(下流工程)(上流工程)付加価値立ち位置の計算(注)D-U立ち位置 D+U(図表 1)GVC 上の「立ち位置」の例(図表 3)電気・光学機器(図表 2)スマイルカーブのイメージ図(図表 4)繊維(図表 5)輸送機器 10 ファイナンス 2025 Aug.テレビの下流度:3(注)(GVC上の立ち位置)(付加価値比率)0%100%90%80%70%60%50%40%30%20%10%0.5▲0.3▲0.2▲0.10.00.10.20.30.4上流下流米国中国日・韓・台2007-20112019-2023日本中国ASEANGVC上の立ち位置付加価値比率0%100%80%60%40%20%0.4▲0.20.10.0▲0.10.20.3上流下流2007-20112019-2023GVC上の立ち位置付加価値比率0%100%80%60%40%20%0.40.00.10.20.3上流日本中国韓・印独・米下流2007-20112019-2023SPOT付加価値比率:各国各産業における付加価値額(産出額から中間投入を差し引いたもの)を、同国同産業の産出額で除したもの。テレビの上流度:2(注)テレビの立ち位置:+0.2原材料(鉱物)シリコン(化学)半導体(電子機器)化学41上流度(U)下流度(D)▲0.6テレビ(電気機械)販売店(小売)電子機器32電気機械23▲0.2+0.2(上流)(下流)(注)上流度(U):最終財から上流に向かって測った、当該産業までの生産工程の数。下流度(D):原材料から下流に向かって測った、当該産業までの生産工程の数。立ち位置:産業間で比較するにあたり、上流度と下流度の和で割って基準化を行っている。(出所)菅沼健司「グローバル・バリュー・チェーンの構造変化:「長さ」と「立ち位置」を用いた 60 年間の分析」(注)上図は各国の GVC 上の立ち位置と付加価値比率を 5 か年ずつプロットしたもの。バブルは付加価値額の規模を表す。(出所)ADB研究開発最終財(消費者)ブランド小売14+0.6設計製造組立バリューチェーンの立ち位置販売マーケティング流通・各産業において、「上流(工程)」「下流(工程)」という言葉があるように、各工程のポジションは異なっている。例えば、テレビという製品を考えると、原材料である鉱物資源から化学製品であるシリコンを製造する上流のポジションがある一方、消費者にテレビを販売する家電量販店(販売店)という下流のポジションも存在する。・こうしたポジションを端的に表すのがグローバルバリューチェーン(以下、GVC)上の「立ち位置」である(図表 1)。GVC は、企業が生産工程の最適化を図るために、複数国にまたがって財やサービスの供給・調達を行う国際的な生産ネットワークを指す。「立ち位置」は、この GVC 上でどこのポジションにいるかを表す。数字が小さいほどより上流に位置する(負の値もとりうる)。・「立ち位置」によって付加価値は異なるといわれており、例えば、研究・開発等の上流工程、販売等の下流工程において付加価値が高く、反対に、製造・組立等の中流工程では付加価値が低いといった傾向が指摘されている。横軸に「立ち位置」、縦軸に付加価値をプロットした曲線が微笑んで上がった口角のように見えることから、「スマイルカーブ」といわれる(図表 2)。・産業ごとに「立ち位置」と付加価値の関係性は異なっていることから、プロットした曲線の形状も産業別に異なる。・まず、電気・光学機器産業をみると、「スマイルカーブ」のように両端が上がった形にはなっていないものの、より上流に位置する国が高い付加価値比率を持つという特徴が窺える(図表 3)。・繊維、輸送機器産業では、付加価値比率は概ね横ばいで、中流の付加価値額の増加が確認できる(図表 4、5)。・繊維、輸送機器の 2 産業についてプロットした曲線には「立ち位置」と付加価値比率の関係はあまり見られない一方、半導体産業(この場合の電気・光学機器産業に含まれる)のように、GVC 上のポジションである「立ち位置」が付加価値比率と関係する傾向が、この先、他の産業においてもみられるかどうかは、引き続き重要な関心事項であると考えられる。大臣官房総合政策課 笠置 雅弘/世良 多加紘/岡本 匡平/ 大村 直人/瀧岡 信太朗産業のポジションを表すグローバルバリューチェーン上の「立ち位置」産業別のスマイルカーブは観察できるか本稿では、貿易構造の変遷及びグローバルバリューチェーンにおける日本の産業のポジション変化について、確認する。日本の産業の付加価値貿易に おける変遷
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