(2)暗号資産に係るテクニカルセミナー(1) 政治的コミットメントの重要性に係る パネル・セッションAPG/ MENAFATF ALL-STAR”と言うべき陣容でのAPG の運営方針を決定することだが、今回はその過次期相互審査に向けた準備と域内の能力開発支援強化という共同議長優先事項の取組の一環として、本会合初日である 8 月 27 日(水)、マネロン等対策における政治的コミットメントの重要性を確認し、(APG 域内を越えて)グローバルネットワークが連携して学び合う場となるパネル・セッションを開催した。本セッションは、これまでの FATF・APG での活動で構築した良好な関係を活かし、FATF の現・前議長が開会・閉会挨拶を、APG 共同議長(梶川審議官)とMENAFATF注5 議長が議論の前半と後半のモデレーターを、FATF 事務局長と MENAFATF 事務局長がパネリストの一員を、それぞれ務めるなど、“FATF/開催が実現した。同セッションでは、日本の発案・企画の下、近時グレイ・リストからの脱却に成功した幾つかの法域からその取組や経験を聴取し、議論を深めることができた。結果として、参加者からは、本分野における日本の強いコミットを感じる、大変有意義な会合であったとのコメントが場内外で多数聞かれた。上述の通り、APG 年次総会の一つの大きな役目は、程と結果において、国際交渉における「地の利」を改共同議長優先事項の取組の1つとして、金融庁と協働し、8月26日(火)に暗号資産に関するセミナーを開催した。登壇したパネリスト8 名中4 名を日本人で構成するとともに、FATFの拡散金融プロジェクトでCo-Leadを務めた日本(財務省 松尾総括補佐)と米国のプレゼンを含め、本領域における日本のプレゼンスとFATFへの貢献を強くアピールすることができたセミナーとなった。また、本セミナーには、北朝鮮事案における官民協力に関するプレゼンターとして、民間から Chainalysis社を招聘した。北朝鮮による暗号資産窃取等への対応を含め、本年 5 月に G7 で採択された Financial Crime Call to Action(金融犯罪に対する行動要請)へのコミットメントを他国に先駆けて果たすという観点でも、非常に有意義な取組となった。なお、FATF の拡散金融プロジェクトに関してはAPG 事務局及び APG 域内からも極めて関心が高く、APG 事務局の求めに応じ、本会合 2 日目の 8 月 28 日(木)にも日・米両プロジェクト Co-lead によるプレゼンセッションを追加で実施した。この点でも、日本のプレゼンスを強く発揮することができた年次総会となった注6。めて痛感した。その一例を(詳細はぼかしつつ)紹介致したい。APG では、来たる次期相互審査に向けた事務局の 4 ファイナンス 2025 Oct.パネル・セッション前半でモデレーターを務める梶川審議官パネル・セッション前半でモデレーターを務める梶川審議官議場でパネリストとしてプレゼンする松尾総括(手前から 3 番目)議場でパネリストとしてプレゼンする松尾総括(手前から 3 番目)注5) 中東・北アフリカ地域における FSRB。Middle East and North Africa Financial Action Task Force の略。注6) 拡散金融プロジェクトに関しては、令和 7 年 9 月号のファイナンスを参照(https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/202509/202509i.html)3. 地の利も活かした国際交渉の醍醐味
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