市場価格は、世界的な需給や生産者の状況、消費動向など複数の要因によって決定される。中でも生産者の動 市場価格は、世界的な需給や生産者の状況、消費動向など複数の要因によって決定される。中でも生産者の動れる面は大きいとみられる。コーヒー豆は生育可能な環境が限られており、赤道付近の一部地域に産地が偏在していれる面は大きいとみられる。コーヒー豆は生育可能な環境が限られており、赤道付近の一部地域に産地が偏在してい表11)。目下、世界のコーヒー豆生産の約半数がブラジルとベトナムの2か国に集中している(図表12)。表11)。目下、世界のコーヒー豆生産の約半数がブラジルとベトナムの2か国に集中している(図表12)。・コーヒー豆の市場価格は、世界的な需給や生産者の状況、消費動向など複数の要因によって決定される。中でも生産者の動向に影響される面は大きいと見られる。コーヒー豆は生育可能な環境が限られており、赤道付近の一部地域に産地が偏在しているためだ(図表 11)。 ーヒー豆輸入においても、ブラジル・ベトナム両国への依存度は極めて高い(図表13)。コーヒー豆の国際取引は、 ーヒー豆輸入においても、ブラジル・ベトナム両国への依存度は極めて高い(図表13)。コーヒー豆の国際取引は、目下、世界のコーヒー豆生産の約半数がブラジルとベトナムの 2 か国に集中している(図表 12)。い生産国が主な輸出国、日本をはじめとした先進国が主な輸入国となる貿易構造を形成している(図表14)。い生産国が主な輸出国、日本をはじめとした先進国が主な輸入国となる貿易構造を形成している(図表14)。 豆の生育は環境要因に対し極めて敏感であるため、気候変動の影響を受けやすい(図表15) 。昨今の地球温暖 豆の生育は環境要因に対し極めて敏感であるため、気候変動の影響を受けやすい(図表15) 。昨今の地球温暖◯ コーヒー豆の市場価格は、世界的な需給や生産者の状況、消費動向など複数の要因によって決定される。中でも生産者の動・またコーヒー豆の生育は環境要因に対し極めて敏感であるため、気候変動の影響を受けやすい(図表 15)。昨今の地球温暖化により、コー向に影響される面は大きいとみられる。コーヒー豆は生育可能な環境が限られており、赤道付近の一部地域に産地が偏在していーヒー豆生産へのマイナス影響が指摘されているところだ。加えて近年、コーヒー豆の主要生産国であるブラジルやベトーヒー豆生産へのマイナス影響が指摘されているところだ。加えて近年、コーヒー豆の主要生産国であるブラジルやベトるためだ(図表11)。目下、世界のコーヒー豆生産の約半数がブラジルとベトナムの2か国に集中している(図表12)。ヒー豆生産へのマイナス影響が指摘されているところだ。加えて近年、コーヒー豆の主要生産国であるブラジルやベトナムにおいて、干、干ばつなどの異常気象が発生しており、コーヒー豆生産への深刻な影響が報告されている(図表16)。◯ 我が国のコーヒー豆輸入においても、ブラジル・ベトナム両国への依存度は極めて高い(図表13)。コーヒー豆の国際取引は、、干ばつなどの異常気象が発生しており、コーヒー豆生産への深刻な影響が報告されている(図表16)。ばつなどの異常気象が発生しており、コーヒー豆生産への深刻な影響が報告されている(図表 16)。途上国に多い生産国が主な輸出国、日本をはじめとした先進国が主な輸入国となる貿易構造を形成している(図表14)。 世界のコーヒー豆供給の主要な担い手国において供給ショックが顕在化している一方で、一部では中国をはじめとして 世界のコーヒー豆供給の主要な担い手国において供給ショックが顕在化している一方で、一部では中国をはじめとして・このように、世界のコーヒー豆供給の主要な担い手国において供給ショックが顕在化している一方で、一部では中国をはじめとして世界◯ またコーヒー豆の生育は環境要因に対し極めて敏感であるため、気候変動の影響を受けやすい(図表15) 。昨今の地球温暖的なコーヒー需要が伸びているとの報告もあり、需給の逼迫から市場価格が高騰しているのが実情だ。