連載セミナー3. 世の中の顧客市場をどう AI でシミュレートしていくのか 50 ファイナンス 2025 Nov.場合によっては、入力されていた会社の戦略に不十分な点があり、さらなるインプットが必要となるケースもございます。おおむね CEO から 5 回程度のフィードバックと生成の往復を行いながら、戦略の不足部分をインプットしつつ進めております。例えば、アクセンチュアの将来あるべき組織を検討をする際、ある部署に関して弊社社長が「ここにはXXX 人いてほしい」と言い出したとします。しかし、その仕組み上、人間が人数を指定することは適切ではないにもかかわらず、社長は「XXX 人だ」と主張されました。そこで私はAIに対して、「社長が XXX 人と言っておりますが、どうすればよいでしょうか?」とインプットしてみました。するとAIは「XXX 人で構いません。ただし、来年からこれは確かに現実的な数字であり、社長も「なるほど、この人数を維持するには、それくらいの成長が必要かもしれないな」と納得されました。このように AI とやり取りしながら、まさにプランを作成していくということを行っております。ですから、一度で完璧なプランを作成するのではなく、経営者との対話を重ねながら、将来の知識を積み上げていく方法を取っております。戦略をインプットすると、「この改革を実行するには、このような組織が必要ではないか」と、新しい組織を提案してくれることもあります。その際も AI とのやり取りを通じて、任務を明確にしていくことができる仕組みになっております。このような状況になると、従来の業務をそのまま続けることは難しくなり、リスキリングが必要となってまいります。グローバルのアクセンチュアでは最近、リスキリングのためのプラットフォーム「Accenture を買収する動きを見せております。リスキリングのビジネスに積極的に取り組んでいる背景には、「生成 AIによって人々の働き方が大きく変わる」という現実がございます。また、先ほど申し上げたように、生成ため、その方針に従って進めております。我々は、様々な AI のエキスパートを育成しつつ、将来の予測も盛んに行っております。例えば、ある業界の将来を考える際に、将来予測を得意とする様々な AI エージェントに外部環境の変化を読み解かせます。そして、「そのような外部環境においてはどのような商品が必要となるのか」を、また別の専門家 AI エージェントに考えさせます。更に「その商品は顧客市場で待ち望まれるが、実現するには技術的に無理がある」とか、「様々な規制があるため実現は難しい」といったことをまた別の AIエージェントが考慮しながら、AI エージェント同士が議論を進め、様々な案を具体化していくのです。(1)将来市場の予測例えば、AI に対して「スマートフォンや通信デバイスといった通信機器はどのように進化していくか」を尋ねますと、様々なエージェントがディスカッションを開始いたします。まず、オーケストレーターが存在し、我々が保有する専門家 AI エージェントたちをテーマに応じて呼び出してまいります。例えば、経済産業構造の専門家である AI エージェントが登場し、通信機器のこれまでの発展の歴史を説明いたします。次に、通信機器の専門家 AI エージェントや医療専門の AI エージェントなど、関連しそうな専門家が次々と登場し、将来の展望を考察してまいります。それぞれの専門家ならではの視点で「このように世の中が変わってくるのではないか」というシナリオを次々と提示し、それに対して今度は技術的な専門家AI が「このようなものが求められるのではないか」と提案を行います。この議論は、企業が保有するデータや知見を取り入れることで、さらに発展していくのです。このようにして、将来の市場がどのようになるのかの予測を現在進めております。(2)世論の予測一方で、「世の中の国民が現在何をどのように考え、行動しているのか」という点についても、国民の縮図エージェントを作成し、シミュレーションを行っております。XX%の成長を担保できますか?」と返答しました。(3)リスキリングのためのサービス提供LearnVantage(ラーンバンテージ)」や人材教育会社AI が「このような部署が必要です」と提案してくる
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