発行済株式等の50%超を有するものに限る。)の経営管理等を行う旨の要件(経営管理要件)並びにこれらの経営管理を的確に遂行するために必要と認められる業務の全てに従事している旨の要件(経営管理業務従事要件)について、その対象に一定の中間持株会社が発行済株式等の50%超を有する外国金融機関及び一定の中間持株会社が発行済株式等の50%超を有する他の外国金融持株会社を加える。

        • ハ 75%要件

          総資産の帳簿価額のうちに外国金融機関等の株式等の帳簿価額の占める割合が75%を超える旨の要件について、(イ)に掲げる金額の(ロ)に掲げる金額に対する割合が75%を超え、かつ、(ハ)に掲げる金額の(ニ)に掲げる金額に対する割合が50%を超える旨の要件に見直す。

        • (イ)その有する外国金融機関(発行済株式等の50%超を有するものに限る。以下ハにおいて同じ。)、他の外国金融持株会社(発行済株式等の50%超を有するものに限る。以下ハにおいて同じ。)、一定の中間持株会社(発行済株式等の50%超を有するものに限る。以下ハにおいて同じ。)及び一定の従属関連業務子会社(発行済株式等の50%超を有するものに限る。以下ハにおいて同じ。)の株式等の帳簿価額の合計額

        • (ロ)その総資産の額から外国金融機関、他の外国金融持株会社、一定の中間持株会社及び一定の従属関連業務子会社に対する貸付金の額を控除した残額

        • (ハ)その有する外国金融機関、他の外国金融持株会社及び一定の中間持株会社の株式等の帳簿価額の合計額

        • (ニ)総資産の額から外国金融機関、他の外国金融持株会社及び一定の中間持株会社に対する貸付金の額を控除した残額

        • ニ 一定の中間持株会社の範囲

          上記ロ及びハの「一定の中間持株会社」は、次に掲げる要件の全てに該当する特定外国関係会社又は対象外国関係会社とする。

        • (イ)その発行済株式等の50%超が外国金融持株会社の判定対象となる部分対象外国関係会社(以下ニにおいて「判定対象金融持株会社」という。)によって保有されていること。

        • (ロ)その本店所在地国が判定対象金融持株会社又はいずれかの外国金融機関(一定の中間持株会社に該当するかどうかの判定対象となる中間持株会社(以下ニにおいて「判定対象中間持株会社」という。)が発行済株式等の50%超を有するものに限る。以下ニにおいて同じ。)の本店所在地国と同一であること。

        • (ハ)判定対象中間持株会社におけるaに掲げる金額のbに掲げる金額に対する割合が75%を超えること。

          • a その有する外国金融機関、他の外国金融持株会社(発行済株式等の50%超を有するものに限る。以下ニにおいて同じ。)及び一定の従属関連業務子会社(発行済株式等の50%超を有するものに限る。bにおいて同じ。)の株式等の帳簿価額の合計額

          • b その総資産の額から外国金融機関、他の外国金融持株会社及び一定の従属関連業務子会社に対する貸付金の額を控除した残額

        • (ニ)判定対象中間持株会社におけるaに掲げる金額のbに掲げる金額に対する割合が50%を超えること。

          • a その有する外国金融機関及び他の外国金融持株会社の株式等の帳簿価額の合計額

          • b その総資産の額から外国金融機関及び他の外国金融持株会社に対する貸付金の額を控除した残額

        • (ホ)一又は二以上の外国金融機関の株式等を有すること。

        • ホ 一定の従属関連業務子会社の範囲

          上記ハ及びニの「一定の従属関連業務子会社」は、関連者の営む事業に従属する業務又は銀行業、第一種金融商品取引業若しくは保険業に付随し、若しくは関連する業務を行う外国関係会社のうち一定の要件を満たすものとする。

        • ヘ 外国金融機関に対する出資規制がある場合の外国金融持株会社の判定

          外国金融持株会社の判定における上記ロ及びハの要件並びに一定の中間持株会社の判定における上記ニ(ロ)から(ホ)までの要件の対象とされる発行済株式等の50%超を有する外国金融機関には、次に掲げる要件の全てに該当する外国法人が含まれることとする。

          • (イ)その本店所在地国の法令に準拠して銀行業、第一種金融商品取引業又は保険業を行う外国法人で、その本店所在地国においてその役員又は使用人がこれらの事業を的確に遂行するために通常必要と認められる業務の全てに従事している部分対象外国関係会社に相当すること。

          • (ロ)法令又は慣行その他やむを得ない理由により、その発行済株式等の50%超の保有が認められないこと。

          • (ハ)その議決権の40%以上を有し、かつ、次のいずれかの要件に該当すること。

            • a その財務及び事業の方針の決定を支配していることが推測される一定の事実が存在すること。

            • b その財務及び事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができることが推測される一定の事実が存在すること。