化により、コーヒー豆生産へのマイナス影響が指摘されているところだ。加えて近年、コーヒー豆の主要生産国であるブラジルやベトナムにおいて、干ばつなどの異常気象が発生しており、コーヒー豆生産への深刻な影響が報告されている(図表16)。50連載経済トレンド インドネシア2万tブラジルグアテマラ(5%)(36%)2万t(6%)ベトナム10万t提供元: Bing2万t2万t(注 1)2023 年暦年でコーヒー豆生産の多い上(注2)生産国が集中する赤道付近の一部地域(灰色で着色)はコーヒーベ位 15 か国を黒塗りで示す。上位 15 か国提供元: Bing提供元: Bingルトと呼称される。(図表12)コーヒー豆の国別生産量(2023)の生産量は全世界の 9 割超を占める。(注 2)生 産 国 が 集 中 す る 赤 道 付 近 の 一 部 地 域(灰色で着色)はコーヒーベルトと呼称される。コロンビア4万t(27%)(10%)上位15か国の生産量は全世界の9割超を占める。(注1)2023年暦年でコーヒー豆生産の多い上位15か国を黒塗りで示す。341万tブラジルその他(30%)エチオピア34%56万t(5%)コロンビア196万tベトナム(18%)68万t(6%)インドネシア76万t(7%)(注)日本のコーヒー豆生産量(2023)は1t未満。2021ブラジルにおいて、霜害が生じたことによりコーヒー豆減産。2023ベトナムにおいて、エルニーニョ現象による干ばつに伴いコーヒー豆減産。2024ブラジルにおいて、20年ぶりの深刻な干ばつが発生。生産に影響。<主なコーヒー豆輸出国>(注)2022年暦年でコーヒー豆の輸出入数量の多い上位10カ国をそれぞれ示す。提供元: Bing<主なコーヒー豆輸入国>提供元: Bing気温上昇降水量の変化病害気温上昇や降水量の増加などの要因により、感染リスクが高まる。虫害コーヒー栽培の脅威となり得るコーヒーノミキクイムシなどが、気温上昇によりそれまで生息できなかった場所にまで分布が広がる。コーヒー豆価格高騰の背景コーヒー豆価格高騰の背景豆を生産する主な地域豆を生産する主な地域豆の国別生産量(2023)豆の国別生産量(2023)(図表14)コーヒー豆の主な貿易国(図表14)コーヒー豆の主な貿易国インドネシア2 万 t(5%)その他その他その他グアテマラ(5%)2 万 t(5%)2万tエチオピアその他13万tエチオピア2 万 t(6%)2万t2万tコロンビアコーヒー豆の各品種では生育に最適な温度があるため、温暖化4 万 tが進行すると生育不良となる。(10%)上記同様、生育のために最適な雨量があるため、生育期の雨季に降水量が少ないと生育不良となり、多いと湿度の高さにより病気発生リスクが高まる。降水量の変化病害虫害10▲5▲10▲152015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 25◯ このように、世界のコーヒー豆供給の主要な担い手国において供給ショックが顕在化している一方で、一部では中国をはじめとして(図表 13)日本のコーヒー豆(図表 11)コーヒー豆を (図表13)日本のコーヒー豆輸入相手国(図表13)日本のコーヒー豆輸入相手国世界的なコーヒー需要が伸びているとの報告もあり、需給の逼迫から市場価格が高騰しているのが実情だ。輸入相手国(2024)生産する主な地域 (2024) (2024)(図表13)日本のコーヒー豆輸入相手国 (2024)インドネシアインドネシア降水量の変化降水量の変化(注)文中、意見に関る部分は全て筆者の私見である。豆生産の多い上位15か国を黒塗りで示す。豆生産の多い上位15か国を黒塗りで示す。は全世界の9割超を占める。は全世界の9割超を占める。付近の一部地域(灰色で着色)はコーヒーベ付近の一部地域(灰色で着色)はコーヒーベ381万t量(2023)は1t未満。量(2023)は1t未満。気温上昇気温上昇(出所)国連食糧農業機関(FAO)、 Bing、財務省「貿易統計」、武田淳「コーヒー2050年問題」、各種報道等病害病害インドネシア76 万 t(7%)虫害虫害(注)日本のコーヒー豆生産量(2023)は 1t 未満。