税制メールマガジン 第82号 26/12/30
税制メールマガジン 第82号 平成26年12月30日
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◆目次
1 はじめに
2 平成27年度 与党税制改正大綱の概要
3 平成27年度税制改正をめぐる動き
4 編集後記
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1 はじめに
平成26年も遂にあと1日となりましたが、皆様は、いかがお過ごしでしょうか。
「なぜ、この時期にメールマガジン?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。年の瀬も押し迫った本日、自由民主党と公明党により平成27年度の与党税制改正大綱が取りまとめられましたので、税制メールマガジンにより、来年度税制改正に関する最新の情報をお届けすることといたしました。
私どもで、与党税制改正大綱の概要や、その中で特に法人税改革の中身について説明資料を作成たしましたので(後ろにリンクを付しています)、お時間のある方は早速、お忙しい方はお正月にゆっくりと、是非お読みください。
来年もどうぞよろしくお願いします。
主税局総務課 主税企画官 泉 恒有
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2 平成27年度 与党税制改正大綱(平成26年12月30日)の概要
デフレ脱却・経済再生
デフレ脱却・経済再生をより確実なものにしていく観点から、成長志向に重点を置いた法人税改革、高齢者層から若年層への資産の早期移転を通じた住宅市場の活性化など、経済の好循環の着実な実現に資する措置を講ずる。
○成長志向に重点を置いた法人税改革
・「課税ベースを拡大しつつ税率を引き下げる」ことにより、法人課税を成長志向型の構造に変える。より広く負担を分かち合い、「稼ぐ力」のある企業等の税負担を軽減することで、企業の収益力を向上させる取組みを後押し
・27年度を初年度とし、以後数年で、法人実効税率を20%台まで引き下げることを目指す
− 27年度改正:欠損金繰越控除の見直し、
受取配当等益金不算入の見直し、
法人事業税の外形標準課税の拡大、
租税特別措置の見直しにより、財源を確保(中小企業に配慮して、大企業中心に改革)。先行減税分をあわせて、27年度▲2.51%、28年度▲3.29%の引下げを決定
− 28年度改正:課税ベースの拡大等により財源を確保して、28年度における税率引下げ幅の更なる上乗せを図る(▲3.29%+α)
− その後の年度の改正においても、改革を継続
・所得拡大促進税制の拡充などにより、賃上げの取組みを後押し
○住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の延長・拡充
・足元の住宅市場活性化策及び消費税率10%への引上げ(平成29年4月)に伴う駆け込み・反動減対策の観点から、適用期限を延長した上で拡充(非課税枠:1,000万円⇒最大3,000万円)
○NISAの拡充
・ジュニアNISAを創設(20歳未満の者の口座開設を可能に。年間投資上限額80万円)
・投資上限額を引上げ(年間100万円⇒120万円)
地方創生
人口減少及び地方における人口流出等の構造的な課題を克服するため、東京一極集中の是正や若い世代の結婚・子育ての希望の実現等を通じた地方創生に向けて税制措置を講ずる。
○地方拠点強化税制の創設
・地域再生法の新たな枠組みの下、企業の本社機能等に関し、東京圏から地方への移転、又は地方における拡充の取組みを支援するため、税制措置を創設
※ 東京23区からの移転の場合本社等の建物に係る投資減税:特別償却25% or 税額控除7%(27・28年度、29年度は4%)
雇用促進税制の特例:地方拠点の増加雇用者数1人当たり最大80万円の税額控除(最大の場合、3年間合計で140万円)
○ふるさと納税の拡充
・住民税の特例控除額を拡充(上限:個人住民税所得割の1割⇒2割)
・申告手続きを簡素化(確定申告を行わない給与所得者等について、寄附先の団体が本人に代わって控除手続を行う「ふるさと納税ワンストップ特例」を創設)
○外国人旅行者向け消費税免税制度の拡充
・商店街やショッピングモール内などにおける消費税の免税手続きを、「免税手続カウンター」でまとめて行えるようにする
○結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の創設
・祖父母や両親の資産を早期に移転することを通じて、子や孫の結婚・出産・育児を後押しするため、これらに要する資金の一括贈与に係る非課税措置を創設(非課税枠:1,000万円)
消費税率引上げ時期の変更に伴う対応
○消費税率10%への引上げ施行日の変更:
平成27年10月1日 ⇒ 平成29年4月1日
○景気判断条項(税制抜本改革法附則18条3項)の削除
○住宅ローン減税等の適用期限の変更:
平成29年12月31日 ⇒ 平成31年6月30日
※一般の住宅取得に係る給付措置(すまい給付金)等の対象期間についても、1年半延長
(注)消費税率10%段階の自動車取得税廃止等の措置、地方法人課税の偏在是正措置は、平成28年度以降の税制改正で結論
国際課税(G20・BEPSプロジェクト)関連
G20・OECDが推進している「BEPSプロジェクト」等の取組みの趣旨を踏まえ、クロスボーダーの取引や人の動きに係る課税の適正化に向けて取り組む。
○国境を越えた役務の提供に対する消費税の課税の見直し
国内外の事業者間の競争条件の公平性を確保する観点から、国外事業者が国境を越えて行う電子書籍・音楽・広告の配信等の電子商取引を消費税の課税対象とする