        • ト 外国関係会社への該当

          上記ヘにより外国金融持株会社及び一定の中間持株会社の判定において発行済株式等の50%超を有する外国金融機関に含まれることとされる外国法人については、本税制の適用上、外国関係会社に該当することとする。

    • B 異常な水準の資本に係る所得の課税

      対象となる部分対象外国関係会社に関する「一の内国法人によってその発行済株式等の全部を直接又は外国法人を通じて間接に保有されている部分対象外国関係会社である」旨の要件について、上記Aイと同様の見直しを行う。

    • (5)二重課税調整

      内国法人が合算課税の適用を受ける場合に、外国関係会社に対して課された我が国の所得税等、地方法人税及び法人住民税(現行:所得税等)の額のうち合算対象とされた所得に対応する部分に相当する金額をその内国法人の法人税及び地方法人税(現行:法人税)の額から控除することとする。

    • (6)その他

      上記の見直しのほか、内国法人に係る外国子会社合算税制について所要の措置を講ずる。

    • (7)関連制度の整備

      居住者に係る外国子会社合算税制、特殊関係株主等である内国法人等に係る外国関係法人に係る所得の課税の特例等の関連制度につき、上記の見直しを踏まえた所要の措置を講ずる。

    • (注)上記の改正は、外国関係会社の平成30年4月1日以後に開始する事業年度から適用する。

  • (地方税)

    内国法人の外国関係会社に係る所得の課税の特例(いわゆる「外国子会社合算税制」)等について、次の見直しを行う。

    • (1)二重課税調整

      内国法人が合算課税の適用を受ける場合に、外国関係会社に対して課された我が国の所得税等、地方法人税及び法人住民税の額のうち合算対象とされた所得に対応する部分に相当する金額のうち、その内国法人の法人税及び地方法人税の額から控除しきれなかった金額を、法人住民税の額から控除することとする。

    • (2)その他

      上記の見直しのほか、個人住民税、法人住民税及び事業税について、外国子会社合算税制等の見直しに関する国税の取扱いに準じて所要の措置を講ずる。

    • (注)上記の改正は、外国関係会社の平成30年4月1日以後に開始する事業年度から適用する。

3 特定目的会社の利益の配当等に係る二重課税調整の改正

  • (国税)

    • (1)特定目的会社の利益の配当の額に係る所得税の額から控除する外国法人税(その特定目的会社が納付した外国法人税をいう。以下3において同じ。)の額は、当該利益の配当の額に係る所得税の額に当該特定目的会社の外貨建資産への運用割合を乗じた額を限度とする。

    • (2)特定目的会社の利益の配当の額に係る所得税の額から控除された外国法人税の額のうち、その支払を受ける者の利益の配当の額に対応する部分の額に相当する金額は、その者のその年分の所得税の額から控除できることとする(法人税についても同様とする。)。

    • (3)上記(2)の支払を受ける者がその支払を受ける特定目的会社の利益の配当の額に係る源泉徴収税額は、上記(2)により控除できる外国法人税の額に相当する金額の控除後の金額とする。

    • (4)特定目的会社は、その利益の配当の額の支払を受ける者に対し、上記(2)により控除できる外国法人税の額に相当する金額を通知しなければならないこととする。

    • (5)その他所要の措置を講ずる。

    • (注1)上記の改正は、投資法人の配当等に係る二重課税調整、特定目的信託の利益の分配に係る二重課税調整及び特定投資信託の収益の分配に係る二重課税調整についても同様とする。

    • (注2)上記の改正は、平成32年1月1日以後に支払われる利益の配当等について適用する。

4 その他

  • (国税)

    • (1)BEPS防止措置実施条約等の実施に係る国内法の整備

      • @ 非居住者又は外国法人に係る不動産関連法人の株式等譲渡益課税について、適用対象となる株式等の判定時期を、株式等の譲渡の日前365日以内のいずれかの時に見直す。

      • (注)上記の改正は、平成31年分以後の所得税及び平成30年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用する。

      • A 第三国に所在する恒久的施設に帰せられる所得に対して租税条約の特典が制限される場合に国税庁長官から当該特典を受けるための手続の整備を行う等の所要の措置を講ずる。

    • (2)租税条約等における提供済情報の外国当局による利用範囲の明確化及び要件・手続の整備

      租税条約等に基づき提供した情報に係る条約相手国による犯則事件等以外の目的での利用について、その範囲を明確化し、財務大臣の同意等を要件として許容することとする。

    • (3)店頭デリバティブ取引に係る証拠金の利子の非課税制度の適用期限を3年延長する。

    • (4)公的年金等控除の見直しに伴い、非居住者の公的年金等について、分離課税の対象となる金額等の算定における控除額計算の基礎となる額を、65歳未満の者については5万円(現行:6万円)に、65歳以上の者については9万5千円(現行:10万円)に、それぞれ引き下げる。(再掲)

    • (注)上記の改正は、平成32年分以後の所得税について適用する。