連載海外 ウォッチャー(4) デジタル(3) 半導体 42 ファイナンス 2025 Nov.れば用いることが出来ない制度(ALMM:Approved 国内における太陽光セルの製造能力が拡充されていることを踏まえ、2026 年 6 月にこの制度は太陽光セルまで範囲を拡大することが予定されている。また、定置用バッテリーや EV 用バッテリーについても、国内の財閥系企業を中心に、インド国内でのバッテリーセルの製造に向けた投資が活発化している。政府は補助金による支援を行っている他、再生エネルギー発電所にその総容量の 10%の蓄電を義務化することを検討しており、更なるバッテリーへの需要の高まりが想定されている。こうした取組は、インドのエネルギー分野での自立性を高めるものと言える。インドは半導体についても国産製造に向けた取組を進めている。2025 年 10 月現在、インドでは国家的プロジェクトとして合計 10 件の半導体製造工場設置プロジェクトが中央政府の補助金の対象として選定されている。インド政府は2021年にインド半導体ミッショList of Models & Manufacturers)が導入されている。ン(India Semiconductor Mission)という組織を立ち上げ、当該補助金を運営している。当該補助金は、中央政府がその事業費の最大 50%を供与する巨大なものであり、今後国内で需要の高まりが見込まれる半導体の自国製造に向けて政府は大きな後押しをしている。特に、インドの大手財閥タタ・グループが実施する 2 つのプロジェクト(グジャラート州ドレラ工業団地での前工程・ウェハー製造(投資規模 9,100 億ルピー)、及びアッサム州ジャギロードでの後工程・パッケージング/テスト(投資規模 2,700 億ルピー))の投資規模が大きい。2025 年 8 月のモディ首相の独立記念日におけるスピーチにおいても、年内に初のメイド・イン・インディアの半導体が製造されると述べた。デジタル分野においてもインドは Self-Reliant を目指している。インド政府は、2020 年には、プライバシー・データ保護の必要性に言及しつつ、Tiktok やWeChat、Weibo といった中国製アプリの禁止措置を導入し、有用で透明性が高く、堅牢かつ安全なインドコラム2 バッテリー分野での日印の協力世界銀行と協力していくべく、RISE(強□で包摂的なサプライチェーンの強化)パートナーシップを立ち上げたが、このイベントはこうした日本政府の取組にも合致するものと言える。2025 年 7 月に行われた“Conference on Battery and Critical Minerals Ecosystem”では、日本・インドの企業の間でのサプライチェーンの構築に向けた協力が模索された。政府関係者、企業関係者、シンクタンク、メディア等、200 名以上の参加者が集まり、バッテリー産業に集まる関心の高さがうかがえた。日本とインドの両国にとって、特定の国に依存することのない形でのバッテリー関連産業のエコシステム(関連素材や製造装置、リサイクル、重要鉱物、バッテリーユーザー等)を構築することが喫緊の課題であることから、日本政府(財務省・経済産業省・在イ ン ド 日 本 国 大 使 館 ) 及 び 日 本 貿 易 振 興 機 構(JETRO)は、2025 年 7 月、官民の関係者を招待し、投資促進やバッテリー関連産業のエコシステム構築のための官民情報交換のラウンドテーブルを行うとともに、日印や関連企業間の協調の促進のため、日印の参加企業同士の 1 対 1 での面談・ビジネスマッチング を 行 う イ ベ ン ト Conference on Battery and Critical Minerals Ecosystem を開催した。日本・インド両国から 70 社以上の企業が参加し、今後企業同士の協調が期待されるところ。日本は 2023 年にG7 の議長国として議論をリードし、クリーンエネルギー関連製品のサプライチェーン、特にその中流に当たる重要鉱物の精製・加工や、下流に当たる部品製造・組立において、グローバルサウスの低・中所得国がより大きな役割を果たせるように、パートナー国や
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