ファイナンス 2025年11月号 No.720
71/76

連載各地の話題 ファイナンス 2025 Nov. 67松島の牡蠣(写真提供:宮城県観光戦略課)鹽□神社(写真提供:宮城県観光戦略課)鹽□神社おわりに美しい景色とともに楽しむ松島の牡蠣は、まさに自然と人の知恵が生んだ逸品です。観光と食の両方を満喫できる松島は、牡蠣好きにとって一度は訪れたい場所といえます。鹽竈神社は、東北屈指の古社で、海の守り神・塩づくりの神として古来より厚い信仰を集めてきました。正式には「志波彦神社・鹽竈神社」と称され、二社が同じ境内に並立する珍しい神社です。主祭神である鹽土老翁神(しおつちおぢのかみ)は、塩の製法を人々に教えた神として伝えられ、製塩、航海安全、漁業、安産、厄除けのご利益があるとされています。この神社の歴史は非常に古く、平安時代に編纂された「延喜式神名帳」にも名を連ねる名神大社で、陸奥国一之宮として格式を誇ります。また、奥州藤原氏や仙台藩主伊達氏など、時の権力者からも厚く信仰されてきました。江戸時代には仙台藩の庇護を受け、現在の荘厳な社殿群が整備されました。特に、本殿・拝殿・楼門など 12 棟が国の重要文化財に指定されており、歴史的・建築的にも高い価値があります。鹽竈神社の境内は小高い塩竃山の上にあり、海を見下ろすような位置に鎮座しています。表坂には 202 段の石段があり、訪れる人々に登拝という形で神聖な空気を感じさせます。反対側には比較的緩やかな裏坂もあり、体力に自信のない人でも参拝しやすいように配慮されています。季節によって様々な表情を見せるのも鹽竈神社の特徴の一つです。特に春には境内に咲き誇る「鹽竈桜」が有名です。桜の季節には、夜間ライトアップも行われ、幻想的な景色を楽しむことができます。境内には「鹽竈神社博物館」も併設されており、神社の歴史、伝統的な漁具や祭礼道具、武具などの貴重な文化財を見学できます。また、高台に位置する境内からは松島湾を一望でき、晴れた日には絶景のビューポイントとしても人気があります。さらに、鹽竈神社は地域の祭礼や伝統行事の中心でもあり、特に7 月に開催される「塩竃みなと祭」は日本三大船祭に数えられ最大の見せ場である神輿海上渡御(みこしかいじょうとぎょ)では、神輿を乗せた御座船(ござぶね)が約100 隻もの供奉船(ぐぶせん)を従え松島湾を巡幸するという壮麗な祭礼です。この祭りには多くの市民や観光客が訪れ、港町塩釜の伝統と信仰が今なお息づいていることを実感させてくれます。観光地としても信仰の場としても、鹽竈神社は東北を代表する文化遺産です。歴史・自然・信仰が調和したその魅力は、訪れる人々に深い感動と静かな敬意をもたらしてくれます。松島・塩竃は、歴史、豊かな海の幸、絶景を体感できる魅力あふれる観光スポットです。日常の喧騒から離れ心も体も癒される贅沢な時間を過ごしてみませんか?爽やかな潮風や美味しい海の幸と相性抜群の地酒があなたをお待ちしています。松島・塩竃に是非、お越しください。塩□市

元のページ  ../index.html#71

このブックを見る