1□□ 連載PRI Open Campus (出所)筆者作成(出所)日本家計パネル調査(JHPS)より筆者作成(出所)日本家計パネル調査(JHPS)より筆者作成図 2 標本統計:平均値の推移(医療受診の有無)図 1 差の差推定のイメージ図 3 標本統計:平均値の推移(医療費(千円))それでは、研究結果について見ていく。図 4 は、処置群の医療費(対数)が対照群のそれに比べてどれほど異なるか(縦軸)を、65~77 歳の年齢(横軸)ごとにプロットしたものである。点(点推定値)と上下に伸びた棒(信頼区間)がゼロよりも下に位置していると、処置群(70~74 歳の自己負担割合が 2 割)は、 について、自己負担割合が 1 割に低下した 75 歳では大きな変化は見られないが、76 歳で大きなジャンプが見られる。これらの結果は、自己負担割合の引き上げが医療費を抑制することを示唆するものと言える。時間を通じた変化70歳政策導入の有無による差75歳1944年3月以前生まれ(対照群)1944年4月以降生まれ(処置群)調査時年齢医療費1割2割どちらも3割どちらも1割2 . 3 研究結果2 . 3 . 1 医療費への影響A. 医療受診の有無□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ B. 医療費(実数,千円) A. 医療受診の有無□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ B. 医療費(実数,千円) 本稿で用いる識別戦略は,Komura and Bessho (2025) に従い,70歳・75歳での自己負担割合の変化の差を用いた差の差 (age difference-in-difference) 推定である7.前述したように,2014年4月の制度改 90 ファイナンス 2025 Jul.正により,1944年4月以降に生まれた処置群の70歳から74歳までの自己負担割合は2割である一方,IV. 識別戦略 図1□ 標本統計:平均値の推移 図1□ 標本統計:平均値の推移 (出所)日本家計パネル調査(JHPS)より筆者作成 (出所)日本家計パネル調査(JHPS)より筆者作成 IV. 識別戦略
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