SPOT*9) この給与適用除外額と有形資産適用除外額とを合わせて一般に「実質ベースの所得除外(SBIE:Substance-based Income Exclusion)」と呼んでいる。【UTPR(「各対象会計年度の国際最低課税残余額に対する法人税」)における税額計算】① グループ国際最低課税額のうち各国の IIR による課税額等を控除した残額(「グループ国際最低課税残余額」)の計算② 我が国で課税すべき UTPR 税額の総額(「国内グループ国際最低課税残余額」)の計算③ 納税義務者となる法人の負担すべき国際最低課税残余額の計算【QDMTT(「各対象会計年度の国内最低課税額に対する法人税」)における税額計算】① 特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等のうち、我が国を所在地国とするものに係る構成会社等単位の所得金額及び税額の計算② 我が国の実効税率(「国内実効税率」)の計算③ 我が国を所在地国とする構成会社等が負担すべき QDMTT 税額の総額の計算④ 納税義務者となる法人の負担すべき国内最低課税額の計算① 構成会社等単位の所得金額及び税額の計算特定多国籍企業グループ等について進出先の各国・地域において最低税率 15%(法人税法上は「基準税率」(法法 82 三十一)と呼ばれる。)以上の税負担が確保されているか否かを判断するに当たっては、特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等の所在する国・地域(「所在地国」(法法 82 七))ごとの実効税率る必要がある。国別実効税率は、所在地国単位での一定の所得に対する税負担の割合であり、その所在地国にある各構成会社等ごとの「個別計算所得等の金額」(法法 82 二十六)と「調整後対象租税額」(法法 82 三十)を算出することが、その計算の起点となる。「個別計算所得等の金額」とは、特定多国籍企業グループ等の最終親会社等の連結等財務諸表の作成の基礎となる各構成会社等の個別財務諸表に係る会計上の純損益(「当期純損益金額」)に一定の調整を加えることで得られる金額であり(法法 82 二十六)、調整の結果、「個別計算所得等の金額」が正の値となるときには「個別計算所得金額」、ゼロ又は負の値となるときには「個別計算損失金額」と呼ばれる(法法 82 二十七・二十八)。また、「調整後対象租税額」とは、当期純損益金額に係る法人税等であって「対象租税」(法法 82 二十九)に当たるものの額を基に調整を加えた金額である(法法 82 三十、法令 155 の 35)。この調整においては、例えば、構成会社等の持分を有する他の構成会社等(親会社等)が CFC 税制により課されている税額や、税効果会計の適用によって計上される法人税等調整額などが考慮される。② 国別実効税率の計算①で計算された各所在地国の構成会社等ごとの調整後対象租税額の合計額(「国別調整後対象租税額」という(法法 82 の 3 ②一イ(3)(i))。)が、個別計算所得金額及び個別計算損失金額のネットの合計金額(「国別グループ純所得の金額」という(法法 82 の 3 ②一イ(1))。)に占める割合を求めることで、その所在地国にある構成会社等全体としての実効税率に相当する「国別実効税率」を計算する(法法 82 の 3 ②一イ(3))。③ グループ国際最低課税額の計算各所在地国ごとに、国別グループ純所得の金額から、所在地国内の構成会社等に係る一定の人件費(給与適用除外額)及び有形資産の額(有形資産適用除外額)を控除*9 した残額に対して、基準税率から国別実効税率を控除した割合を乗じることで、国別グループ純所得の金額のある所在地国において、国別実効税率が基準税率を下回ることによって生ずるべき税額である「当期国別国際最低課税額」(法法 82 の 3 ②一イ)が計算される。また、所在地国において QDMTT が課されている場合には、この金額から更に QDMTTによる課税額(法法 82 の 3 ②一ニ)を控除する(法法 82 の 3 ②一)。(「国別実効税率」(法法 82 の 3 ②一イ(3)))を計算す 46 ファイナンス 2025 Jul.【IIR における税額計算】
元のページ ../index.html#50