ファイナンス 2025年7月号 No.716
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令和7年度改正にて創設SPOT図表 2 グローバル・ミニマム課税の概要所得合算ルール(IIIIRR))軽課税所得ルール(UUTTPPRR))国内ミニマム課税(QQDDMMTTTT))IIR の課税対象になっていないものがある場合には、れ UTPR 課税を行うこととなる。されるルールであった場合、親会社等を軽課税国に移転し、IIR 導入国に子会社等を移転させることによる租税回避に対抗できないことから、こうした場合にはUTPR により課税を行うこととして、IIR による課税を補完する機能を果たすように設計されている。すなわち、多国籍企業グループ内の会社等の所在地国のうちに実効税率が 15%に満たないものがある場合には、まず、その満たない部分の金額について親会社等の所在地国が IIR 課税を行い、その上で、各所在地国における実効税率が 15%に満たない部分の金額のうちに各所在地国のうち UTPR を導入しているものがそれぞこのように、IIR と UTPR の間では IIR による課税が優先し、IIR の適用後の残額に対して UTPR による課税が行われることとされている。多国籍企業グループ内の会社等が自国に所在する場合、自国内の会社等に係る実効税率が 15%を下回る場合には、他国から IIR や UTPR により課税を受ける○ 年間総収入金額が7.5億ユーロ以上の多国籍企業が対象。一定の適用除外を除く所得について各国ごとに最低税率15%以上の課税を確保する仕組み。可能性がある。この場合、その多国籍企業グループにとっては 15%を下回る部分の金額についていずれの国のグローバル・ミニマム課税で課税されるかは基本的に問題ではない一方、実効税率が 15%を下回る所在地国にとっては、実効税率 15%に至るまでの部分をみすみす他国に課税されるままにしておく理由はない。こうした状況を念頭に、QDMTT は、多国籍企業グループ内の会社等の所在地国の実効税率が 15%に満たない場合に、当該所在地国がその満たない部分の金額について、他国の IIR や UTPR に先んじて当該会社等に対して課税する仕組みである。QDMTT による課税が IIR や UTPR による課税に優先することで、一般に導入国にとって、QDMTT は、他国の IIR や UTPR課税から自国の歳入を防衛するための仕組みとして機能することとなる。これらのいずれのルールにおいても、実効税率の計算はグループ内の会社等の所在地国ごとに行われる。したがって、例えば、ある国に複数の子会社等が所在している場合には、個々の子会社等ごとに実効税率の計算を行うのではなく、当該複数の子会社等をまとめ同一グループ関連企業同一グループ関連企業同一グループ関連企業※日本でQDMTTが課税された場合、IIR・UTPRの課税は行われない。X国税務当局日本税務当局日本税務当局日本税務当局親親会会社社子子会会社社等等子子会会社社等等親親会会社社等等関関連連企企業業≪日日本本(通常の税率)≫≪XX国国≫第2の柱(グローバル・ミニマム課税)子会社等の税負担が最低税率(15%)に至るまで課税親会社等の税負担が最低税率(15%)に至るまで課税自国に所在する事業体の税負担が最低税率(15%)に至るまで課税※ 令和5年度改正にて創設。令和7年度改正でも制度の明確化等の観点から見直し。15%未満の軽課税の場合15%未満の軽課税の場合15%未満の軽課税の場合 44 ファイナンス 2025 Jul.(2)QDMTT

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