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税制メルマガ第149号 2022年4月4日

【税制メルマガ第149号】 
 2022年4月4日

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◆目次
1 はじめに
2 税制をめぐる最近の動き
3 動画「もっと知りたい税のこと」の見どころ
4 若手コラム
5 編集後記

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1 はじめに

 税制メールマガジンをご覧いただいている皆さん、こんにちは。財務省主税局総務課の企画官(広報担当)の和田良隆です。

 第149号の税制メールマガジンをお届けさせていただきます。

 新年度を迎え、皆様、いかがお過ごしでしょうか。税制関係では、去る3月22日、令和4年度税制改正の内容を含む「所得税法等の一部を改正する法律」が国会において成立いたしました。

 令和4年度税制改正の内容については、最近、講演をさせていただく機会が多くあります(神田法人会様、税務研究協会様(大宮、東京)など)。
 一回、60分~90分程度の時間をいただきますが、賃上げ促進税制、オープンイノベーション税制、住宅ローン控除、納税環境整備(インボイス制度含む)などを中心にご説明させていただいています。
 その際、できる限り、改正の背景事情も含めてお話しするようにしていますが、聴衆の方の前提知識を踏まえて、どこまで付加価値を付けてお伝えできているか、いつも不安というのが偽らざる気持ちです。効果的な広報の難しさを痛感しています。
 その点、やはり重要なのは、訴求したいターゲット層に対して、多様な広報媒体の中から適切に選択して働きかけていく、ということだと思っています。

 その一環として、4月1日(金)に、従前からあったパンフレット「もっと知りたい税のこと」を動画にして公表いたしました(下記リンクをご参照)。
 https://www.youtube.com/watch?v=zB37i8vBAzU

 我々としては、税制の一般的な知識について、パンフレット(紙媒体)だけでなく、若年の方も含めてより幅広くスマホで気軽にご覧いただきたいという思いで作成しました。
 パンフレット版からは少し情報量(文字数)を落としつつも、是非記憶に留めていただきたい点を中心に、インフォグラフィクス、ピクトグラムを活用し、動きを付けた動画に仕上がっています。
 また、概要欄に章毎の開始時間のリンクを付けているので、所得税や法人税、国際課税といった一部分をピンポイントで視聴することも可能となっています。是非ご覧いただければ幸いです。改善点などについてご意見をいただければ、今後の参考にしていきたいと思います。

 現在、令和4年度税制改正についても動画の作成に取り組んでいます。講演でお話しさせていただき大変光栄な限りですが、動画が完成すれば、より多くの方に税制改正の内容について知っていただけるのではないかと期待しています。
 今回も本編の前に長々と失礼いたしました。それでは皆さん、今月号の税制メールマガジンをお楽しみ下さい! 

 主税局総務課 企画官 和田良隆
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2 税制をめぐる最近の動き  

掲載日
 内容
4月1日 動画「もっと知りたい税のこと」を公開しました
令和3年度 4年2月末租税及び印紙収入、収入額調
3月31日 パンフレット「令和4年度税制改正」を掲載しました
3月22日 所得税法等の一部を改正する法律が成立しました
3月9日 BEPS防止措置実施条約が適用される租税条約が増えます
<ルーマニア>
3月1日 令和3年度 4年1月末租税及び印紙収入、収入額調

(1)動画「もっと知りたい税のこと」を公開しました

令和3年6月発行のパンフレット「もっと知りたい税のこと」をもとにした動画を公開いたしました。より気軽に税制について知っていただけるよう、インフォグラフィック動画を作成しました。
 詳しくは、「3 動画「もっと知りたい税のこと」の見どころ」でも取り上げていますので、ご覧ください。

下記リンクからご覧いただけます。(財務省YouTubeへのリンク)
https://www.youtube.com/watch?v=zB37i8vBAzU

(2)パンフレット「令和4年度税制改正」を掲載しました
「所得税法等の一部を改正する法律」(令和4年3月22日成立)の内容を分かりやすくまとめたパンフレットを作成いたしました。

下記リンクから内容をご覧いただけます。
https://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeisei22.html

  パンフレットは現在印刷製本中ですので、配布準備ができ次第、財務省Twitter等で周知広報いたします。財務省Twitterもぜひフォローをお願いします。

財務省Twitterのリンク
https://twitter.com/MOF_Japan

(3)所得税法等の一部を改正する法律が成立しました

令和4年3月22日に「所得税法等の一部を改正する法律」が成立しました。

下記リンクから詳細をご覧いただけます。
https://www.mof.go.jp/about_mof/bills/208diet/index.htm#01

(4)BEPS防止措置実施条約が適用される租税条約が増えます<ルーマニア>   

「税源浸食及び利益移転を防止するための租税条約関連措置を実施するための多数国間条約」(BEPS防止措置実施条約)の寄託者である経済協力開発機構(OECD)の事務総長が公表した2022年2月28日時点の情報によると、我が国が本条約の対象とすることを選択している租税条約の相手国のうち、ルーマニアが新たに本条約の批准書を寄託しました。

