連載セミナー ファイナンス 2025 Nov. 47令和 7 年度職員トップセミナー1.アプリケーションの作成・活用2.独自開発のツールの紹介Sales)(1)プレゼンテーション自動作成ツールアクセンチュアでは、パワーポイントのプレゼンテーションを作成する機会が多いため、これを自動で作 成 す る ツ ー ル「Accenture Presentation Deck Agent」を、生成 AI を用いて独自に開発しております。「このような内容は、このように整理して資料を作成する」ということを予め生成 AI に教え込ませたうえで、作って欲しいドキュメントについて指示をすると、まとめたい情報に合わせた形式に整理された情報が出力されます。それに対し、例えば「表現が細か過ぎるので見た目をシンプルにしてください」とワッペンを貼り、再作成のボタンを押すと、綺麗に修正されます。指示を与えて整理させ、さらに追加の指示を与えて修正させる過程において、生成 AI は裏で学習を続けています。社員に積極的に使用いただくことにより、生成 AI の賢さを向上させることが出来るのです。他にも、様々なタスクを組み込んだスケジュール作成などの複雑な資料作成も、かなり高度に自動化できるようになってきております。(2) AIによる提案書作成(Accenture AI Powered 提案書は、ある意味では我々の業務の根幹を成すものですが、現在では生成 AI を活用して作成することが可能になっております。既にお取引のある企業だけでなく、潜在的にお客様となり得る数千社の企業データについても、生成 AI が事前に情報を集約しております。その企業が現在どのような課題を抱えているのか、どのような取り組みが行われているのか、さらに競合他社の状況、我々がご支援しているプロジェクトの実施内容と比較して、その企業が未だ取り組んでいないと思われる点などを、あらかじめ抽出しているのです。そこまでの情報が整っているため、いざお客様を訪問しようとする際には、既に課題が抽出されており、その課題に対してアクセンチュアの提案内容を選択し、ボタンを押すだけで、提案ストーリーを自動的に作成してくれるのです。こうして生成された最初の提案書には、まだ不十分な点が見受けられます。そのため、弊社の社長や私、一部の経営幹部が「このような視点が必要である」とAI にフィードバックを与え、教え込んだ結果、一定では、アクセンチュア自身はどのように AI 時代に対応しているかと申しますと、「一般企業で使っているような Microsoft の Copilot、画像系では Adobe のFirefly といったものを使っているだけでは、一般企業と何ら変わらない」という問題意識のもと、もちろんそれら生成 AI ツールは最大限活用しつつも、自社のナレッジを加えた様々な生成 AI のアプリケーション開発に取り組んでおります。具体的には、AI センターにおいてトップダウンで開発を進めるものに加え、ボトムアップのアプローチとして「社員が自らアプリケーションを開発する」プラットフォームを用意し、社内のアプリストアを通じて自作のアプリケーションを公開することを奨励しております。このように、トップダウンとボトムアップの双方のアプローチが必要であると考えております。ここで一つ事例をご紹介いたします。「プログラマー講師」というアプリケーションがあります。この生成 AI のプログラマーの先生を導入した結果、新入社員のプログラミング能力が飛躍的に向上し、「生成 AI を傍に置くことで、人間の成長が促進される」ということを私自身が実感した例です。アクセンチュアの新入社員に対するプログラミング教育については、従来は人間の講師が担当しておりました。しかし、人間の講師に対しては、新入社員が初歩的な質問をしづらく、躊躇することが多かったようです。ところが、AI の講師に対しては、どんな初歩的な質問でも気兼ねなく何度でも質問できるため、成長が早まりました。一方で、新入社員を褒める際、「君、よく頑張ったね、よくできたね」という言葉は、AI ではなく先輩社員から受ける方がモチベーションが向上するという点も見受けられます。我々も様々な場面において AI を活用しつつ、人間と AI の適切な使い分けを実施しております。私どもが独自に開発した各種ツールについて、いくつかご紹介いたします。アクセンチュアでの生成 AI 活用の例
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