● 住宅メーカーは、効率的な木材確保が可能。● 林業事業体は、不要な在庫を持つ必要がなくな100%ドローンレーザ計測・解析50%ドローン空撮・解析0%地上レーザ計測・解析レーザデータ等活用による境界案作成100%日報管理ソフトの活用GNSS 測位等を活用した集材・運材効率化50%0%ICT ハーベスタを活用した機械検知ドローンを活用した架線策張遠隔操作による架線集材支援~100%活用事例等なし、実証検証中活用事例等なし生産計画生産量遠隔操作デジタルツインAI 検知(画像識別等)林内通信タブレット(境界明確化合意形成)資源量解析地形解析無人機械計測技術進捗・労務管理体調日報下刈り機械施業計画流通コーディネート配送計画の自動化合法性の確保トラック輸送伐採監視(衛星)法人・団体等<原木市場・工場>AI 検知(選木機)需要量 価格岡山県真庭市ドローン運搬オルソ画像北信州森林組合電子申請AI 検査伊佐ホームズレーザ等による路網設計施業提案ソフト等の活用による提案等森林クラウドによる情報共有GNSS 等の電子測位による境界案作成合法性確認システム在庫・伝票管理システム原木 WEB 入札システム需給マッチング関連(SCM)システムLPWA 等を活用した労働安全対策~25%~50%~75%(注)各スマート林業技術の普及状況について、都道府県別に示す。各項目の普及割合に該当する都道府県数の割合(未回答の 1 都道府県を除く)を示す。(注)内円は現場で使われるスマート技術、外円は情報の流れを示す。事例概要クラウドと UAV を活用した情報共有● 地番現況図を用いて森林クラウドを導入し、行政機関と事業者との情報共有を促進。● UAV を導入、樹木の位置や種類等を上空から柔軟に把握する体制を構築。● 森林クラウドを用いることで、土地所有者情報や森林の分布を把握する作業を効率化。林業事業者が求められた木材を生産。り、林業経営を効率化。1086420(10 億ドル)安定供給制定年目的組合員資格 森林所有者のみ組織運営事業内容森林管理との関係4.955.4920242025ICT を活用した生産管理手法の導入● 境界明確化や森林資源調査で得られたデータについてデジタル管理を進めるとともに、原木の生産・流通についてICTを活用した生産管理手法を導入。ICT を活用した木材トレーサビリティの構築● 住宅メーカーが需要情報をシステムに入力し、森林組合法森林組合改正法1978 年2020 年改正森林所有者の協同組織の発展を促進し、森林の保続培養と生産力向上図る組合の経営基盤強化、組合員資格の拡大、事業執行体制の強化森林所有者以外にも拡大合併以外に事業譲渡・分割など多様な連携手法を導入合併による経営基盤強化が中心森林整備、木材販売、経営指導販売事業の拡大、森林経営管理制度との連携強化森林保有者の自主的な管理が中心市町村と連携し、森林経営管理制度の担い手としての役割を強化8.252029(年)適切な森林管理省エネ設備の導入(燃料転換・高効率化)CO2 等の排出削減・吸収量(J- クレジット)J-クレジット売却CDP・SBT への活用RE100 の目標達成温対法・省エネ法の報告経団連カーボンニュートラル行動計画の目標達成(図表 15)都道府県におけるスマート林業普及状況<資源管理・生産計画等>航空レーザ計測・解析(図表 18)J- クレジット制度の概念図<生産管理・流通等>木材検収ソフト(アプリ)の活用J- クレジット創出者再生可能エネルギーの導入農業での取組み目標達成、CSR 活動カーボン・オフセット資金J- クレジット購入者カーボン・オフセットSHIFT 事業生産性向上収益性向上安全性向上適材適所で使う収穫する育てる植える担い手確保(出所)林野庁「スマート林業実践マニュアル」、TheBusinessResearchCompany「SmartForestyGlobalMarketReport2025」、農林水産省「スマート林業の実現に向けた取組事例」、林野庁「スマート林業取組状況調査 結果概要」森林所有者市町村林業経営者経営管理を委託意向を確認経営管理を再委託林業経営に適さない森林森林所有者民間事業者林業経営に適した森林市町村が自ら管理森林所有者自ら、又は事業者に委託し経営管理<従前より><新たな制度を追加>連載経済トレンド (出所)林野庁 HP、林野庁「森林組合制度の課題と方向性について」、田辺真裕子「森林組合の経営基盤強化に向けた法改正ー森林組合法改正案をめぐる国会論議ー」、J- クレジット制度 HP・林業における生産性向上を目指すうえで、近年成長著しい地理空間情報や ICT 等の先端技術を活用し、林業の効率化・省力化により収益性改善を実現する「スマート林業」への期待がある(図表 12)。・スマート林業は、世界的な市場規模拡大が目される分野であり(図表 13)、国内で先進的に取組まれている事例もある(図表 14)。他方で我が国においては、資源管理等の領域でスマート林業が浸透しつつあるものの、生産管理・流通等の領域においては普及道半ばであり(図表 15)、生産性向上へ向けてさらなる拡がりに期待したいところである。・なおスマート林業の導入にあたっては、初期投資などのコストを踏まえた経済合理性の確保や、先進技術を扱える高度人材の確保、ノウハウの共有・蓄積などが必要となる。したがって、林業経営体においても相応の経営資源を有するべきであろう。・なお持続可能な森林経営を実現する上では、所有と経営の分離を促進することが一助になると考える。所有と経営の分離を進めることで、管理面積の拡大による規模の経済化によって効率性向上が図られ、小規模経営体では対応困難な大型機械やスマート林業技術の導入が推進される蓋然性が高まるからである。・2019 年より開始された森林経営管理制度の活用は、適切な森林経営の推進力となろう。森林経営管理制度とは、経営管理が行われていない森林について、市町村が仲介者となり、所有者から事業者へ管理を委託する制度である(図表 16)。2020 年の森林組合改正法により、森林経営管理制度における組合と自治体の連携、森林保有者と林業経営体との連携の強化が目指されている(図表 17)。・また、適切な森林管理等による CO2 の吸収量などを「クレジット」として国が認証する J- クレジット制度を活用することで、林業経営のインセンティブ向上を促し、当該産業の振興を後押しする可能性にも期待が持たれる(図表 18)。・林業経営の効率化・推進を図り、林業における先進技術を一層活用していくことで、持続可能な林業経営が促され、国土強靱化への取組みが強化されていくことに期待したい。コラム 経済トレンド 133(図表 13)スマート林業の市場規模の実績・予測(図表 14)国内におけるスマート林業導入事例(図表 12)スマート林業のイメージ図(図表 16)森林経営管理制度の概念図 (図表 17)森林組合法と森林組合改正法の比較(注)文中、意見に関る部分は全て筆者の私見である。ファイナンス 2025 Jul. 63林業の生産性向上へ向けて我が国の林業経営の展望
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