下記リンクから詳細をご覧いただけます。 
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/international/tax_convention/press_release/20220309mli.html

(5)令和3年度 4年1月末租税及び印紙収入、収入額調、令和3年度 4年2月末租税及び印紙収入、収入額調

令和3年度 4年1月末及び2月末の租税及び印紙収入、収入額調を財務省ホームページで公開いたしました。

下記リンクから内容をご覧いただけます。
https://www.mof.go.jp/tax_policy/reference/taxes_and_stamp_revenues/202201.pdf
https://www.mof.go.jp/tax_policy/reference/taxes_and_stamp_revenues/202202.pdf


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3 「動画「もっと知りたい税のこと」の見どころ

 財務省主税局では、4月1日に、動画「もっと知りたい税のこと」を財務省YouTubeで公開しました。
 税制メールマガジンをご登録いただいている皆さんはすでにご覧いただけましたでしょうか?
 まだの方は、是非ご覧ください!
 13分程度の動画ですが、動画の概要欄には目次も記載しており、ご自身の知りたい内容だけをピックアップしてご覧いただくこともできます。


≪目次≫------------
0:00 オープニング
0:08 1.「税」の意義と役割を知ろう
1:58 2.「税」の現状を知ろう
5:11 3.「所得税」を知ろう
6:33 4.「相続税」と「贈与税」を知ろう
7:18 5.「消費税」を知ろう
9:29 6.「法人税」を知ろう
10:40 7.「国際課税」を知ろう
12:30 8.これからの「税」を考えよう
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 税制メールマガジン第141号(2021/7/30発信)でもご案内しましたが、財務省主税局では、毎年夏にパンフレット「もっと知りたい税のこと」を作成し、公表しています。
 パンフレットでは、税制の意義・役割や基本的な仕組み、税制をめぐる状況などの内容を分かりやすくまとめており、毎年多くの方からパンフレットの送付を希望いただいています。

 ・第141号「パンフレット「もっと知りたい税のこと(令和3年6月発行)」の冊子発送について」
 https://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/mail_magazine/20210730.html

 そこで、今回、初めての取組として、パンフレットの内容をインフォグラフィックスを使って動画化しました。

 「インフォグラフィックス」という言葉を初めて聞いた方もいらっしゃるかもしれません。
 これはデータなどを視覚的に分かりやすくとらえてもらえるように表現する手法です。
 データについては、正確であることはもちろんのことですが、それを理解してもらうことも同じように大切だと思っています。

 そのため、どうやったら皆さんに分かりやすく表現できるか、について考えながら試行錯誤し、作成を進めました。
 そうした中で、個人的にお勧めしたいのは以下のシーンです。

・2:26「一般会計税収の推移」で過去から現在までの税収の規模を示しているシーン
・4:15「一般会計税収、歳出総額及び公債発行額の推移」(いわゆる「ワニ口」と呼ばれるグラフです)で財政の状況を示しているシーン
・7:36「消費税の仕組み」で製造業者から消費者まで、納付額と負担額を示しているシーン
・9:14「付加価値税率の国際比較」で標準税率と食料品に対する適用税率を示しているシーン

それぞれのシーンの「動き」にぜひ着目してください!

また、動画をご覧いただき、ご意見やご感想等ありましたら【mg_tax@mof.go.jp】までいただければ幸いです。

主税局総務課 広報係 柏木

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4 若手コラム 

 読者の皆さん、こんにちは!主税局調査課外国調査係です。今回はデジタル・サービス・タックス(Digital Services Taxes 以下ではDSTとします。)について取り上げたいと思います。DSTに関しては既に多数の報道がなされていますので、ご存じの方も多いかと思いますが、様々な主体が複雑に絡み合っているため、全体を理解するのはなかなか難しいかもしれません。そこで今回は、グローバルな次元(OECD/G20「BEPS包摂的枠組み」)と国家レベル(欧州連合(EU)を含む)の次元という切り口に着目して解説しておりますので、是非これらを意識して読んでくだされば幸いです!

【DSTとは】
 そもそもDSTという用語について聞いたことがないという方もいらっしゃるかと思います。明確な定義はありませんが、デジタルサービスを提供する企業の売上等に市場国(簡単に言えば、サービスが実際に提供されている国)が課税する各国独自の制度と整理したいと思います。デジタルサービスについては、普段利用しているインターネット検索エンジンやオンラインショッピング、動画配信サービスなどをイメージしてみるとわかりやすいかもしれません!国際課税の世界では、物理的拠点(工場や支店等)がなければ課税ができないという原則が存在します。しかし、デジタルサービスを提供する企業は、市場国に物理的拠点を有しない場合があり、市場国はそういった企業に課税を行うことができないということが問題となっていました。

 こうした事情を背景に、経済のデジタル化が急速に進む中、欧州諸国を中心とした各国において、税収を確保するため、デジタルサービスを展開する多国籍企業に対する課税手段として、独自のDSTを導入する動きが生まれてきました。一方で、上述のような多国籍企業への課税問題は各国の税制で対応するのではなく、国際的な枠組みで対処すべきという議論もありました。このような国際的な枠組みでの議論の成果として、昨年10月のOECD/G20「BEPS包摂的枠組み」における合意をご存じの方もいらっしゃるかもしれません。続いて、各国のDSTを巡る動向や「BEPS包摂的枠組み」での議論を紹介しつつ、日本として国際課税の議論に対してどのように関わってきたかについて、ご紹介します!

