資産運用課証券課保険課銀行第二課銀行第一課総務課SPOT 監督局(出所)金融庁*3) https://www.fsa.go.jp/common/about/kaikaku/openpolicylab/kono_oral.pdf新発田龍史 審議官に聞く、金融庁の過去と現在図表 4 監督局の組織図をする方向に舵を切っています。もちろん、事業を行う上でのリスクや利益相反については議論を行います。逆に、これらの点をきちんと整理できれば、根掘り葉掘りあらゆることを聞く必要はないともいえます。銀行業高度化等会社の設立認可については、最初の相談から 1 年近くかかっていたものが、認可プロセスの簡素化、効率化によって、2~3ヶ月くらいで処理できるようになりました。しかしながら、金融機関の方とお話ししていると、金融庁に相談を持っていく前に内部で潰されてしまうプロジェクトも存在しているということに気づきました。若い人が斬新なアイディアを出しても、「うまくいかなかったら誰が責任を取るのか?」「本当に金融庁が OK すると思っているのか?」などと延々と議論しているうちに頓挫してしまうようなのです。それを考えると、実証実験などの段階で認可を求めるというのは過剰規制なのかもしれないという考えに至りました。およそ今の事業会社で、実証実験をやってみようという時に当局の認可が必要なところは金融機関以外にはないと思います。法律を学んでいる方はご存じかと思いますが、「業務」として行っていると言えるためには、反復継続性を勘案するという考え方があります。こうした考え方を参考に、銀行の業務範囲規制との関連においては、実証実験で色々試している段階はまだ業務とはいえないのだから、その時点であらかじめ当局に認可をもらう必要はないと整理しました。ただ、実証実験なので、ダラダラとなし崩し的にやるのではなく、期限を決めと思います。金融庁の国際部門を支えてこられた河野正道さん(元金融国際審議官)のオーラルヒストリー*3 を読むと、銀行監督当局同士で、金融セクター全体としてどう見えるのだという話をするときに、日本の金融庁のように金融システム全体をカバーする広い視点を持っている点は、日本の国際的なプレゼンスという点で極めて大きな強みになっているのだと気づかされます。金融庁は、過去の経緯からグローバルな比較では変わった組織ともいえるものの、一つの組織が色々なところに網を張っているという意味で、対外的に見ると、ものすごいアドバンテージがあるとも言えます。服部:先ほど監督や検査の話を伺いましたが、監督と検査は現在、どういう体制で対応されているのでしょうか。新発田:銀行の監督については銀行第一課・銀行第二課で対応しています。銀行第一課は大手銀行、すなわち、三メガやりそな銀行、三井住友信託銀行、SBI 新生、あおぞら銀行等を担当しています。銀行第二課は、地方銀行や第二地方銀行を担当しています。監督の仕事は、カウンターパートの銀行との面談から始まります。例えば、新規事業を始めるにあたって、事業内容そのものについて説明を聴取したり、その内容によっては法令上の問題点はないかという照会を受けたりすることがあります。金融庁としては、銀行による新しいチャレンジが世の中のためになるのであれば、やらせないというよりは、できる限り後押しファイナンス 2025 Jul. 39監督や検査の体制
元のページ ../index.html#43