ファイナンス 2025年10月号 No.719
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SPOT *15) ここの記載は白川(2008)の p.153 に基づいています。(後編に続く)目した概念というイメージでしょうか。津田:はい。だから、PL・BS を作っている世界と、キャッシュフロー計算書を作っている世界とでは数字が異なり、国庫課は基本的にキャッシュフロー計算書を見ているというイメージです。そして当然、なぜそのキャッシュが入ってきたのかということも把握する必要があるので、必要に応じてタグ付けをしているわけです。服部:なお、現在のように超過準備が日常的になる前は、当座預金の変動を考える上で、「銀行券要因」と「財政等要因」の動きが大切でした。日銀のオペについても、銀行券要因や財政要因に基づく当座預金の短期的な増減に見合って実行されるオペレーションを「一時的オペ」と呼んでいます*15。当座預金の変動の予測が大切であった理由は、当座預金の変動に伴い日銀の政策金利である短期金利が影響を受けることが大きな理由です。もっとも、今日的には、短期金利は補完当座預金制度における付利金利に紐づいて決定されています。この詳細は服部(2025)などを参照してください。参考文献大内聡(2005)「我が国の国庫制度について―入門編―」『ファイナンス』p.42-62. p.16-22.白川方明(2008)「現代の金融政策:理論と実際」日本経済新聞出版服部孝洋(2025)「はじめての日本公債」集英社新書ファイナンス 2025 Oct. 21津田夏樹課長に聞く、日本の国庫制度(中編)

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