民SPOT 日本銀行 間租税収入独法等貸付回収国債等発行収入 等社会保障費地方交付税交付金独法等貸付国債等償還 等納付金・法人税現先取引売戻代金 等国債等償還現先取引買入代金 等令和 6 年度740 兆円令和 6 年度△667 兆円国庫対民間収支令和 6 年度:73 兆円国庫対日銀収支令和 6 年度:△85 兆円(出所)財務省資料等を基に服部作成国庫一般会計国庫内振替収支特別会計等特別会計等*9) https://www.mof.go.jp/policy/exchequer/summary/index.htm#02政資金対民間収支の概念を確認できればとおもいます。そもそも、財務省のウェブサイト上では、国庫収支の説明として、「国庫収支とは、国庫金の受払いを整理したものです。国庫収支は、国から見た場合、受払の相手方がどこであるかによって、(1)国庫内振替収支、(2)国庫対日銀収支及び(3)国庫対民間収支の 3 つに区分されます」*9 と書かれています。この部分は、国庫についての書籍などで、紙面を割いて説明される点です。図表 10 は、財務省内でもよく使われている国庫収支についての図に、実際の金額をいれたものです。津田:まず、国庫収支とは、国庫金の受払を整理したものですが、国庫金を(1)国庫内、(2)対日銀、(3)日銀以外の対民間セクターと 3 つの区分をした上で、それぞれとのやり取りをまとめたものです。つまり、国庫の動きをこの 3 つのセクターに分けて考えるという区分法です。図表 10 の概念図をみると、図表 10 の真ん中に、ると、一般会計と特会のやり取りや、特会同士のやり取りが記載されています。これは政府預金内の資金の動きであり、単に内訳を変えているだけなので、政府預金の量は減ったり増えたりしないですよね。これが国庫内振替収支です。先ほど説明した国庫内引受や国庫余裕金繰替使用がこれに該当します。一方、この図の右側は、政府預金と日銀が直接やり取りを示していますが、これが(2)の「国庫対日銀収支」です。この一般会計と特会内の政府預金内のやり取りを超えて、例えば、日銀に対しての受払が発生すると、国庫対日銀収支になるわけです。例えば、日銀が金融政策の実施によって国債を購入すると、日銀は国から利払いを受けることになりますし、そのまま満期を迎えれば償還の資金を国から受け取ることになります。また、逆に日銀の利益のうち、国庫納付金として国に納められるものも含まれます。最後に、この図の左側に、国民など民間と政府預金のやり取り(国庫対民間収支)が記載されています。例えば、財務省が国債を発行して、民間銀行などが買うと、その代金が政府預金に入ってきて、国庫金として受け入れることになります。これがこの図の左側のことですね。服部:図表 10 を見ると、国民からの資金の入りが740 兆円あり、国民への資金の支払いが 667 兆円あります。この図の中では、まず、国庫対民間収支の規模が非常に大きいということがわかります。また、地方交付税交付金は国から地方自治体に渡るお金ですが、「前編」で議論したとおり、地方自治体の資金は国庫に含まれないので、これは国庫内でのやり取り(国庫内振替収支)ではなく、国庫対民間収支ということになるわけですね。津田:その通りです。国庫対民間収支については、国債の償還や発行も含められるので、ものすごく大きな規模になります。税収自体は数十兆円規模であるところ、対民間収支が数百兆規模の資金の動きになるのは、金融取引があるからです。学生:図表 10 を見た際に、日銀はこの図表の中心に配置されるべきではないかと感じました。実際の資金(1)の「国庫内振替収支」がありますが、これをみ 18 ファイナンス 2025 Oct.図表 10 国庫金の流れと国庫収支の概要
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