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税制メールマガジン第116号 01/9/27

【税制メルマガ第116号】 政府税制調査会における答申 2019.9.27

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 ご講読いただき、ありがとうございます。
 本号は、昨日(9月26日)とりまとめられた政府税制調査会答申「経済社会の構造変化を踏まえた令和時代の税制のあり方」についてお送りします。

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 政府税制調査会は、平成25年6月の安倍内閣総理大臣からの諮問を受けて、中長期的視点から、経済社会の構造変化を把握し、それに対応するために各税目や税務行政が果たすべき役割を見定めるべく、議論を積み重ねてきました。
 これまでの間、有識者からのヒアリングや海外調査を実施したほか、平成27年11月の「経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する論点整理」をはじめとする報告書等をとりまとめてきました。
 9月26日にとりまとめられた答申「経済社会の構造変化を踏まえた令和時代の税制のあり方」は、こうした成果を踏まえつつ、平成の時代を振り返り経済社会の構造変化を整理するとともに、新たな令和の時代を見据えた税制のあり方についての考え方を提示したものです。

 本答申の内容を以下に簡単にご紹介します。ご関心のある方は内閣府HP(https://www.cao.go.jp/zei-cho/shimon/1zen28kai1_2.pdf)に掲載されている全文をご覧下さい。

 まず、本答申の構成としては、以下の通りとなっています。
〇 第1部で「経済社会の構造変化」として以下5つのテーマに整理
  (1) 人口減少・少子高齢化
     (2) 働き方やライフコースの多様化
     (3) グローバル化の進展
     (4) 経済のデジタル化
     (5) 財政の構造的な悪化
〇 第2部で、それらの様々な構造変化に税制がどのように対応するべきかという観点から、「令和時代の税制のあり方」として以下5つのテーマに整理
     (1) 人口減少・少子高齢化への対応
     (2) 働き方やライフコースの多様化等への対応
     (3) 経済のグローバル化やデジタル化等への対応
     (4) デジタル時代における納税環境の整備と適正・公平な課税の実現
     (5) 持続可能な地方税財政基盤の構築

以下、それぞれの項目について概観します。

【第1部(経済社会の構造変化)】
 第1部では、経済社会の構造変化が、5つのテーマに分けて以下のように整理されています。

(1) 人口減少・少子高齢化
 人口減少・少子高齢化は、今後も一層進行し、厳しさを増していきます。生産性の向上に取り組みつつ、年齢が就労の制約とならない社会を構築して支え手を拡大しながら、全世代型社会保障を実現していくことが求められています。同時に、社会保障制度をはじめとする諸制度のあり方や、それを支える負担のあり方を見直していく必要があります。

(2) 働き方やライフコースの多様化
 非正規雇用やフリーランスの拡大など働き方が多様化しています。多くの人々が育児や介護、転職や学び直しを含む多様な人生を送るようになり、ライフコースも多様化しています。特定の働き方等を前提とせず格差固定化につながらないよう、社会の諸制度を見直していく必要があります。

(3) グローバル化の進展
 我が国経済は貿易立国から投資立国へ構造転換しました。デジタル化の進展はグローバル化を加速させています。企業活動は最適な国・地域に展開され、物理的拠点なき事業展開が可能となり、無形資産が付加価値の中核となるビジネスが拡大しています。気候変動問題など地球規模課題が顕在化しています。

(4) 経済のデジタル化
 オンライン取引やシェアリングエコノミーが活発化しています。大量のデータを分析・活用する事業活動も拡大し、それに伴い個人情報保護や課税等の面で課題が生じています。自動車は、CASE(ツナガル・自動化・利活用・電動化)の潮流の中、制度整備や社会的コストの負担のあり方等が課題となっています。

(5) 財政の構造的な悪化
 税収は過去最高となりましたが高齢化等の影響で拡大する歳出を賄えておらず、税制は財源調達機能を十分に果たせていません。低水準の失業率やプラスのGDPギャップにもかかわらず多額の財政赤字が生じています。地方税財政も引き続き厳しい状況です。経済成長との両立を図りつつ歳出・歳入の両面の改革を継続していくことが不可欠です。

