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日米租税条約(新条約)の署名について

 

 

平成15年11月
財  務  省

 
日米租税条約(新条約)の署名について
 

1.

 米国時間11月6日(木)、ワシントンにおいて、日本と米国との間で、「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の条約」の署名が行われました。

2.

 現在、我が国においては、グローバル化する経済の中で、新しいフロンティアの拡大と生産資源のダイナミックな再配分を通じた産業競争力の再構築が求められています。こうした視点を踏まえ、経済社会の活性化に向けて税制面において21世紀に相応しい包括的かつ抜本的な改革に取り組んでおり、平成15年度においては、我が国産業の国際競争力の強化や構造改革を進める観点から研究開発税制、設備投資税制等を集中的・重点的に講じたところであります。
 更に、こうした政策を一層推し進めるため、戦略的なパートナーである米国との投資交流を税制面からも支援する目的でおよそ30年ぶりに日米租税条約の改正を行うことになりました。

3.

 今回の新条約は、現行条約の内容を全面的に改め、OECD条約モデルを基本としつつも、日本と米国の緊密な経済関係を反映して、積極的に投資交流の促進を図るため、投資所得に対する源泉地国課税を大幅に軽減するとともに、条約濫用による租税回避の防止規定を設けるなど、現行条約やこれまでの我が国の租税条約例にない新しい規定が盛り込まれています。新条約の主な内容は次のとおりです。

 

(1) 配当所得

 

1

配当に対する限度税率の引下げ(一般の配当15%⇒10%、親子間配当10%⇒5%)

 

2

一定の親子間配当(持株割合50%超の子会社からの配当)については源泉地国免税

(2) 利子所得
 一定の主体(政府、中央銀行、一定の金融機関等)が受け取る利子所得については源泉地国免税
(3) 使用料
 使用料については、一律源泉地国免税
(4) 特典制限
 投資所得に対する源泉地国課税が大幅に軽減したことに伴い、条約特典の濫用のおそれが増大すると考えられることから、これを防止するため、条約上の特典を享受できる者を一定の要件を満たす適格な居住者等に限定しています。
(5) その他
 上記の他に次のような規定を設けています。
1両国間で課税上の取扱いが異なる事業体への対応
2移転価格課税の処分の期間制限(課税年度終了時から7年以内に調査開始に制限)
3支店利子税(日本の金融機関等の在米支店に係る支店利子税を免税)
4情報交換のための調査権限の創設
5国内法の実質的な改正等に伴う問題解決のための協議
6保険に係る米国の連邦消費税の取扱い(日本の保険会社に係る連邦消費税を免税)
7匿名組合に対する課税の取扱い(日本の源泉地国課税を確保)

 

 

4.

 新条約は、両国において国内法の手続きに従って承認された後、両国間で批准書を交換した日から効力が生じます。新条約が2004年4月1日以降同年内に発効した場合には、我が国においては、新条約は次のものに適用されます。

 

(1) 源泉徴収される租税に関しては、2005年1月1日以後に租税を課される額
(2) 源泉徴収されない所得に対する租税及び事業税に関しては、2005年1月1日以後に開始する各課税年度の所得
 

【参考】

「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とアメリカ合衆国との間の条約」(和文(PDF:199KB)英文(PDF:77KB)) 
「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とアメリカ合衆国との間の条約に関する交換公文」(和文(PDF:60KB)英文(PDF:12KB)) 

  

 
問い合わせ先 : 主税局国際租税課
03-3581-4111  内線 5007、5335