○外国子会社配当益金不算入制度の適正化
国際的な二重非課税を防止する観点から、外国子会社において損金に算入される配当を外国子会社配当益金不算入制度の適用対象から除外
○出国時における譲渡所得課税の特例の創設
クロスボーダーでの課税逃れを防止する観点から、巨額の含み益(未実現のキャピタルゲイン)を有する株式等を保有して出国する者に対する譲渡所得課税の特例を創設
○非居住者に係る金融口座情報の自動的交換制度の整備
非居住者の金融口座情報を各国税務当局と自動的に交換するため、金融機関に対し非居住者の金融口座情報の報告を求める制度を整備

○福島再開投資等準備金制度の創設
福島の避難解除区域等に帰還して事業を再開しようとする事業者を対象に、投資費用を積み立てやすくするための準備金制度を創設
○福島復興再生拠点市街地形成施設に係る譲渡所得の特例措置
「一団地の福島復興再生拠点市街地形成施設」(仮称)の整備のために土地を譲渡した場合に、5,000万円特別控除等を適用
その他
○車体課税の見直し
・エコカー減税(自動車重量税・自動車取得税)について、燃費基準の円滑な移行や足元の自動車消費の喚起の観点から、2年間の経過的な措置として、減免税車の対象範囲を見直し
・軽自動車税について、一定の環境性能を有する四輪車等について、燃費性能に応じた軽課を導入。二輪車等の税率引上げの適用開始を1年間延期し、平成28年度分からとする
○たばこ税(旧3級品)
旧3級品の紙巻たばこ(わかば、ゴールデンバットなど国産6銘柄)に対する特例税率(一般税率よりも低い税率)について、WTO協定等の内外無差別原則の遵守を確実なものとするため、段階的に縮減・廃止
○円滑・適正な納税のための環境整備
・国外扶養親族に係る扶養控除の適正化:国外居住親族に係る扶養控除等の適用の適正化の観点から、適用を受ける納税者に対し、親族関係書類等の添付等を義務づけ
・マイナンバーが付された預貯金情報の効率的な利用に係る措置:マイナンバーが付された預貯金情報を税務手続において効率的に利用する観点から、銀行等に対し預貯金情報をマイナンバーにより検索可能な状態で管理することを義務づけ
検討課題
○少子化への対応、働き方の選択に対する中立性の確保等の観点からの個人所得課税の見直し
○消費税の軽減税率
(※以上の概要は、平成27年度の与党税制改正大綱として自由民主党・公明党により取りまとめられたものを、当省にて独自に整理したものですので、ご留意ください。)
※平成27年度の与党税制改正大綱の概要資料集(当省にて独自に整理したもの)
・平成27年度 与党税制改正大綱の概要
http://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/mail_magazine/20141230.pdf
・成長志向に重点を置いた法人税改革
http://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/mail_magazine/20141230a.pdf
・資料(法人税改革)
http://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/mail_magazine/20141230b.pdf
・資料(法人税改革以外)
http://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/mail_magazine/20141230c.pdf
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3 平成27年度税制改正をめぐる動き
例年、翌年度の税制改正に向けた流れとしては、政府税制調査会での検討のほか、主に11月から12月上中旬にかけて与党内で集中的な議論が行われて与党税制改正大綱が取りまとめられ、その後、12月下旬に政府としての税制改正大綱を決定し、翌年の通常国会に税制改正法案を提出することが通例となっています。
御承知のとおり、今年は11月21日に衆議院が解散され、12月14日に衆議院総選挙が実施されたことから、例年のスケジュールとは若干ずれが生じましたが、12月25日以降に集中して与党による税制改正の議論が行われ、本日(12月30日)、平成27年度の与党税制改正大綱が取りまとめられました。
今後については、この与党税制改正大綱を踏まえ、政府として、来年早々にも平成27年度税制改正大綱を決定し、これに基づき策定する税制改正法案を通常国会に提出する予定です。
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4 編集後記
前回の配信からだいぶ間が空いてしまって申し訳ありません。その間に、担当も、南から高澤に変わりました。よろしくお願いします。
さて、本日、来年度の与党税制改正大綱は取りまとめられましたが、この内容を踏まえ、税制改正の政府大綱、法律案といった形を具体的に作り上げていく作業は、今日、正式なキックオフを迎えたというような状況にあります。担当の職員は、場合によってはほとんど年末年始も関係なく、それらの策定作業を進めることになりますが、経済活動に大きな影響を与えるものですので、遅滞なく着実な税制改正を実施できるよう、頑張っていきたいと思います。
来年も、まずは平成27年度税制改正の動きに始まり、新しい情報を皆様にお届けしていきたいと考えておりますので、よろしくお願いします。 (高澤)
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