ファイナンス 2025年7月号 No.716
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SPOT○金融再生プログラム「平成 16 年度(17 年 3 月期)には、主要行の不良債権比率を現状(平成 14 年 3 月期 8.4%)の半分程度に低下させ、問題の正常化を図る」15.3%13.3%12.7%10.1%9.9%9.0%8.4%7.8%8.0%7.4%6.9%7.2%5.8%5.2%14年3月期※計数は金融再生法開示債権ベース。15年3月期16年3月期 17年3月期 18年3月期 19年3月期 20年3月期 20年9月期11.9%10.7%10.3% 10.3%8.0%7.1%6.5%5.5%4.5%4.0%4.0%2.9%2.5%2.9%1.8%1.5%図表 3 業態別不良債権比率の推移16.0%信用組合6.4%信用金庫3.7%3.9%地域銀行2.4%2.5%全国銀行主要行1.4%1.5%*2) https://www.fsa.go.jp/access/21/200902a.html(出所)金融庁*2金融行政の流れが変わるんじゃないかということをおっしゃったことを覚えています。不良債権問題の解決が峠を越えた局面で、市場まわりに関する問題がでてきたということです。実際、その後は、ライブドアによるニッポン放送買収事件、カネボウの粉飾決算、中央青山監査法人の解散等、世の中を騒がす事件が続発し、金融行政の主戦場も銀行セクターから資本市場に移ったような感覚を持ちました。こうした動きの一方で、市場まわりの制度整備も進みました。これまでの縦割り的な発想を改め、同じ活動には同じルールを、という考え方のもとで、機能や行為に着目した横断的な法制が求められるようになりました。つまり、銀行と証券会社と保険会社でやっていることが同じならば、同じルールが適用されるべきだということです。最終的には証券取引法を全面改正して、金融商品取引法(金商法)が 2007 年に作られました。*2服部:金商法は、金融ビジネスをするうえで非常に重要な法律ですが、金商法と金融庁の役割はどのように整理されていますか。新発田:金融商品取引法は金融ビジネスだけでなく、上場企業が上場企業としての責任を果たしていくためにも極めて重要です。法律には様々な内容が規定されていますが、大きく分けて三つあると思っています。14.0%12.0%10.0%8.0%6.0%4.0%2.0%0.0%一つは証券会社やアセットマネジメント会社などが、金融ビジネスを営む事業者として何をしていいのか、してはいけないのかを示すことにあります。二つ目は、上場企業には、上場することで誰からでも自由に資金調達できる特権が与えられていますが、その裏返しの責務として、企業の内容について情報開示を行い、透明性を高め、投資家に対して説明責任を果たす必要があります。こうしたルールも金商法に規定されています。三つ目は株式市場における取引の公正性が確保されるようにするための規律です。会社の関係者がインサイダー情報を利用して取引をしてはいけないとか、それ以外にも様々な不公正な取引が規制されています。国による金融システムへの関わり方にはいろいろあると思います。これから成長する産業、そして企業を国が具体的に選別して、国がお金を流すというやり方もあるかもしれませんが、市場メカニズムが発揮されることを通じてこれから伸びる企業に成長資金が投じられるようにするというやり方もあると思います。アメリカにダウという株の指数があります。30 社の構成銘柄は、時代の流れに合わせて入れ替わり、その時代の米国を牽引する企業が選ばれています。歴史のある指数ですが、大恐慌の直前に初めて選定された時の30 社のうち、リーマンショックの後に GM(ゼネラルモーターズ)が除外され、唯一残っていた GE(ゼネラル・エレクトリック)も 2018 年に除外されました。最近でもインテルと入れ替わりにエヌビディアが 36 ファイナンス 2025 Jul.市場機能の重要性

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