ファイナンス 2025年11月号 No.720
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SPOT ファイナンス 2025 Nov. 19(昭和 3 年の「大観艦式と御召艦榛名」 出典:共道社 [編]『写真交名大鑑:御大典奉祝記念』, 共進社出版部 ,[昭和 4]. 国立国会図書館デジタルコレクション 写真交名大鑑:御大典奉祝記念 - 国立国会図書館デジタルコレクション)昭和 100 年―百年前の新聞や日記から―その 1(2)対支外交こんがらかり妥協どころに騒ぎでなくてむしろ軍縮会議やり直しとも云ふべき困難なる立場に立至つた、…」。「軍縮会議愈々決裂へ 英国の最後提案に 米國、絶対反対を表明 物別れになった全權会議」〔7.30 東日夕刊〕は「…英国全権ブリツヂマン氏は英国の最後案として新提案を示したが、…これに対し米国全権は直ちに絶対的不同意を唱へた。…かくして三国全権は各自本国政府に請訓することとなつた…」と伝える。軍縮交渉が行われた海軍について。「錦旗の下に史的意義深き 昭和第一次の大観艦式 わが海軍の威力を示して 海に現出せる空前の盛儀」〔10.31 東日〕は「層雲断続、どんよりと打ちくもつた大空のもと、風露肌へに快い横浜港外の青うなばら、聖上御親臨観艦式をとり行せらる、海を圧して打ちならぶふねのかずは一百七十隻、なほその上に八十台の飛行機飛び、参加人員実に三万余、我国海軍の精衛を集め実に空前の盛事である…」との記事。荷風の「断腸亭日乗」も「十月三十日 曇りて時々雨ふる、観艦式とやらにて市中賑やかなり。」と町の雰囲気を伝える。まずは南京。「南京のわが領事館 革命軍に襲撃さる 三時間に亘って惨虐の限をつくし武器食糧を掠奪して去る」〔3.6 東日〕は「廿四日午前七時丗分南京日本領事館は多数の南軍から一斉射撃を受け掠奪其の他あらゆる暴虐をほしいままにされた…惨虐を尽くし正午頃に至り漸く南軍党の代表者がその場に来たりこれを制止したので南軍は退散した。…」との記事。関連して、「いよいよ列国一致 共同体度を表明 事件拡大傾向に鑑み 四國公使會議で決定」〔3.31 時事〕は「排外的色彩の著しい南京事件の波紋は、俄然拡大の傾向を帯び漢口、蘇州の形勢も険悪となり蒋介石氏の鎮圧命令は部下軍隊に徹底を望み難きの実情に対し居留民の保護を念とする列国大使の憂慮は深甚なものあり被害関係国公使館には、応急策と善後措置につき協議が継続され、…結局は右被害関係国政府間に於て事件の解決は勿論同一事件の防止方に付一致共同して適切なる態度を表明することに決した模様である。…」とある中、「蒋介石、全然実力を失い 上海恐怖状態に陥る 邦人、政府の決意要望」〔4.2 国民〕は「当地の形成は益々険悪、恐怖次第に募り来れるの観あり、暗殺団横行し、反共産派殊に右傾派国民党員は皆所在を晦ましている、…左右両派の板挟みとなった蒋介石は行動の自由を失ひ、会見を約した公使重要人物等を入口で追返した事幾度なるを知らず、尚、彼の地位を一層絶望ならしめたのは上海の財政権を漢口より派遣された宋子文の任命せる財政委員に奪はれた事で…」の報道もあり、「この応急に応ぜずんば やむなく『適当の措置』国民政府と蒋氏に突き付けた共同抗義の全文(本日付外務省公表)」〔4.12 東朝〕は「南京事件に関し四月十一日在漢口日英米仏伊五国総領事は…左の共同通牒を提出し同時に在上海五国総領事は右通伝を国民党総司令蒋介石将軍に通告した。五国共同通牒 …一、虐殺傷害侮辱並びに損害に付責に任ずべき軍隊の指揮官およびこれに関与せられる者に対する厳重なる処罰を加ふること 二、国民軍総司令より文書をもつて謝罪をなし同文書中に外国人の生命財産に対する一切の暴行扇動を行はざる旨の明約を含ましむること。三、人的障害及び物的損害に対し完全なる賠償をなすこと。…」との報道。そんな中、「山東出兵いよいよ断行 満州から二千名を派遣 けさ首相参謀総長参内御裁可を仰ぎ 直ちに声明書発表さる」〔5.29 東日夕刊〕は「政府においては済南方面の形勢が廿七日以来とみに悪化せるに鑑み、いよいよ既定方針に基づき出兵を断行する事に決定し廿八日田中首相は午前九時廿分鈴木参謀総長は同九時丗分前後して赤坂離宮に参内し姫路第十師団菅下の部隊二千名を大連より海路青島に急派すべく上奏御裁可を仰ぎ直ちに武藤関東軍司令官に対し電命を発し

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