【第2部(令和時代の税制のあり方)】
 これらの変化を受けて、第2部では「令和時代の税制のあり方」として、大きく以下の5つのテーマに分けて整理されています。

(1) 人口減少・少子高齢化への対応
・ 社会保障制度と財政を持続可能とするため、勤労世代が減少する中でも十分・安定的な税収基盤確保が不可欠です。人口減少・少子高齢化が進行する中、専ら勤労世代の所得に負担増を求めていくことは自ずと限界があります。グローバル化の進展の中、企業負担のあり方については国際競争力への影響も考慮する必要があります。
・ 消費税は、国民が幅広く負担を分かち合います。所得に逆進的との指摘がある一方、投資、生産、国際競争力、勤労意欲への影響や景気による税収変動が相対的に小さいです。
・ 本年10月には全世代型社会保障の構築に向けて消費税率が10%に引き上げられます。人口減少・少子高齢化と経済のグローバル化が進む中、消費税の役割が一層重要になっています。

(2) 働き方やライフコースの多様化等への対応
・ 働き方の多様化や格差を巡る状況の変化を注視しつつ、働き方の違いによって不利に扱われることのない、個人の選択に中立的な税制の実現に向け、所得再分配機能が適切に発揮されているかといった観点も踏まえながら、個人所得課税の諸控除の更なる見直しを進めていくことが重要です。
・ 企業年金・個人年金等に関する税制についても、働き方やライフコースの多様化が進む中、諸外国の例も参考にしつつ、働き方の違い等によって有利・不利が生じない税制上の取扱いについて検討する必要があります。
・ 資産課税については、「老老相続」が増加し、若い世代への資産移転が進みにくくなる中、格差の固定化を防止しつつ、資産移転の時期の選択に中立的な税制の構築を検討していくことが必要です。

(3) 経済のグローバル化やデジタル化等への対応
・ 法人課税については、国際競争力への影響の観点から、新しい産業や事業が興りやすく、新規開業が行われやすい環境の整備に資する税制を構築することが必要です。こうした観点から、租税特別措置は、経済社会環境の変化に応じてゼロベースで見直し、真に必要なものに重点化することが重要です。
・ 国際的な租税回避への対応として、BEPS(税源浸食・利益移転)への適切な対処や、自動的情報交換で取得した金融口座情報等の効果的な活用が必要です。
・ 経済のデジタル化に伴い、物理的な拠点を置かずに事業を行う外国企業に市場国が適切に課税できないといった問題に対して、国際的な合意に基づく解決策を2020年までにとりまとめるべく、我が国は積極的な役割を果たしていくべきです。
・ 連結納税制度については、企業の経済活動が多様化・複雑化する中、グループ経営の実態を踏まえ、企業が効率的にグループ経営を行い、競争力を十分発揮できる環境を整備するため、制度の簡素化により企業の事務負担を軽減する必要があります。
・ 気候変動対策や、自動車の電動化や保有から利用へのシフトを踏まえ、エネルギー・自動車関係諸税について中長期的な視点に立った検討が必要です。

(4) デジタル時代における納税環境の整備と適正・公平な課税の実現
・ 納税者利便の向上を図る観点から、マイナポータルやスマートフォンを活用した電子申告やキャッシュレス納付等を推進する必要があります。
・ 電子帳簿等保存制度の見直し等により、企業経営のICT化を後押しし、生産性の向上を促すことが重要です。
・ 適正・公平な課税を実現するため、納税者に適正な情報開示を促す仕組みや、違法・不当な行為を抑止するための枠組み等について検討が必要です。
・ 税の意義・役割等に関する分かりやすい広報を積極的に行い、受益と負担のあり方に関する国民的論議を深めていくことが重要です。子供達が税を考える機会を持てるよう租税教育の充実が必要です。高等教育等での取組も重要です。

(5) 持続可能な地方税財政基盤の構築
・ 地方税の充実確保を図るとともに、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系を構築する必要があります。

 この中期答申の「おわりに」では、以下の記載で締めくくられています。
「政府においては、本答申を踏まえて、時代に即した税制を構築していくことを求めたい。その際には、国民的な理解が得られていることが重要である。当調査会としては、本答申を契機に、税制のあり方や、それにとどまらず関連する諸制度のあるべき姿について、国民の間で幅広く建設的な議論が行われることを期待したい。」

 このメルマガの読者の皆様におかれても、ぜひこの答申をご一読いただき、社会を支える税のあり方について考えてみていただければ幸いです。 

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