SPOT 【QDMTT会計基準の趣旨・概要】✓ QDMTTでは、本税制と異なり、その国で一般に公正妥当と認められる財務会計基準(所在地国等財務会計基準)に基づき当期純損益金額を計算することも許容されている。しかし、制限なく所在地国等財務会計基準を用いることを認めてしまうと本税制との乖離のリスクが生じることから、QDMTTセーフ・ハーバーの適用に当たっては、財務会計基準に係る一定の要件(QDMTT会計基準)を満たす必要がある。✓ 具体的には、次に掲げる要件のいずれかを満たすQDMTTに関する法令は、QDMTT会計基準を満たすことになる。① 本税制と同様に当期純損益金額を計算することとされていること(法令155の54①一、法規38の43①)② 次に掲げる要件の全てを満たすこと(法令155の54①二)イ その国・地域においてQDMTTを課することとされている全ての構成会社等の所在地国等財務諸表(所在地国等財務会計基準に従って構成会社等の財産及び損益の状況を記載した一定の計算書類)が作成されている場合には、その所在地国等財務諸表に係る所在地国等財務会計基準に従って当期純損益金額に相当する金額を計算することとされ、かつ、いずれかの構成会社等の所在地国等財務諸表が作成されていない場合には、本税制と同様に当期純損益金額を計算することとされていること。ロ その国・地域においてQDMTTを課することとされている共同支配会社等グループについてもイと同様に当期純損益金額を計算することとされていること。【整合性基準の趣旨・概要】✓ QDMTTでは、若干の本税制と異なる適用範囲又は計算規定とすることも許容されている。しかし、制限なくこれらの相違を認めてしまうと本税制との乖離のリスクが生じることから、QDMTTセーフ・ハーバーの適用に当たっては、適用範囲や計算規定に係る一定の要件(整合性基準)を満たす必要がある。✓ 具体的には、次に掲げる要件の全てを満たすQDMTTに関する法令は、整合性基準を満たすことになる。① 最終親会社等又は被部分保有親会社等が対象会計年度開始の日からその終了の日までの期間においてその国・地域を所在地国とする全ての構成会社等に係る持分の全てを有する場合にのみQDMTTを課することとされているものでないこと(法令155の54③一)② その国・地域を所在地国とする共同支配会社等に対してQDMTTを課することとされているもの(同一の所在地国に構成会社等がある場合に、その構成会社等に対してその共同支配会社等のその所在地国に係るQDMTTを課することとされているものを含む。)であること(法令155の54③二)③ 個別計算所得等の金額の計算に関する規定に相当する規定が設けられているものであること(法令155の54③三)④ その他、グループ国際最低課税額の計算に関する規定が設けられていないことにより、そのグループ国際最低課税額の全額を控除するに至らないと認められる場合におけるQDMTTに関する法令でないこと(法令155の54③四、法規38の43③)図表 11 QDMTT セーフハーバーにおける QDMTT 会計基準と整合性基準グローバル・ミニマム課税の法制化について令和 8 年 12 月 31日以前に開始し、令和 10 年 6 月 30日までに終了する対象会計年度については、所定の要件のいずれかを満たす国・地域について、グループ国際最低課税額及び国内最低課税額を零とすることを選択できる「移行期間 CbCR セーフハーバー」と呼ばれる経過措置が設けられている(IIR/UTPR について令 5改正法附則 14、QDMTT について令 7 改正法附則 18)。移行期間 CbCR セーフハーバーにおいては、QDMTTセーフハーバー等と同様に情報申告において適用を選択する必要があることに加えて、その対象会計年度において移行期間 CbCR セーフハーバーの適用を受けるためには、過去のいずれの対象会計年度においてもその適用を受けていることが要件とされている(令 5 改正法附則14 ②一・二、令 7 改正法附則18 ②一・二)。ファイナンス 2025 Jul. 55(8) 移行期間 CbCR セーフハーバー(経過措置)
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