12地震地震にに備備えるえる地震保険地震保険のの役割役割特集特集 ファイナンス 2025 Sep. 3地震多発国といわれる日本では、いつ大規模地震が発生するかわからない。近い将来に発生が危惧される大規模地震には、南海トラフ地震、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震、首都直下地震、中部圏・近畿圏直下地震などがある。中でも南海トラフ地震は今後 30年以内の発生確率が 80%、首都直下地震は同 70%と高い数値で予想されている。地震保険は、地震・噴火またはこれらによる津波を地震保険は、1964 年に発生した新潟地震を機に、地震による被災者の生活安定に寄与することを目的として、1966 年に創設された。地震リスクはその発生頻度と規模を統計的に把握することが難しいことに加え、巨大な被害を及ぼす可能性があり、保険金の支払額が巨額にのぼる恐れがある。民間の損害保険会社だけでこのような地震リスクを引き受けることは困難であるため、民間の損害保険会社の負担を超えるリスクを、政府が再保険によって分担して引き受ける「官民共同の保険」として、地震保険制度が創設された。これにより、大規模地震でも確実に保険金が支払われる直接又は間接の原因とする火災・損壊・埋没または流失による損害に対して補償される保険である。火災保険では地震を原因とする火災による損害や地震により延焼・拡大した損害は補償されない。地震保険の保険金の使途は限定されておらず、住宅再建・修復のほか、住宅ローンの返済資金、当面の生活や引越し費用など、暮らしの立て直しにも使うことができ、被災後の生活再建を支える役目を果たす。仕組みとなっている。また、政府が関与する公共性の高い保険であることから、長期的に収支相償となるように制度設計されており、保険料には保険会社の利潤が織り込まれておらず、保険会社や国に利益が出ない仕組みになっている(ノーロス・ノープロフィット)ことも特徴だ。これによりできる限り低い保険料が実現されている。創設当初の保険金限度額は、建物が 90 万円、家財が 60 万円、補償内容も全損のみと限定的だったが、1978 年の宮城県沖地震、1987 年の千葉県東方沖地震、1989 年伊豆沖群発地震、1995 年兵庫県南部地震約 29.8 万人※ 1約 2.3 万人※ 219,782 人※ 3(災害関連死含む)※南海トラフ巨大地震は令和 7 年 3 月時点のもの、首都直下地震は平成 25 年 12 月時点のもの。※ 1 想定条件は「冬・深夜、風速 8m/秒」※ 2 想定条件は「冬・夕方、風速 8m/秒」※ 3 令和 7 年 3 月 10 日現在(緊急災害対策本部)(出所)内閣府「防災情報のページ」南海トラフ巨大地震首都直下地震(参考)東日本大震災死者数全壊焼失棟数約 235.0 万棟※ 2(東日本大震災の約 19 倍)約 61 万棟※ 2(東日本大震災の約 5 倍)122,053 棟※ 3南海トラフ巨大地震と首都直下地震の被害想定地震保険の概要被災後の生活再建を支える地震保険地震保険制度地震リスクの特殊性に対応するため政府が再保険する「官民共同の保険」
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