【諸外国におけるDST導入の動き】
 先ほど触れたように、欧州を中心として2010年代後半からDST導入に関する議論が行われており、2019年には各国で次々とDSTの導入が始まりました。例えば、フランスでは2019年から対象ビジネスの域内での売上に対し3%を課税するDSTを導入しており、欧州諸国だけでなく、トルコやインド等の国でもDSTやそれに似た制度を導入しています。

 これに対して、米国は2021年前半に、DSTは米国企業を差別的に取り扱っているとして、DST導入国からの輸入品に対する追加関税など対抗措置を発表していました。米国がこうした措置を発表したのは、デジタルサービス関連の多国籍企業を多数抱えるという特有の事情が背景にあるのかもしれません。

【グローバルな動き】
 次に、そうした各国のDST導入の動きに対応する、グローバルな会議体であるOECD/G20「BEPS包摂的枠組み」における2021年10月の合意について解説します。そもそもBEPSとは「Base Erosion and Profit Shifting(税源浸食と利益移転)」の略で、平たく言えば、多国籍企業が企業の活動と各国の税制や国際課税ルールとの間のずれを利用して課税逃れを行っている問題を言います。そして、「BEPS包摂的枠組み」では、140か国・地域以上(!)が参加しBEPS問題について議論しています。

 数年間にわたる精力的な交渉の末、昨年10月、「BEPS包摂的枠組み」において、137か国・地域が参加して国際課税の面では歴史的とも言える合意に至りました。その合意事項の「第1の柱」は、市場国に物理的拠点を置かずにビジネスを行う多国籍企業に対しても、市場国が課税を行うことができるよう、国際課税原則を見直すというものです。また、DSTを廃止し、将来にわたり導入しないことも併せて合意されました。

【グローバルな合意を受けての諸外国の対応】
 欧州連合(EU)では新型コロナからの復興のための財源確保策としてDSTの導入を進めていましたが、合意を踏まえて導入を見送り、「第1の柱」に基づき市場国に配分された各国税収の一部を欧州連合(EU)予算の財源とする、合意に沿った形の財源確保策を提案しています。

 また、米国は合意の後、DSTを導入している国々に対して制裁関税の発動を取りやめることとしています。一方、カナダでは2023年末までに合意に基づく「第1の柱」の多国間条約が発効していない場合に限り、オンライン広告サービス等の特定のビジネスに対して、カナダ国内での売上のうち3%を2022年までさかのぼって課税するというデジタル・サービス・タックス法案を公表し、DST導入に向けて準備を進めています。こうしたカナダの動きを牽制しているのが米国です。米国政府は懸念を表明するとともに、米国企業が重大な税負担を強いられる場合、通商協定や国内法等の下であらゆる選択肢を検討すると発表しており、今後の動向が注目されています。

【おわりに】
 各国独自のDSTを導入することについては様々な議論がありますが、各国で様々な税制が乱立することによる事務的コストが増加することや、一方的にDSTを導入すると関係国から対抗措置を受ける可能性があること、といった経済的効率性を阻害しかねないという懸念もあります。また、経済活動や行政にとって、一方的なルールに拠らず、国際的にルールを統一化・明確化しておくことは重要であり、「BEPS包摂的枠組み」における国際的な合意は非常に有意義なものです。日本は、BEPSプロジェクトの立上げ時から、国際課税に関する議論を一貫して主導しており、今後も合意を受けた詳細なルールや多国間条約の策定に向けて、引き続き議論を主導していきます。そして、こうした国際的な議論の進展を踏まえながら、令和5年度以降の税制改正における国内法の整備に向けて、目下検討を進めています!

 外国調査係では引き続き、諸外国における税制の動向について調査してまいります! 

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 5 編集後記 

 4月に入りました。通勤時に外務省前(財務省の隣にあります。)の綺麗な桜をみて春の訪れを感じています。学校や会社では4月に新体制に変わることが多いかと思いますが、主税局の異動は基本的には7月なので、昨年度から引き続き広報係の田中が編集後記を担当いたします。
 
 4月1日に外国調査係に新入職員が着任しました。いつも若手コラムを書いているのは外国調査係の職員ですので、いつか新入職員の方にコラムを書いてもらう日が来るかもしれませんね。これからも若手コラムに注目していただければと思います。

 今月も最後までお付き合いいただきありがとうございます。次回の税制メールマガジンもよろしくお願いいたします。

 主税局総務課 広報係 田中

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mailto:mg_tax@mof.go.jp

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