ファイナンス 2025年7月号 No.716
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SPOT② QDMTT セーフハーバー*29IIR 及び UTPR について、特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等が、我が国又は外国・地域において以下の要件を満たす QDMTT を課されている場合には*30、その所在地国の構成会社等に係るグループ国際最低課税額*31 をゼロとすることを選択できる(法会社等の所在地国とする特定多国籍企業グループ等である日本企業にとっては、その構成会社等の所在地国においてこれらの要件を満たす QDMTT を課されている場合には、当該所在地国に係るグループ国際最低課税額をゼロとすることで、我が国の IIR 課税に係る計算を省略することが可能となる。✓ その QDMTT に関する法令が、本税制における当期純損益金額の計算に関する規定と同様であると認められる規定が設けられている法令であること(QDMTT 会計基準)✓ その QDMTT に関する法令が、最終親会社等又は被部分保有親会社等がその国・地域を所在地国とする全ての構成会社等に係る持分の全てを図表 10 連結除外構成会社等の範囲*29X国Y国*29) 法規 38 の 44 ④(QDMTT については 38 の 66 ②)参照。*30) 我が国の QDMTT はこの要件を満たすように設計されている。*31) 無国籍構成会社等については、その無国籍構成会社等に係るグループ国際最低課税額(法法 82 の 3 ⑥柱書)。法 82 の 3 ⑥)。これにより、例えば、我が国を最終親有する場合にのみ QDMTT を課することとされているものでないことその他の一定の要件を満たすものであること(整合性基準)この要件はコモン・アプローチに沿ったものであることから、我が国が QDMTTセーフハーバーの要件を満たしたQDMTTを導入していることで、例えば、日本企業の子会社に当たる構成会社等の所在地国の法制の下で、最終親会社等の所在する我が国のグループ国際最低課税額に相当する金額をゼロとすることも同様に可能となる。これらの我が国を含めた各国のQDMTT が QDMTTセーフハーバーとしての要件を満たすか否かについては、各国が個別に判断するのではなく、今後 OECDにおけるIFによるピア・レビューにより審査されることとなる。【連結除外構成会社等の範囲】次に掲げる要件の全てを満たす構成会社等及びその恒久的施設等をいう。➢ 会社等の資産、売上高等の項目からみて重要性の乏しいことにより、連結の範囲から除かれるものであること。➢ 構成会社等の各対象会計年度に係る調整後収入金額が5,000万ユーロ相当額以上である場合において、当該対象会計年度に係る当該特定多国籍企業グループ等の国別報告事項が次に掲げる書類を基礎として作成されていること。① 特定財務会計基準又はその構成会社等の所在地国に係る所在地国等財務会計基準に従って作成されたその構成会社等の個別財務諸表② 特定財務会計基準又はその構成会社等の所在地国等財務会計基準に従って作成されたその構成会社等に係る企業集団の財産及び損益の状況を連結して記載した計算書類「簡素な実効税率要件」及び「通常利益要件」で使用CbCR(国別報告書)「簡素な実効税率要件」で使用 54 ファイナンス 2025 Jul.

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