SPOT 参考文献大内聡(2005)「我が国の国庫制度について―入門編―」『ファイナンス』p.42-62.坂口和家男(2023)「財務省の礎(いしずえ) 国庫課へようこそ」『ファイナンス』p.16-22.服部孝洋(2025)「はじめての日本公債」集英社新書ファイナンス 2025 Sep. 25政府預金の受払計理のことで、あらゆる出納機関で取扱われた国庫金の受払いが日本銀行本店で集中計理されるプロセスです。服部:さきほど、政府の口座は一つなので、年金特会にお金が入ったときにはそれを事後的に区別する、といった話をしました。その区別が国庫計理ですよね。一方、最初に国民や企業等が年金保険料を支払う際に、政府預金の当座預金の残高が増える、という部分は資金計理に関する部分ですよね。津田:そうです。年金保険料の受け入れの際に、資金計理では、政府預金の当座預金としてその全額を一時的に受け入れた後、いくつかの指定預金口座に仕分けて整理します。一方で、国庫計理は、受け入れられた国庫金を分かりやすくするために厚労省の年金特会のお金としてタグ付けをしているともいえます。服部:タグ付けするという行為自体が会計行為そのものですよね。通常の企業の会計でも、費用の種類によって会計項目を区分していますし。津田:まさにそうです。企業会計で例えるのが分かりやすいと思いますね。服部:大内(2005)では「資金計理とは、国庫全体の資金面の動き(政府預金の増減)のみを捉えるもので、国庫計理とは、国庫内振替(政府預金の増減を伴わない国庫内部の国庫計算科目間の振替取引)を含めた個々の国庫金受払いのすべてを所定の区分に従って集計・整理するものである」と説明していますが、このような文脈を踏まえて読むと理解が深まりますね。なお、大内(2005)では国庫金の計理として、国庫金のバランスシートについて説明しているので、その説明は同論文に譲ろうと思います。(中編に続く)津田夏樹課長に聞く、日本の国庫制度(前編)
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