578SPOT 1 太平洋島嶼国のマネロン対応に関する国際基準の遵守と租税の透明化に対する支援2 太平洋島嶼国の送金回廊リスク評価の手法案のパイロット実施支援と評価結果の周知3 コルレス銀行関係の関連データの収集の促進4 現行の金融の健全性に関する情報共有枠組み等の分析と太平洋島嶼国への助言6 銀行セクターの事業可能な環境に関する診断的評価の設計と実施太平洋島嶼国と主要な太平洋のコルレス銀行関係の送金ルートの関係者が、クロスボーダーの官民連携事業や規制セーフハーバーの設計や実現性等を検討するプラットフォームの提供「クロスボーダー送金の改善に向けた G20 ロードマップ」に関係するイノベーション・変化等に関する地域戦略について、助言の提供デリスキングに関するアクションの整理とコルレス銀行関係の強靱化に向けた進捗を毎年報告する、「コルレス銀行関係強靱性フレームワーク」の開発*25) Pacific Islands Forum “REPORT: Outcomes of the Forum Economic Ministerial Meeting, FEMM 2022” 19 August 2022https://forumsec.org/publications/report-outcomes-forum-economic-ministerial-meeting-femm-2022*26) 財務省「日・太平洋島嶼国財務大臣会議の開催について(令和 6 年 5 月 3 日)」https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/convention/other/20240503.html*27) 外務省「第 10 回太平洋・島サミット(PALM10)(令和 6 年 7 月 16〜18 日)」https://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/ocn/pagew_000001_00252.html太平洋島嶼国からのコルレス銀行の撤退について(表 2)世界銀行報告書及び CBR ロードマップの 8 つの勧告の内容業務を継続して、そのようなリスクを受容するかどうかをシビアに判断せざるを得ない構図となっている。このような状況に対して、2022 年 8 月にバヌアツで開催された、PIF の経済大臣会合(FEMM:Forum Economic Ministers Meeting)で、地域からのコルレス銀行の撤退への対応について議論が行われ*25、PIF から世界銀行に対して、同問題の原因の特定及び問 題 解 決 に 向 け た 対 応 の 策 定 を 含 む 診 断 的 調 査(diagnostic survey)の実施を要請することとなった。同要請を受け、世界銀行は、太平洋島嶼国からのコルレス銀行の撤退に関する調査を行い、原因分析等の調査結果と問題解決に向けて PIF が取り組むべき 8 つの勧告(recommendations)を報告書として取りまとめ、2023 年 8 月の FEMM に提出した。FEMM は、同報告書を承認するとともに、FEMMの下に設置された次官級の実務者会合である Pacific Economic Sub-Committee Meeting(PESC)と PIF事務局に対して、8 つの勧告を具体化するロードマップの策定を指示した。同指示を踏まえて、PIF 事務局が、世界銀行の協力を受けながら、8 つの勧告を 37の必要なアクションに細分化し、「太平洋コルレス銀行 関 係 ロ ー ド マ ッ プ(Pacific Correspondent Banking Relationships Roadmap、以下「CBR ロードマップ」)」として取りまとめた。PIFでコルレス銀行の撤退への対応が議論される中、太平洋島嶼国から日本に対しても、本問題の提起とCBR ロードマップの施策の推進を含めた問題解決の取組に対する協力の要請があった。例えば、財務当局間では、2024 年 5 月に開催された「日・太平洋島嶼国財務大臣会議」において、「金融の健全性と包摂性」のアジェンダの下、多くの国より、同地域からのコルレス銀行の撤退が経済面だけでなく社会的にも悪影響を及ぼし、太平洋島嶼国の持続可能な開発の障害となり得るとして、強い懸念が示された。それらの懸念を踏まえて、日本と太平洋島嶼国の財務当局間で、会議後も同問題について更に議論していくことに合意した。*26また、2025 年 5 月に実施した第 2 回目の「日・太平洋島嶼国財務大臣会議」においては、「コルレス銀行関係の維持」をアジェンダとして直接的に取り上げ、日本と太平洋島嶼国の間で率直な意見交換を行った。大臣達は、コルレス銀行撤退の問題が太平洋地域の経済・社会の重大な脅威であることをあらためて強調するとともに、島嶼国側から、(後述する)世界銀行の太平洋島嶼国向け「コルレス銀行関係プロジェクト」に対する日本の資金支援をはじめとした支援の取組に対して深い謝意が示された。首脳レベルでも、2024 年 7 月に開催された PALM10において、太平洋島嶼国各国の首脳達から、コルレス銀行の撤退への対応の必要性について問題提起がなされ、同会議の成果文書である「共同行動計画」において、PALM パートナー(日本と PIF メンバーで構成)が CBR ロードマップの実施を支援するために、共に取り組むという方針が明記された。*27ファイナンス 2025 Jul. 25〈太平洋島嶼国における対応の動き〉
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