ファイナンス 2025年10月号 No.719
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5432000SPOT10税務統計(1) 民間給与実態統計調査税務統計(2) 申告所得税標本調査具体例(万人)5,5005,0004,5004,000(年)(%)3938373635(年)給与所得 副業者計(年)事業所得 副業者計(年)(万人)3002502001501002014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023(%)62014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023403020102014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 202340302010(年)2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023業務雑所得その他雑所得20222023乙欄適用者数(左軸)給与所得者総数(右軸)乙欄適用者比率(左軸)非正規比率(右軸)不動産所得者事業所得者不動産所得者給与所得者所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出することが多く、その場合は甲欄適用者となる。ミーの統計的把握」内閣府経済社会総合研究所季刊国民経済計算第 166 号公的年金雑所得20202021は、家賃収入などの不労所得が多くなると想定されるため、副業の集計対象から除いている。(注)雇用者として副業収入を得る場合でも、乙欄適用者とならない可能性がある点には留意が必要。例えば、本業は自営業で副業が雇用者である場合、副業の勤め先に「給与(出所)国税庁「統計年報」「民間給与実態統計調査」「申告所得税標本調査」、総務省「労働力調査」、山澤(2020)「フリーランスの数をどう把握するか―シェアリングエコノ(万人)400300200100(注)雑所得は、年金受給による申告が多くを占めるため、本業の集計対象から除いている。不動産所得は、不動産事業による収入が申告され得るものの、副収入での申告時に(出所)国税庁「申告所得税標本調査」「乙欄」について定義源泉徴収の「乙欄」とは、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出していない者に適用される項目・「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は、本業の 1 事業所にのみ提出する書類・一般的に、雇用者の多くは上記書類を勤務先に提出し、「甲欄」が適用される・副業や兼業を行っており、本業の事業所に書類を提出している場合・提出期限までに書類を提出しなかった場合説明適用条件所得区分雇用者から得た収入(事業所得・雑所得を主な所得としている場合)個人事業主としての事業活動の収入(給与所得・雑所得を主な所得としている場合)その他の副収入((1)公的年金等、(2)業務雑所得、(3)その他雑所得)※(2)の業務雑所得は、令和 2 年分より副業の収入を把握するために新設。給与所得事業所得雑所得・次に、税務統計から副業の分析を行う。本稿では「民間給与実態統計調査」、「申告所得税標本調査」を分析する。前者は源泉徴収税によるため雇用者の、後者は申告所得税によるため確定申告者の実態把握が可能(図表 15)。・民間給与実態統計調査に関して、“乙欄”の適用者を「雇用者として副業収入を得る者」と仮定する。乙欄とは、源泉徴収において、1 人の給与所得者が 2 か所以上の支払先から給与の支払を受けている場合に、その者の副業収入に適用される分類である(図表 16)。・乙欄適用者数の推移を見ると、感染症拡大により一時減少した後、足元は感染症拡大前と同程度まで回復。税務統計から見た雇用者としての副業者数は、均してみると横ばい圏と考えられる(図表 17)。他方、乙欄適用者が給与所得者総数に占める比率(乙欄適用者比率)と、労働力調査の非正規比率は比較的近しいトレンドであり、乙欄適用者には非正規雇用者が多く含まれている可能性がある(図表 18)。全数調査国税庁の統計調査標本調査・「申告所得税標本調査」のデータを用いて、就業から得る所得が 2 つ以上申告されている場合の副収入を副業所得とみなす。具体的には、本業からの所得として給与所得・事業所得・不動産所得を想定し、それとは別に給与所得・事業所得・雑所得が申告されている場合に副業とみなす。このうち、雑所得については、令和 2 年分より、副業による収入区分を申告する“業務雑所得”が新設された(図表 19)。・業務雑所得の申告人数は、4 年間で微増していることが確認される(図表 20)。・給与所得・事業所得を副収入としている延べ人数を確認すると、足下では横ばいの推移であるものの、長期で見ると緩やかな増加傾向にあることが確認される(図表 21、22)。民間給与実態統計調査会社標本調査申告所得税標本調査 24 ファイナンス 2025 Oct.(図表 15)国税庁の統計調査(図表 16)源泉徴収の「乙欄」について(図表 19)副業で想定される納税区分(図表 20)雑所得の申告者数(延べ人数)(図表 18)乙欄適用者比率と非正規比率の推移(図表21)給与所得を副収入として申告している人数(延べ人数)(万人)50(図表22)事業所得を副収入として申告している人数(延べ人数)(万人)50(図表 17)乙欄適用者の人数推移

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