ファイナンス 2025年10月号 No.719
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06420-----SPOT 副業※ 2024 年 10 月時点で公表されている情報をもとに記載。登録会員数は延べ人数であり、現在は活動していないユーザーも含まれる点には留意が必要。まとめ税務統計(3) 税務統計まとめ3002001002002331万人(年)サービス名ショットワークス 2004 年 320 万人ワクラクタイミーシェアフルLINE スキマニメルカリハロ(図表 25)就業構造基本調査 男女別副業者数と副業者比率の推移(再掲)(%)(万人)4008(図表 26)源泉徴収における甲欄、乙欄、丙欄の違い(図表 30)就業者全体に対する副業者の割合乙欄給与所得2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023(注)雑所得の数値は業務雑所得者数を指すが、2019 年以前は公表値が存在しないため、参考として 2020 年の数値を横置き。(出所)国税庁「民間給与実態統計調査」「申告所得税標本調査」(出所)総務省「就業構造基本調査」「労働力調査」、国税庁「民間給与実態統計調査」「申告所得税標本調査」、労働政策研究・研修機構「副業者の就労に関する調査(2007),(2022)」「副業者の就業実態に関する調査(2017)」、リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査」、HRog「いまさら聞けない“スポットワーク”をまるごと解説!特徴や課題、大手 5 サービスを知ろう」、メルカリハロ HP事業所得雑所得合計副業者(女性)副業者(男性)20072012開始時期 登録会員数 登録社数2017 年 40 万人2018 年 900 万人 13.6 万社2019 年5.5 万社 アプリ DL 数は 850 万人2021 年2024 年 800 万人 12 万店舗副業者比率(右軸)332万人20172022(年)備考公式 LINE アカウントへの友達登録数は 2,200 万人不動産所得給与所得を副収入として得ている人数事業所得を副収入として得ている人数甲欄 従業員が「扶養控除等申告書」を提出している場合に使用(一般的)乙欄 従業員が「扶養控除等申告書」を提出していない場合に使用日雇いの人や短期間雇用の場合に使用※日雇いや短期雇用の場合、扶養家族の有無にかかわらず、丙欄を使用。丙欄短期雇用とは、雇用期間が 2 カ月以内の場合を指す。給与所得給与所得乙欄人数事業所得を副収入として得ている人数事業所得雑所得統計名就業構造基本調査税務統計統計名「あなたはふだん何か収入になる仕事をしていますか」の問いに「はい」と答えた人のうち、「あなたはおもな仕事のほかに別の仕事もしていますか」の問いに「はい」と答えた人源泉徴収の「乙欄」適用者※乙欄:「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」(本業の 1 事業所のみに提出するべき書類)を提出していない者に適用される項目就業から得る所得を2つ以上申告している者のうち、「業務雑所得」、「給与所得」、「事業所得」を副収入として申告している者の延べ人数就業構造基本調査民間給与実態統計調査申告所得税標本調査取得不可業務雑所得者の人数水準(最新値)トレンド332 万人331 万人副業者の推計方法本 業事業所得給与所得を副収入として得ている人数・民間給与実態統計調査と申告所得税標本調査を見ることで、幅広く副業の実態を捉えられる(図表 23)。・ここまで推定してきた両税務統計の副業者数を合算した推移を見ると、感染症拡大前対比で横ばい圏である。就業構造基本調査が示す増加トレンドとは異なるが、副業者数の水準はどちらも直近で約 330 万人と近しくなっている(図表 24、25)。・トレンドの違いには、例えば税務統計で捕捉できない副業者の存在が影響を与えている可能性がある。近年増加しているスポットワーカーは「丙欄適用者」として源泉徴収される場合があり、その場合は民間給与実態統計調査の対象外となる(図表 26)。・就業構造基本調査、税務統計の推定副業者数(水準)は、直近でともに 330 万人程度であり、近しい結果だった。他方、推定副業者数の趨勢(トレンド)は、前者で増加、後者で横ばいと異なる結果だった(図表 27)。・トレンドに差が生じる理由として、副業者の推計方法や対象の違いなどが考えられる。例えば就業構造基本調査はアンケート調査で副業の内容を自由記述で問うため、友人の頼みによる高齢者の副業など、規模の大小によらず幅広い副業者が含まれる(図表 28)。税務統計では、スポットワーカーやギグワーカーなどの多様化する副業者を捉え切れていない可能性がある(図表 29)。・よって、副業者数のトレンドは、幅を持って“横ばい”ないしは“緩やかな増加”であると考える。経済正常化、人手不足による労働需要の拡大や働き方の多様化が副業の増加を後押ししている可能性がある。ただし水準は、就業者数約 6,800 万人(25 年 4 月労働力調査)に対して約 330 万人であり、副業がマクロ経済に与える影響はまだ限定的であるようだ(図表 30)。副業者(推定)約 330 万副業者比率=約 4.9%(330 万/ 6,800 万)就業者約 6,800 万約 6,470 万ファイナンス 2025 Oct. 25副業の実態把握専業者(推定)(図表 23)税務統計で捉えられる副業のカバー範囲(図表 24)税務統計の推定副業者数(乙欄+給与所得+事業所得+雑所得)(万人)350300250200150100500(図表 27)就業構造基本調査と税務統計の水準・トレンド(図表 28)本稿における各統計の副業者の推計方法(図表 29)スポットワーク市場の拡大

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