連載海外 ウォッチャー 56 ファイナンス 2025 Sep.参加者はオンライン、オフライン合わせて約 1,200 名で、総落札額は約 3.73 億元(約 52 万ドル)に達した。また、4 フィート(約 122 センチ)のミントグリーンの Labubu も 108 万元(約 15 万ドル)の高額で落札されるなど、巨大 Labubu 作品への高額評価の傾向は、ポップマートの IP が「玩具」の枠を超え、アート作品、投資商品へと進化している一つの事象であると言える。コラム 1 盲箱トイがアートになるとき2025 年6 月10日、現代美術・ジュエリーを扱う北京のオークションハウス、Yongle(永楽)国際オークションで開催された世界初のLabubu 専門オークションで、身長約131センチの“等身大Labubu”が124万元(約17.3 万米ドル)で落札された。Labubuはこれまで、K −Pop アイドル(BLACKPINK のLisaほか)やデビッド・ベッカムといったセレブがバッグやSNSに登場させたことによって注目とブランド価値が急上昇していたところ。IP ブランドが市場で正当に評価されるようになってIP 企業の“舞台”を整備し、民間の感性と市場で勝特に知財関連では、模倣品や海賊版の取り締まりが強化(著作権法や商標法の改正)され、信頼性の高いきた。また、地方政府による補助金制度など文化企業支援も積極化しており、北京・成都などの拠点都市では、文化クラスターとしての整備が進む。このように、ポップマートの成長は、国家主導で負する構図が交差した結果といえる。日本は世界屈指のキャラクターIP 大国であり、ポケモン、サンリオ、ジブリといったブランドが世界的に知られている。しかし、そのビジネスモデルは長らくアニメ起点・物語駆動型であり、フィギュアや玩具としての展開にはライセンス重視の慎重な姿勢が見られる。ポップマートは、物語よりもキャラの“存在感”と“世界観の共有”に重きを置き、ファンが SNS やリアショッピングモールに入居しているポップマートの常設店。東京を含む日本各地、世界各国にも展開。(筆者撮影)ポップマートのロボショップ(自販機)。ショッピングモールはもちろん、空港や駅など公共施設にも数多く設置され、手軽にブラインドボックスなどのグッズを数十元(数百円〜数千円)程度で購入できる。(筆者撮影) 5 5 日本市場との比較と協業の可能性
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