連載セミナー 発信媒体の種類とコンテンツの性質を踏まえた情報発信の考え方1.発信媒体とコンテンツの関係令和 7 年度職員トップセミナーファイナンス 2025 Aug. 35ようにネット上にあってもマスがターゲットと言えるような媒体もあるので、“マス”向け媒体・“コア”向け媒体としています。段階」です。その次の段階は「企業名くらいなら知っている」、さらに次の段階は「その企業は何をやっているかは理解している」、次は「その企業の商品なり組織なりの強みみたいなものまで分かっている」、さらに次は「実際に製品を購入したり、サービスを体験したりする」となり、最後の段階は「最終的にファンになる」という流れです。マスメディアと SNS とでは、このカスタマージャーニー上でターゲットにしている相手が違うのです。企業名すら知らない人に対しては、マスメディアによるアプローチが効いて、まず名前だけでも知ってもらおうというアクションになります。一方、SNS は、検索してたどり着く、フォローしてたどり着くものですので、理解度の高い段階の人に渡る情報を配置する必要があるのです。カスタマージャーニーで考えると、初期の段階の人にはマスメディアが効果的で、後期の段階の人には SNS など深い情報を求めている人に情報を伝えられる媒体が効果的です。発信媒体(“マス”向け媒体・“コア”向け媒体)とコンテンツの性質(“マス”向けコンテンツ・“コア”向けコンテンツ)との関係を考えます。※話者注:前述の今までどおり新聞やテレビに取り上げてもらうときには、社会性の高い、初心者向け情報提供で大丈夫です。「“マス”向け媒体・“マス”向けコンテンツ」です。一方、SNS などで発信する場合は、“コア”向けの情報でないといけないので「“コア”向け媒体・“コア”向けコンテンツ」が適しています。“マス”向け媒体に対しては“マス”向けコンテンツで、旧来の広報と同じことをする、それに加えて、“コア”向け媒体に深い情報提供する、という二つを考えれば、カスタマージャーニーの全体を通るような情報の流れが作れます。をお話しします。ロジクールという PC 周辺機器を販売している企業が2万円ぐらいするゲーム専用マウスを開発しました。まずはマスメディアに取り上げてもらいたかったので、比較的初心者向けの分かりやすい情報を提供するメディア向け発表会を実施しました。そこで、ゲームが好きで、ゲーム配信に力を入れ始めている芸能人の方をお呼びして、「実はゲーム好きなんです」といった情報を出します。するとヤフーニュースのトップにもそれが掲載されました。これは“マス”向けなので、すべての言いたいことは言えていません。芸能人の方のゲーム好きというところにフォーカスが当たるので製品のことはそこまで伝わらないけれども、会社名や製品名、基本情報は書いてもらえるという内容の情報提供です。しかし、それだけでは購買にまではそう至らないので、SNS でマウスをレビューしているユーチューバーの方に動画を作ってもらいました。これは“コア”向け情報です。すると「前のモデルより 5g 軽くなっています!」というような、コアなファンに刺さるような話を動画でしてくれました。5g 軽くなったことがすごいことなのか、一般の人から見ると分かりにくいのですが、電子機器が好きな人には非常に重要な情報です。5g の差は弱くマスメディアでは取り上げられにくい情報なのですけれども、“コア”向けのコンテンツを展開している人はそういう情報を発信してくれます。そして公式 SNS では、プロゲーマーとのファンミーティングをやっていますよ、といった話をして購入してファンになってくれた人も満足するような施策にもつなげます。新聞やテレビのような“マス”向け媒体には、初心者向けの“マス”向けコンテンツを提供し、YouTubeや SNS などの“コア”向けを選択してたどり着く人がいる媒体では深い話を提供して、このすべての領域の人をカバーしております。これはジャーニーを“マス”から“コア”に落とす流れを作ったというものです。2.カスタマージャーニーの流れを作る(1)私が担当している企業さんを例に挙げて、イメージ3.カスタマージャーニーの流れを作る(2)逆にジャーニーを“コア”から“マス”へ上げる例
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