ファイナンス 2025年9月号 No.718
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て、いわば“カルト的ブーム”を引き起こしている。コラム 2 「Lafufu 現象」に見るグッズ経済の光と影等身大Labubuが100万元超で落札される一方で、その「偽物」が“逆に人気”を集めているという、一件矛盾した現象が中国や世界の SNS 上で注目を集めている。模倣品「Lafufu(ラフフ)」は、正規品に似て非なる歪んだ顔つきや粗雑な造形が話題となり、Z世代を中心に「崩れた可愛さがむしろ癖になる」とし中国国内では 2024 年以降、浙江省義烏市や広東省広州市など模倣品の集散地で大規模な摘発が進められており、ポップマート自身も「Lafufu」を皮肉る形で商標出願を行うなど、知財対策に本腰を入れている。しかし模倣品の拡散速度は速く、特に越境 EC、個人転売、SNS を通じた“拡散型流通”に対しては、行政と企業双方の連携が不可欠になっている。ファイナンス 2025 Sep. 57ル店舗で「共感・拡散・体験」する設計を重視している。これは日本の玩具・雑貨業界にとって、新たなIP 展開モデルの示唆となり得る。また、すでにポップマートは渋谷・原宿・池袋など日本の若者文化の発信地に出店しており、アニメイトやロフトと提携し、日本の Z 世代にも一定の支持を得ている。また中国でも人気の「クレヨンしんちゃん」や「SPY×FAMILY」「鬼滅の刃」「NARUTO」などアニメ IP との連携のほか、ディズニー、MARVEL、コカ・コーラといった大手グローバルブランドとのコラボも行われ、中国国内においても手軽に購入することができる。今後、日本のアーティストや企業との IP協業が進めば、日中連携による“アジア発 IP”のグローバル展開も現実的な戦略となるだろう。ポップマートの成長は、単に企業の成功例にとどまらない。グッズが「モノ」から「体験」「記憶」「自己インフラへポップマートが北京・朝陽公園内に開設した、世界初のキャクターIP テーマパーク「POP LAND」。約 4 ヘクタールの敷地で、ポップマートの人気キャラクターを核とした体験を提供し、若年層から家族連れまで平日でもにぎわっている。(筆者撮影)海外ウォッチャーFOREIGN WATCHER連載海外 ウォッチャー 6 6 む す び: グ ッ ズ は 感 情 と 経 済 の

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