SPOT 20 ファイナンス 2025 Sep.*5) ここまで国庫グループと現金グループの話をしてきましたが、国庫グループと現金グループを説明した資料として坂口(2023)があります。は 10 人くらいでしょうか。現金グループは、「通貨された貨幣は、造幣局まで引き上げて、もう一度溶かして地金にして作り直します。服部:日銀の資料を見ると、紙幣がボロボロになると、日銀に換流して新しいものに変えると説明されていますが、貨幣も同じように作り直しをしているわけですね。津田:そうです。ただ紙幣は、基本的に傷んだり破れたりして使えないと思ったら、裁断して破棄するだけですが、硬貨の方は金属なので、鋳つぶして地金に戻して再利用します。服部:それを、日銀を通じてまた流通させるわけですね。津田:通貨室には、このような貨幣の製造計画を立てる係(貨幣回収準備資金係)があり、その係では、戻ってきたお金を鋳つぶしてできた地金のうち、不要なものを売却する業務も行っています。国立印刷局や造幣局といった国庫課所管の独立行政法人のマネジメントについては通貨調整係がやっているのですが、独立行政法人は、独立行政法人通則法で規定されているように、毎年度の計画など、担当している役所(主務官庁)が評価をして、ちゃんと適切に運営されているかというのを確保することになっています。現金グループ(通貨室)には、例えば、万博記念貨幣のような記念貨幣のデザインや発行計画を担当する通貨企画係もありますね。また、通貨の偽造などを見ている通貨管理係もあります。各ライン、補佐を入れて 3 人くらいの職員で構成されています。服部:通貨の中でも、デジタル通貨を取り扱うグループもありますね。デジタル通貨企画係とデジタル通貨法規係があります。国庫課は通貨を担当しているという話もありましたが、デジタルも含めてマネーを担当しているということですね。津田:そうです。組織的には、通貨室があり、そのトップが通貨室長です。それと同じように、デジタル通貨には、デジタル通貨企画官というポストがあり、これがデジタル通貨を担当するトップですが、今は私が国庫課長と兼務しています。国庫については、国庫企画官がいます。いいでしょうか。津田:日々の資金繰りにおいてはそうですね。例えば、日本国債のカストディ業務については日銀がやっており、国債企画課や業務課も、国庫課と同様に日銀と実務的な関係が深いと思います。服部:日銀の中に、国庫を扱う局として業務局があります。日銀の業務局には100 人程度の人員が所属しているのですが、財務省の国庫課は 30 人ぐらいですよね。津田:財務省の国庫課は、大きく分けると、現金グループ、デジタル通貨グループ、国庫グループに分かれています*5。国庫管理そのものをやっている人たち室」という室になっています。服部:財務省の多くの課と同様、国庫課には企画係もありますね。津田:企画係は、この 3 つのグループの総合調整をする、国庫課長の直轄部隊みたいな感じです。服部:国庫課において、国庫収支や通貨については、どういう体制で対応されているのでしょうか。津田:まず、現金グループ(通貨室)において、通常の貨幣の製造計画を立てているグループがあります。今、貨幣には 500 円玉から 1 円玉の 6 種類があるわけですけど、まず、どの貨幣がどのぐらい足りないかなどを計算します。例えば、貨幣が摩耗して傷んでくると、市中の銀行を経由して最終的に日銀に返ってくるわけです。そうすると、傷ついてもう使えないと判断図表 5 財務省国庫課の体制(出所)筆者作成国庫総括係国庫調整係国庫収支係通貨総括係通貨企画係通貨調整係通貨管理係貨幣回収準備資金係デジタル通貨企画係デジタル通貨法規係国庫グループ現金グループ(通貨室)デジタル通貨グループ
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