国際課税制度は、国際的に活動する企業・個人の課税関係を調整する仕組みです。国際的にルールを統一化・明確化しておくことが経済活動や行政にとって重要ですので、日本の国際課税制度は国際的な議論も踏まえて設計しています。
最近の主な国際的取組みに、「BEPS(Base Erosion and Profit Shifting(税源浸食と利益移転))プロジェクト」があります。これは、多国籍企業による国際的な課税逃れを防ぎ、公平な競争条件を整えるために、日本も参加してOECDが中心となって進めたもので、2015年10月に主要国間で合意し、今や110か国超が参加する一大プロジェクトです。
この背景には、世界各国がリーマンショック後に財政状況を悪化させて、より多くの国民負担を求める中、多国籍企業が各国の税制や国際課税ルールのずれを利用することで課税逃れを行うことに対する批判が高まったことがあります。現在は、BEPSプロジェクト参加国が合意内容に基づいて、国内法の整備や租税条約の改正を行っています。
日本は、二重課税の除去等を通じた二国間の健全な投資・経済交流の促進を図ることを目的として、各国との間で租税条約を結んでいます。租税条約では、国際的な租税回避や徴収回避に対抗することを目的として、情報交換や徴収共助といった税務当局間の協力のための枠組みも規定されています。
平成30年6月1日時点で、日本は70の租税条約等を123か国・地域との間で適用しています。
(注1)税務行政執行共助条約が多数国間条約であること、及び、旧ソ連・旧チェコスロバキアとの条約が複数国へ承継されていることから、条約等の数と国・地域数が一致しない。
(注2)条約等の数及び国・地域数の内訳は以下のとおり。
・租税条約(二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止を主たる内容とする条約):57本、68か国・地域
・情報交換協定(租税に関する情報交換を主たる内容とする条約):11本、11か国・地域(図中、(※)で表示)
・税務行政執行共助条約:締約国は我が国を除いて84か国(図中、国名に下線)。適用拡張により99か国・地域に適用(図中、適用拡張地域名に点線)。このうち我が国と二国間条約を締結していない国・地域は43か国・地域。
・日台民間租税取決め:1本、1地域
(注3)台湾については、公益財団法人交流協会(日本側)と亜東関係協会(台湾側)との間の民間租税取決め及びその内容を日本国内で実施するための法令によって、全体として租税条約に相当する枠組みを構築(現在、両協会は、公益財団法人日本台湾交流協会(日本側)及び台湾日本関係協会(台湾側)にそれぞれ改称されている。)。