気温上昇や降水量の増加などの要因により、感染リスクが高まる。気温上昇や降水量の増加などの要因により、感染リスクが高まる。コーヒー栽培の脅威となり得るコーヒーノミキクイムシなどが、気温コーヒー栽培の脅威となり得るコーヒーノミキクイムシなどが、気温上昇によりそれまで生息できなかった場所にまで分布が広がる。上昇によりそれまで生息できなかった場所にまで分布が広がる。その他その他381万t381万t34%34%(18%)(18%)アア(図表11)コーヒー豆を生産する主な地域その他381 万 t34%ブラジル341 万 t(30%)ベトナム196 万 t(18%)エチオピア56 万 t(5%)コロンビア68 万 t(6%)(出所)国連食糧農業機関(FAO)、Bing、財務省「貿易統計」、武田淳「コーヒー2050 年問題」、各種報道など供給ショック懸念(生産国の気候変動など)が表出投機筋が価格上昇を見込んで、“先物買い”を活発化相場乱高下需給逼迫、価格上昇が続くため、“先物売り”を縮小(買い戻し)“売り手”が減少し、“先物買い”が優勢に(出所)商品先物取引委員会(CFTC)、日経新聞、Christian Bunn, Peter Läderach,OrianaOvalle Rivera&Dieter Kirschke「A bittercup:climate change profile ofglobalproductionofArabicaandRobustacoffee」、各種報道など機関(FAO)、 Bing、財務省「貿易統計」、武田淳「コーヒー2050年問題」、各種報道等機関(FAO)、 Bing、財務省「貿易統計」、武田淳「コーヒー2050年問題」、各種報道等ーヒー需要が伸びているとの報告もあり、需給の逼迫から市場価格が高騰しているのが実情だ。ーヒー需要が伸びているとの報告もあり、需給の逼迫から市場価格が高騰しているのが実情だ。提供元: Bing提供元: Bing(注1)2100年の平均気温が産業革命時比1.4℃~3.1℃上昇ペースで進むシミュレーションに基づいた想定。(注2)出典は2014年時点。提供元: Bing提供元: Bingファイナンス 2025 Sep. 49ブラジルブラジル341万t341万t(30%)(30%)ベトナムベトナム196万t196万tブラジルブラジル13万t13万t(注)2022 年暦年でコーヒー豆の輸出入数量の多い上位 10 カ国をそれぞれ示す。<主なコーヒー豆輸出国><主なコーヒー豆輸出国><主なコーヒー豆輸出国>(図表14)コーヒー豆の主な貿易国ブラジル13 万 t(36%)ベトナム10 万 t(27%)(図表16)コーヒー豆主要生産国における近年の異常気象(注)2022年暦年でコーヒー豆の輸出入数量の多い上位10カ国をそれぞれ示す。(注)2022年暦年でコーヒー豆の輸出入数量の多い上位10カ国をそれぞれ示す。<主なコーヒー豆輸入国><主なコーヒー豆輸入国><主なコーヒー豆輸入国><ロブスタ種>55%28%46%40%(図表 12)コーヒー豆の国別生産量(2023)(図表 17)商品先物価格高騰のメカニズム(図表 15)気候変動がコーヒー豆栽培に与える影響(図表 18)コーヒー豆先物の売買動向(万枚)15(図表 14)コーヒー豆の主な貿易国(図表 16)コーヒー豆主要生産国における近年の異常気象(図表16)コーヒー豆主要生産国における(図表16)コーヒー豆主要生産国における近年の異常気象近年の異常気象202120212021202320232023202420242024(図表 19)『2050 年問題』の概要コラム 経済トレンド 1352万t2万t(5%)(5%)グアテマラグアテマラエチオピアエチオピア(36%)(36%)ベトナムベトナム(5%)(5%)(6%)(6%)10万t10万t(図表15)気候変動がコーヒー豆栽培に与える影響(27%)(27%)コロンビアコロンビア4万t4万t(10%)(10%)(注)コーヒー豆先物市場における建玉残高の動向を示す。