ファイナンス 2025年9月号 No.718
81/90

連載各地の話題 ファイナンス 2025 Sep. 77また、施設の機能によっては効果的・効率的な運営のノウハウが市にない場合もあるという懸念もありました。そんな中、いしかわ PPP/PFI 地域プラットフォーム(北國銀行、石川県、日本政策投資銀行、北陸財務局)を活用したサウンディング型市場調査を実施し、民間の資金やノウハウの活用、市民の想いを事業として実現できる可能性があるかアイディアをいただく機会としました。プレサウンディングに始まり、2 回のサウンディング型市場調査により、市民の一番期待した商業施設での可能性は少ないことも判明し、結果として公共施設で賑わいを創出し、民間事業者による出店で経済効果に繋げるよう、DO+B(設計指定管理一括発注)による賑わい交流拠点(LAKUNA はくい)と、PRE(公有地活用事業)による商業棟(LAKUNA ぷらす)として整備を進めることとしました。また、都市構造再編集中支援事業を活用し、周辺の一体整備も実施できることとなりました。令和 6 年 1 月 1 日午後 4 時 6 分、能登地方が震源地となった“令和 6 年能登半島地震”は、帰省でにぎわう半島に甚大な被害をもたらしました。発災当初は市役所に 1 千人以上の市民が避難し、眠れない夜を過ごしました。時が経つにつれ、津波被害や、市内全域での断水、大規模な液状化・側方流動も確認されました。結果として約半数の世帯(4219/8481)に被害が及ぶなど、震災からの復興にはまだ時間を要する状況です。(令和 7 年 6 月末現在)能登半島において、有史以来最大の被害をもたらした震災でしたが、幸いにして当市では電力の供給は途絶えなかったことから、市民に協力を呼びかけ、井戸水の提供による断水対策など、今後の災害時の備えとなるようなスキームを組むこともできました。サウンディング型市場調査や、市民・市内事業者、地元中学生などの意見を集約し、屋内公園や、図書カフェ、eスポーツスタジオなどの機能を備えた“LAKUNAはくい”は、令和 6 年夏の開業に備え、本体工事はじめ石川県による河川・県道の改修が進んでいました。液状化被害により、再工事となる箇所もありましたが、一部を除き令和 6 年 7 月 1 日、市の施行記念日に併せ開業することができました。震災からの復興に向けた明るい話題として発信できたことは、関わってくださったみなさまの尽力にほかなりません。開業から約半年で 20 万人の方が訪れ、当初計画していた年間 6 万 5 千人を大きく上回る結果となりました。計画では「雪の多い北陸では冬場の遊び場がない」という意見から、屋内公園を設置しましたが、昨今の温暖化の影響か、夏場での家族利用が当初想定していなかったほか、地元の中学生が、異なる高校に通うことになっても、図書カフェを活用し勉強を教えあうなど、新しいニーズも発見することができました。5.大きく予想を超えてきた4.帰省で賑わう能登半島が一変羽咋市想いを伝えるプレサウンディング液状化による被害

元のページ  ../index.html#81

このブックを見る