連載セミナー1.業務の現場でどう AI を使っていくのか2. 経営者がどう AI を使って経営判断していくのか 48 ファイナンス 2025 Nov.水準の内容の提案書となります。本格的な提案書を作成する前に、まず AI が提案ストーリーを生成し、その概要を確認して必要に応じてストーリーを若干修正します。その上で、「提案書作成」のボタンを押すと、提案書が作成され、50 ページから 100 ページ程度のパワーポイントの提案書が完成いたします。使用する過程において、人間が「この部分はこのようにしてほしい」と指示を与え、AI はそれを逐次学習していきます。使用しながら AI を進化させることが重要であると考えております。いくつかのツールについてお話ししましたが、では全社改革において AI を活用する際にどのように進展するのか、この点につきまして、我々は「生成 AI によるデジタルツインエンタープライズの実現へ」と名付けて、その変革を推進しております。デジタルエンタープライズには「業務の現場でどのように AI を活用するのか」「経営者がどのように AI を用いて経営判断を行うのか」「世の中の顧客市場をどのように AI でシミュレートするのか」という三つの視点が必要です。まず、一つ目のレイヤーである「業務の現場でどうします。〇訪問準備:AI が社内外の情報を調べ上げ、顧客ニーズに合った製品や提案方法をお勧めする。〇商談:AI が顧客との会話の内容を読み解き、リクエストを自動検知。複数の AI が連動し、取るべき対応を提案する。商談中にリアルタイムで営業と生産管理が連携。追加注文等の依頼内容に応じて、AI が即座に生産計画の修正案を提案する。修正結果もすぐに関連部署へ連携し、注文伝票登録も AI が自動で注文情報を入力する。営業と生産の AI エージェントが連携している事例をご紹介いたしましたが、現在、様々な職種を支える専門家 AI エージェント同士が対話し、適宜人間に確認を取りながら業務を遂行するという世界が進み始めております。現在、様々なエージェントや、エージェントを構築するための「エージェントビルダー」と呼ばれる環境が各社から登場しております。さらに、新たな潮流として「Agent2Agent プロトコル(A2A)」というエージェント同士が対話する仕組みや、「Model Context Protocol (MCP)」というエージェントが様々なシステムと接続するための仕組みが、今年に入りようやく整い始めております。ただし、エージェントが様々なシステムと接続することは、非常に便利である一方で、セキュリティ面での課題も抱えています。我々も様々な技術を活用しておりますが、どのようにセキュリティを担保するかについては、会社として開発を進めているところです。アクセンチュアには、冒頭で申し上げた通り、世界中で 77 万 9 千人の社員がおりますが、その多くはインドに所属しており、アメリカをはじめとする世界各地の業務を請け負っております。そのインドにおける業務を、現在、驚異的な勢いで AI に代替しております。例えば、経理支払いのプロセスにおいては、様々な専門家エージェントが働いております。会社によって異なりますが、AI の導入により、人間が行った場合と比較して、生産性が 7 割から 8 割向上しているという状況に至っております。どの企業でも一般的に行われる、アウトソーシング可能な業務に関しては、もはや AI エージェントで十分であるとの判断から、我々もその方向へ舵を切り始めているところでございます。次に、二つ目のレイヤーである「経営の判断においてどのように AI を活用するか」についてご説明いたします。AI を使っていくのか」について、イメージをご紹介生成 AI によるデジタルツインエンタープライズの実現へ
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