フィナーレを彩る海上運行青森税務署 総務課長佐藤 和弘はじめにねぶた祭り 62 ファイナンス 2025 Nov.青森税務署は、青森市、東津軽郡(平内町、今別町、蓬田村、外ヶ浜町)の 1 市 3 町 1 村を管轄としています。青森県の県庁所在地でもある青森市は、本州と北海道を繋ぐ商業の流通拠点として、青森県内でも多くの企業が集まっており、また、日本屈指の特別豪雪地帯としても有名です。ねぶた祭りは、東北三大祭りの一つで国の重要無形民俗文化財に指定されており、毎年 8 月 2 日~7 日に開催されています。8 月 2 日~6 日の夜から、運行コース上にねぶたが待機し、一斉にすべてのねぶたが動き出します。最終日の 7 日(なぬか日)は前日までの夜の運行とは雰囲気がまったく違う日中の運行が行われます。日中の運行が終わると選ばれたねぶた数台が台船に乗せられ、ねぶた祭りのグランドフィナーレである、ねぶた海上運行と花火の共演のための準備が行われますが、その際に、ねぶたがクレーンに吊られる光景はまさに「空飛ぶねぶた」のようにも見えます。そして、夜になると海上運行が始まります。海上運行とは、台船に乗せられた受賞ねぶた数台が青森港を運行するもので、同時刻に開催される「青森花火大会」で打ち上がる 10,000 発以上の花火とともに祭りのフィナーレを鮮やかに彩ります。祭りで運行される大型ねぶたは幅 9 メートル奥行き7 メートル高さ 5 メートルあるものもあり、1 台のねぶたが完成するまでには様々な工程を経て、作成期間は半年以上を要します。ねぶたの作成には、「ねぶた師」と呼ばれる製作者達が秋・冬の頃から構想を練り設計図になる主体を描きます。その後、4 月下旬に制作現場となる小屋が建てられ骨組み作業が始まります。骨組み作業は角材で支柱を組み針金で立体的な形を作っていき、内部には 1,000 個前後の電球や蛍光灯が仕込まれています。その後、針金で組まれたおよそ10,000 マスに上質な厚手の和紙を貼る「紙貼り」、純白のねぶたに墨で顔の目鼻などを書き割ける「書割り」、パラフィンを溶かしたもので着物の模様などを描くことで色の滲みを防ぎ明るさを際立たせる「ろう付け」、染料・顔料を筆やスプレーで色鮮やかに仕上げる「色付け」、関係者約 50 人で運行用台車に乗せる「台上げ」、最後に台車に看板や提灯を付けてようやく完成します。各地の話題連載各地の話題歴史が息づき、 祭りが躍動するまち ―あおもり青森市
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