◆現在のコーヒー豆栽培適作地域のうち、2050 年時点でも引 続き適作地域として持続している割合(現在を100%とする)100%<アラビカ種>50%66%51%0%全世界 南米 東南アジア 全世界 南米 東南アジア(図表15)気候変動がコーヒー豆栽培に与える影響(図表15)気候変動がコーヒー豆栽培に与える影響コーヒー豆の各品種では生育に最適な温度があ気温上昇コーヒー豆の各品種では生育に最適な温度があるため、温暖化コーヒー豆の各品種では生育に最適な温度があるため、温暖化るため、温暖化が進行すると生育不良となる。が進行すると生育不良となる。が進行すると生育不良となる。上記同様、生育のために最適な雨量があるため、生育期の雨季に降水量が少ないと生育不良とな上記同様、生育のために最適な雨量があるため、生育期の雨季上記同様、生育のために最適な雨量があるため、生育期の雨季り、多いと湿度の高さにより病気発生リスクがに降水量が少ないと生育不良となり、多いと湿度の高さにより病に降水量が少ないと生育不良となり、多いと湿度の高さにより病高まる。気発生リスクが高まる。気発生リスクが高まる。気温上昇や降水量の増加などの要因により、感染リスクが高まる。コーヒー栽培の脅威となり得るコーヒーノミキクイムシなどが、気温上昇によりそれまで生息できなかった場所にまで分布が広がる。ブラジルにおいて、霜害が生じたことによりコーヒー豆減産。ブラジルにおいて、霜害が生じたことによりコーヒーブラジルにおいて、霜害が生じたことによりコーヒー豆減産。豆減産。ベトナムにおいて、エルニーニョ現象による干ばつに伴いコーヒー豆減産。ベトナムにおいて、エルニーニョ現象による干ばつにベトナムにおいて、エルニーニョ現象による干ばつに伴いコーヒー豆減産。伴いコーヒー豆減産。ブラジルにおいて、20 年ぶりの深刻な干ばつが発生。生産に影響。ブラジルにおいて、20年ぶりの深刻な干ばつが発ブラジルにおいて、20年ぶりの深刻な干ばつが発生。生産に影響。生。生産に影響。買い越し売り越し・我が国のコーヒー豆輸入においても、ブラジル・ベトナム両国への依存度は極めて高い(図表 13)。コーヒー豆の国際取引は、途上国にコーヒー豆価格高騰の背景多い生産国が主な輸出国、日本をはじめとした先進国が主な輸入国となる貿易構造を形成している(図表 14)。・なお昨今のコーヒー豆市場価格高騰には、投機マネーの動向が関係しているとする指摘もある。コーヒ豆先物市場では、将来の価格変動に対するリスクヘッジから、“売り・買い”双方のポジションが作られる中で市場価格が形成される。しかし、需給逼迫によりコーヒー豆価格が上昇を続ける中、含み損を避けるために先物売りのポジションが縮小されている可能性がある。足下では売りポジション縮小による買い戻しと売り手減少の双方を受け、「買い越し」が続いている状況にある。(図表 17、18)・このように実際の需給によらない事象も、価格高騰の一要因となっていることに留意が必要である。しかしながら根底となる背景には、全世界的な需要に対し供給国が一部地域に偏在する需給構造、そして昨今の気候変動リスクがあることに変わりないだろう。・気温上昇などの気候変動は、コーヒー供給そのもののリスクとなり得るようだ。一部研究によると、地球温暖化により、コーヒー豆栽培に適した環境が 2050 年に世界全体で半減するとしている(図表 19)。これは所謂『2050 年問題』として知られている。・これまで述べてきた通り、コーヒーの実情について把握する上では、コーヒー豆のグローバルな需給構造について留意する必要がありそうだ。昨今のコーヒー価格高騰は、供給サイドに所在するリスクが表面化した事象といえよう。なお『2050 年問題』はじめ、供給サイドの先行き懸念は根強い。さらなるコーヒー価格高騰の可能性についても念頭に置くべきであろう。今後の展望コーヒー豆価格高騰の背景
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