ファイナンス 2025年7月号 No.716
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SPOT※法法82の3②一の国別実効税率と同様、分母が零を超えるものに限り、計算する。※法法82の19②一の国内実効税率と同様、分母が零を超えるものに限り、計算する。【附則14①一】【附則14①二】連結等財務諸表に係る法人税等及び法人税等調整額の国別合計額適格CbCRにおける税引前当期利益の額に一定の調整を加えた金額※【附則14①三】➢ グローバル・ミニマム課税導入直後の軽減策として、令和6年4月1日から令和8年12月31日までに開始する対象会計年度(令和10年6月30日までに終了する対象会計年度に限る。)においては、特定多国籍企業グループ等のグループ国際最低課税額のうち、①デミニマス要件、②簡素な実効税率要件、又は③通常利益要件のいずれかを満たした国又は地域について、その国際最低課税額を零とする移行期間CbCRセーフハーバーを選択することができる。➢ これらの要件の判定においては、本制度の対象となる特定多国籍企業グループ等の大部分が国別報告事項(CbCR)の提出義務を負っていることを踏まえ、CbCRデータが使用されている。適用対象外となる構成会社等➢ 無国籍構成会社等や各種投資会社等(一定の要件を満たすものを除く)のように、国別実効税率計算上、区別して計算することとされている構成会社等一定の構成会社等(対象外構成会社等)は、移行期間CbCRセーフハーバーの適用を受けることができない。要件➢ 以下の要件のいずれかを満たす国又は地域の国際最低課税額(法法82の3②一~三に掲げる金額)を零とする。➢ なお、本セーフハーバーは、グループ国際最低課税額等報告事項等において本セーフハーバーを適用する選択を行った場合にのみ適用することができ、また、一度本セーフハーバーの適用を受けなかった対象会計年度があった場合には、その対象会計年度以後は、適用することができない。① デミニマス要件 次の要件の全てを満たすこと。➢適格CbCRにおける国別の収入金額が1,000万ユーロ未満であること。➢適格CbCRにおける国別の税引前当期利益の額に一定の調整を加えた金額が100万ユーロ未満であること。② 簡素な実効税率要件次の計算式による簡素な実効税率が次に掲げる対象会計年度の区分に応じそれぞれ次に定める割合以上であること。1. 令和6年4月1日から同年12月31日までの間に開始する対象会計年度 15%2. 令和7年中に開始する対象会計年度 16%3. 令和8年中に開始する対象会計年度 17%簡素な実効税率 =③ 通常利益要件適格CbCRにおける国別の税引前当期利益の額に一定の調整を加えた金額が、法法82の3③の規定を適用しないで計算した場合の法法82の3②一イ(2)によって算出される実質ベースの所得除外額(CbCRにおける事業が行われる国又は地域と所在地国が一致している構成会社等に係る金額に限る。)以下であること。図表 12 IIR 及び UTPR に係る移行期間 CbCR セーフハーバー図表 13 QDMTT に係る移行期間 CbCR セーフハーバー既に述べてきたとおり、我が国のグローバル・ミニマム課税については、法人税法の本則中に既存の「各事業年度の所得に対する法人税」(以下「法人所得税」という。)と並列する新たな章を設けた上で、関連する各規定を創設している。これについては、令和 5 年度税制改正の解説(乾慶一郎・山田尚功・水野雅・大隅怜「国際課税関係の改正」752 頁)において以下のとおり説明されている(下線は筆者による。)。「グローバル・ミニマム課税は、法人等の集合体である MNE グループが、当該グループを構成する会社等の所在する国・地域で稼得した所得等【附則18①一】【附則18①二】連結等財務諸表に係る法人税等及び法人税等調整額の我が国の合計額適格CbCRにおける税引前当期利益の額に一定の調整を加えた金額※【附則18①三】(※)各種投資会社等の所得・租税についてはその株主(オーナー)の所在地国のCbCRにも記載される可能性がある(二重計上)。そのため、各種投資会社等及びその株主(オーナー)の所得・租税が、同一の所在地国に計上される場合には二重計上される可能性がないため、その各種投資会社等はQDMTTに係る移行期間CbCRセーフハーバーの適用を受けることができる。適用対象外となる構成会社等➢ 各種投資会社等である構成会社等に対する所有持分を有する他の構成会社等のうちに当該各種投資会社等である構成会社等の所在地国をその所在地国としないものがある場合(※)における当該構成会社等(対象外構成会社等)は、QDMTTに係る移行期間CbCRセーフハーバーの適用を受けることができない。要件➢ 以下の要件のいずれかを満たす場合には、国内最低課税額(法法82の19①に定める金額)を零とする。➢ なお、本セーフハーバーは、グループ国内最低課税額報告事項等において本セーフハーバーを適用する選択を行った場合にのみ適用することができ、また、過去において、IIRにおける移行期間CbCRセーフハーバーの適用を受けなかった対象会計年度があった場合には、その対象会計年度以後は、適用することができない。① デミニマス要件次の要件の全てを満たすこと。➢適格CbCRにおける我が国の収入金額が1,000万ユーロ未満であること。➢適格CbCRにおける我が国の税引前当期利益の額に一定の調整を加えた金額が100万ユーロ未満であること。② 簡素な実効税率要件次の計算式による簡素な実効税率が17%以上であること。簡素な実効税率 =③ 通常利益要件適格CbCRにおける我が国の税引前当期利益の額に一定の調整を加えた金額が、法法82の19④の規定を適用しないで計算した場合の法法82の19②一イ(2)によって算出される実質ベースの所得除外額(CbCRにおける事業が行われる国又は地域とその所在地国が我が国である構成会社等に係る金額に限る。)以下であること。 56 ファイナンス 2025 Jul.(1)法人税法上の位置付け4 我が国の法体系との関係

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