ファイナンス 2025年11月号 No.720
36/76

「推し」のジャンル年平均支出額(単位:円)47,83233,71926,74222,52316,35114,53714,11611,94411,2599,991(※)推しとして回答された数が多いもの上位3項目を抜粋。調査期間:2025 年 1 月1 位 国内アイドル2 位 ミュージシャン・バンド3 位 K-POP アイドル4 位 スポーツ選手5 位 アニメ・漫画・ゲーム以外のキャラクター6 位 俳優・モデル・タレント7 位 ゲーム8 位 YouTuber/VTuber9 位 アニメ10 位 漫画(※)年平均支出額が大きいもの上位 10 項目を抜粋。調査期間:2025 年 1 月(出所)株式会社インテージ「インテージのネットリサーチによる自主調査データ」、株式会社野村総合研究所「拡大する「推し活」市場のポテンシャルとビジネスの可能性」(図表 1)「推し」の有無(図表 5)「推し活」の年間支出額 TOP10(図表 2)「推し活」の実施状況(図表 6)「推し活」にかかる費用の内訳(図表 4)「推し」のジャンル 人気 TOP3「推し活」の概要と現状「推し活」消費の特徴女性264529141650 代 60 代(250)(250)(※)推し活=「自分の「特に好きな人やモノ・コト」に対して、会ったり、触れたり、広めたり、応援活動をすること」として聴取。調査期間:2024年2月(250)(250)(%)76557(※)回答者:アルバイト就業中の推し活をしている高校生、「増えた」を降順で上位抜粋。調査期間:2024 年 2 月変化なし減った181923232565534741596671748181756652494159647179【男性】(図表 3)「推し活」による変化・影響(高校生)増えた75757372(560)(270)(378)(155)(454)(286)(305)(452)(294)(※)調査期間:2025 年 1 月(注)※推し活については「国民生活2023年7月号【No.131】」に掲載されている「1 今どき推し活事情」が参考になる。(https://www.kokusen.go.jp/wko/data/wko-202307.html)(出所)株式会社インテージ「インテージのネットリサーチによる自主調査データ」、株式会社クロス・マーケティング「2024 年 2 月 新型コロナウイルス生活影響度調査(余1位 YouTuber/VTuber 17% アニメ 15% ミュージシャン 10% ミュージシャン 12% ミュージシャン 8% ミュージシャン 9%2 位 ゲーム 16% YouTuber/VTuber 9% アニメ 9% アニメ 9% アニメ 7% スポーツ選手 8%3 位 アニメ 16% ミュージシャン 8% 国内アイドル 9% 国内アイドル 7% 俳優・モデル 7% 俳優・モデル 7%(%)60%40%20%0%2014全体(2,500)男性(1,250)n=2535(n=482)SNS の利用頻度生活の楽しみ仕事へのモチベーション娯楽費などの支出 / 月コミュニケーション量15-19歳(n=140) 20代(n=307) 30代(n=336) 40代(n=418) 50代(n=473) 60代(n=393)1位 国内アイドル 34% 国内アイドル 31% 国内アイドル 19% ミュージシャン 19% ミュージシャン 13% ミュージシャン 10%2 位 アニメ 25% 俳優・モデル 19% ミュージシャン 16% 俳優・モデル 11% 国内アイドル 11% 国内アイドル 10%3 位 K-POP 23% アニメ 18% 俳優・モデル 14% 国内アイドル 10% 俳優・モデル 9% 俳優・モデル 8%n=(523)男性2629191066連載経済トレンド20 代 30 代 40 代 50 代 60 代 20 代 30 代 40 代(250)(250)女性(1,250)(250)(250)(250)(250)68【女性】・握手会やライブ・スポーツ観戦の参加費・入場料、年会費公式イベントや公式グッズなどに係る消費・推しへのプレゼント購入や推しに関するグッズ制作など、推し活実施者が推し活の中で自主的に行う消費・推し活を楽しむ上で必要な用具(カメラなど)の購入や、推しに会いに行く際の旅費・交通費など、付随的にかかる消費・口座開設など、推しの有無にかかわらず行う活動の中での、「推し」とコラボレーションしている商品・サービスの消費「いる(有る)」 「いない(無い)」全体n=15-19 歳20 代30 代40 代50 代60 代70 代15-19 歳20 代30 代40 代50 代60 代70 代(5,000)(148)(320)(350)(431)(476)(375)(385)(140)(307)(336)(418)(473)(393)(448)3534男性30261920女性362921暇行動編)」、株式会社マイナビ「高校生のアルバイト調査(2025 年)」15-19歳(n=148) 20代(n=320) 30代(n=350) 40代(n=431) 50代(n=476) 60代(n=375)公式消費自主消費不随消費コラボ消費・推し活※とは、アイドルやアニメ、俳優、ゲームキャラクターなど「推し」と呼ばれる存在を応援するためにお金や時間を投じる行為を指す。2021 年には流行語大賞にノミネートされ、社会的に認知されるようになった。現在では 15~79 歳の 3 人に 1 人が推しを持つとされ、単なる趣味を超えた生活文化として定着しつつある。世代や性別を問わず幅広く浸透していることが特徴である(図表 1)。・推し活は特に若者を中心に日常生活に強く組み込まれている。クロスマーケティング社の調査によると、余暇時間を使って推し活をしている人は 2 割に上ることがわかった。20 代女性は 45%、男性は 29%で、特に若年層が多いことが推測される(図表 2)。・とりわけ高校生の間では、SNS の利用頻度、生活の楽しみ、仕事へのモチベーションを押し上げる効果等が調査で確認されている(図表3)。推し活は、趣味の一形態を超え、精神的な充足や自己表現の手段として機能しているといえる。・推し活の対象は多様化しており、アイドルやミュージシャンといった従来の領域に加え、YouTuber や VTuber、アニメやゲームのキャラクターなど幅広い(図表 4)。応援対象が拡大している背景には、趣味や価値観の細分化がある。個人が自分らしい「推し」を見つけられる環境が整ったことで、従来型の一極集中型ファン活動から、分散型で多彩な推し活へと進化している。・推し活にかける年間支出はジャンルによって大きく異なる。インテージ調査によると、国内アイドルには年間平均で約 4.8 万円、ミュージシャンには約 3.4 万円、K-POP アイドルには約 2.7 万円が費やされている一方、アニメや漫画には約 1 万円にとどまる(図表 5)。・こうした支出は、推しコンテンツの保有者に直接利益が及ぶ「公式消費」だけでなく、ファンの自主的な活動や関連サービスとの連携による「自主消費」「付随消費」「コラボ消費」など、多層的な構造から成り立っている(図表 6)。ジャンルごとの支出額の差には、推しに会うための交通費や宿泊費といった間接的なコストの違いも影響していると考えられる。 32 ファイナンス 2025 Nov.本稿では、近年若年層を中心に流行している“推し活”について、特徴を整理したうえで消費者と経済への影響を考察する。137推し活 ~若年層を中心に急成長する消費形態~大臣官房総合政策課 川野 祥太/瀧岡 信太朗コラム 経済トレンド

元のページ  ../index.html#36

このブックを見る