組替組替 本 銀国日SPOT 民 等 行図表 1 政府預金津田夏樹課長に聞く、日本の国庫制度(後編)政府預金当座預金政府預金の種類(出所)大内(2005)受払別口預金 指定預金受払ファイナンス 2025 Nov. 25イナス金利時代には日銀との間で現先取引をしても結果的に資金が減るような状況になりえたため、運用が難しかったです。しかし利上げが始まり、短期金利もプラスになったので、現先取引も実施可能になりました。ただ、我々が運用するのは一時的な滞留資金であるため、1年間といった長期の運用はできません。そのため、1ヶ月の現先取引など短期の取引が中心となります。服部:国庫が対外的に行う運用としては、日銀向けの現先取引のみでしょうか。津田:現状、実態としては日銀向けの現先取引のみ、と言っていいと思います。制度上はもう少し広範な取引が可能であり、法的に言えば民間との間でも取引は可能です。ただ、実態としては日銀との間でのみ行われていますね。資金としては、外国為替資金、国債整理資金、財政融資資金といったものがありますが、法律上それぞれ運用対象資産が異なっています。国債整理基金は財投預託のほか国債のみを運用対象としています。そのため、取引の相手方はともかく、国債のレポや現先といった運用形態に限定されます。一方、財政融資資金はもう少し幅広い運用が可能だったと記憶しています。ただし、現実としては、現在は日銀との間での現先取引しか行われていないというのが私の理解です。外国為替資金になると、話は全く異なり、外貨建て債券の購入もできます。学生:現先で運用するのは、どのようなお金なのでしょうか。津田:現先取引で運用されるのは、「資金」の中の一時的に余っているお金です。なぜ一時的とはいえお金が余るのかというと、国債整理基金が毎月平準的に借換債を発行する一方、その資金を四半期ごとの過去に発行した国債の大量償還日に充てるまでの間に、一時的にお金が余るからです。その際、例えば今日資金を調達したものの、次の大量償還日までまだ 1ヶ月ほどあるといった状況では、その資金を 1ヶ月間そのまま置いておくのはもったいないため、運用したいと考えます。その時、最も簡単に運用できるのが、日銀を相手方とする現先取引であり、1ヶ月間資金を日銀に貸し付けるような状態にします。学生:大内(2005)では、特別会計の積立金を財政融資資金に預託して運用する、という話も出てきますが、これと資金は異なる話でしょうか。津田:「資金」も「積立金」も、国の歳出・歳入に計上されて国会から特定の目的での使用について議決を経るものとは異なり、より柔軟な運営のため歳出の外で適宜管理されるべき「資金プール」であるという点では同じです。資金も積立金も、財政融資基金に預託して運用することができます。服部:ここから政府預金について議論を進めていきたいです。財務省のウェブサイトでは、「日本銀行に設けられた国の預金のこと」と説明されています。これは日本政府が日銀に預けた預金といってよいと思いますが、政府預金の中にも複数の種類があります。図表1 に示される通り、政府預金の中に、「当座預金」があり、他にも別口預金・指定預金があります。財務省ウェブサイトの説明を参照すると、まず、当座預金については「政府預金の中心をなすものであり、国庫金の受払のうち国庫内振替収支を除く現金によるすべての受払が計上される預金」と説明されます。一方、別口預金は「政府預金の一つで、国庫金として払い込まれた代用納付証券や日本銀行が受払を行った貨幣を当座預金から組み替え、別計理するための預金」であり、指定預金は「政府預金の一つで、財務大臣がその運用方法又は利子等の特別の条件を指定した預金」です。それぞれの預金については図表 2 のように金額が開示されています。これをみればわかるとおり、当座預
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