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3 「所得税」を知ろう

(1)所得税について

所得税は、給料や商売の利益、あるいは土地を売って得た利益などに対して課される税です。例えば、会社員の給与の場合、

① 給与収入(年間収入)から給与所得控除を差し引いて所得金額を算出した上で、

② 税金を納める人の税負担能力に配慮するため、所得金額から基礎控除、配偶者控除などの所得控除額を差し引き、

③ その残額に対して超過累進税率(所得が高い部分ほど適用される税率が高くなる仕組み)を適用して税額を計算します。

このように、所得税は、所得の大きさに応じた負担を求めることができ、また、家族構成などの状況に応じたきめ細かな配慮を行うことができるものとなっています。

図:給与所得者の所得税額計算のフローチャート

(注)上記は、平成30年分の所得税についての制度です。給与所得控除と基礎控除については、平成30年度税制改正において改正が行われています(平成32年分以降の所得税について適用)。

(2)所得の種類について

所得は、その性質によって次の10種類に分かれ、それぞれの所得について、収入や必要経費の範囲あるいは所得の計算方法などが定められています。

図:給与所得者の所得税額計算のフローチャート

(注1)特定公社債等の利子等については、申告不要又は申告分離課税。

(注2)一部、分離課税として取り扱われるものがある。分離課税の対象となるのは、株式等の譲渡による所得(事業・譲渡・雑)、土地等の譲渡による所得(譲渡)、不動産業者等の土地の短期譲渡等による所得(事業・雑(平成32年3月31日まで課税停止))、先物取引による所得(事業・譲渡・雑)等である。

(3)人的控除について

全ての方に適用される基礎控除や、世帯構成をはじめとする個人の様々な事情を踏まえた控除が設けられています。

図:基礎的な人的控除・特別な人的控除

(注)【  】内は平成32年分以後の所得税について適用されます。

(4)所得税の負担の変化

所得税の最高税率は、かつて70%(課税所得8,000万円超の部分)でしたが、負担累増感の緩和等を目的として、引き下げられてきました。その後、再分配機能の回復を図るため、平成27年分以後については、課税所得4,000万円超の部分について45%の税率が創設されました。

図:個人所得課税の税率などの推移(イメージ図)

(5)所得税の見直し(平成30年度改正)

(注)以下の見直しは、平成32年分以後の所得税について適用されます。

(1)給与所得控除・公的年金等控除から基礎控除への振替

働き方の多様化を踏まえ、働き方改革を後押しする等の観点から、特定の収入にのみ適用される給与所得控除及び公的年金等控除の控除額を一律10万円引き下げ、どのような所得にでも適用される基礎控除の控除額を10万円引き上げることとされました。

図:給与所得控除・公的年金等控除から基礎控除への振替

※給与所得と年金所得の双方を有する方については、片方に係る控除のみが減額されます。

(2)給与所得控除の適正化

給与所得控除については、勤務関連経費や諸外国の水準と比べても過大となっているとの指摘がなされてきたことを踏まえ、「控除額を主要国並みに漸次適正化する」との方針の下、段階的に見直しを進めてきています。

今回の改正でも、これまでの方針に沿って、給与収入が850万円を超える場合の控除額が195万円に引き下げられました。ただし、子育て等に配慮する観点から、23歳未満の扶養親族や特別障害者である扶養親族等を有する者等に負担増が生じないよう措置を講じています。

図:給与所得控除の適正化

(注)23歳未満の扶養親族を有する者及び特別障害者控除の対象である扶養親族等を有する者等(いわゆる「介護」を受けている者以外の特別障害者を含む)

(3)公的年金等控除の適正化

公的年金等控除については、給与所得控除とは異なり控除額に上限がなく、年金以外の所得がいくら高くても年金のみで暮らす者と同じ額の控除が受けられるなど、高所得の年金所得者にとって手厚い仕組みになっているとの指摘がなされてきました。

こうした点を踏まえ、世代内・世代間の公平性を確保する観点から、公的年金等収入が1,000万円を超える場合の控除額に195.5万円の上限が設けられました。また、公的年金等以外の所得金額が1,000万円超の場合は、控除額が引き下げられました。

図:公的年金等控除の適正化

(4)基礎控除の適正化

基礎控除については、所得の多寡によらず一定金額を所得から控除する所得控除方式が採用されていますが、高所得者にまで税負担の軽減効果を及ぼす必要は乏しいのではないかとの指摘がなされてきたこと等を踏まえ、合計所得金額2,400万円超で控除額が逓減を開始し、2,500万円超で消失する仕組みとされました。

図:基礎控除の適正化

(参考)「住民税」を知ろう

様々な公的サービスの提供は、国と地方の間で分担しています。その費用を賄う主なものは国も地方も税金です。

教育、福祉、消防・救急、ゴミ処理といった、私たちの生活に身近な行政サービスの多くは、市町村や都道府県によって提供されています。地方税はこうしたサービスを賄うための財源であり、その地域に住む住民などが広く共同して負担し合うもの(地域社会の会費)です。

地方税の中でも、所得税(国の税金)と同様、私たちに身近な税が、住民税です。住民税は、広く住民が地域社会の費用を分担するもので、市町村民税と道府県民税があります。住民税には「個人住民税」と「法人住民税」があり、その市区町村(都道府県)に住所等がある個人が負担するものが「個人住民税」です。

図:個人住民税(均等割、所得割)の概要

(注)道府県民税の徴収も市町村民税と併せて市町村が行っている。

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