76 ファイナンス 2025 Sep.羽咋市は能登半島の基部に位置し、世界でも珍しい、車でドライブのできる“なぎさドライブウェイ”をはじめ、2 千年の歴史を誇る“能登國一宮 気多大社”や、国宝化を目指す“日蓮宗北陸総本山 妙成寺”など、恵まれた自然と、歴史が息づくまちです。観光資源に恵まれながら、宿泊についてはかつての民宿ブームも去り、能登の有力な温泉街の人気から、市民にも「羽咋市は通過型の観光地」という感覚が刷り込まれていました。この状況の中 2019 年、市では観光客の滞在時間を長くすることで、周辺観光や宿泊に繋げる取り組みのひとつとして、“能登里山海道千里浜インター”付近で“道の駅のと千里浜”を開業しました。 開業からこれまで、多くの観光客の方が訪れ、道の駅ランキングでも中部や県内でも上位評価となるなど、市民の想いを具現化できる施設へと成長してきました。市では、千里浜インターを海側の玄関口として整備を進め、道の駅のほか、宅地・商用地造成を行ってきましたが、これまで多くの人流を支えたもうひとつの玄関口として JR 羽咋駅があります。駅周辺には商店街がつらなり、かつては駅西口のショッピングモールにも多くの市民が訪れ、賑わいの拠点となっていました。平成 14 年、ショッピングモールから灯りが消え、パフェに歓喜する子どもの声も聞かれなくなりました。つられるように商店街でも閉店が進み、周辺の市民からは「廃墟で治安が悪くなる」「暗くて怖い」など、改善の要望が絶えませんでしたが、民間の所有地であることや、市での活用策を見いだせないまま月日が経過していました。平成 30 年、長らくの懸案事項であった旧ショッピングモールをはじめ、周辺の浸水対策、都市計画道路の整備も含んだ一帯の整備に取り組むこととしましたが、 一 番 の 課 題 で あ る 旧 シ ョ ッ ピ ン グ モ ー ル 約5,000m2 については、市民の要望も様々あり、限られた敷地や財源の中でどのような取り組みが最も効果的か根拠を示せず、整備方針が定まっていませんでした。1.はじめに2.JR 羽咋駅西口の暗闇3.アイディアがほしい賑わう道の駅のと千里浜荒れた旧ショッピングモール総務部まちづくり課 課長崎田 智之未来につながる復興に向けて羽咋市各地の話題連載各地の話題
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