SPOT 太平洋島嶼国からのコルレス銀行の撤退について*11) 外務省「第 9 回太平洋島嶼国協力推進会議の開催」https://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/ocn/pageit_000001_00719.html*12) 「国家安全保障戦略」(令和 4 年 12 月閣議決定)においても、島嶼国を始めとする途上国等に対して、持続可能で強□な経済・社会を構築するための*13) 外務省「河野外務大臣の対太平洋島嶼国政策に関する政策スピーチ(令和元年 8 月 5 日)」https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000504746.pdf*14) 国際決済銀行(BIS)の決済・市場インフラ委員会(CPMI: Committee on Payments and Market Infrastructures)における定義では、「an arrangement under which one bank (correspondent) holds deposits owned by other banks (respondents) and provides payment and other services to those respondent banks.」を指すものとされている。*15) 日本銀行の決済システムレポート(2024)においては、この状況を「バケツリレー」方式と表現している。*16) コルレスサービスを提供する銀行は、ウォルフスバーグ・グループ(the Wolfsberg Group)という非政府組織が公表している質問事項 (CBDDQ: Correspondent Banking Due Diligence Questionnaire) に、毎年回答することとされている。この質問事項は、13 章 132 項目に及ぶ網羅的かつ詳細なマネロン等対策に関するコンプライアンス項目で構成されており、回答作成に当たっては、自行の評価に加えてコルレス先の銀行のリスク評価やリスク削減策の対応状況等の確認が必要となる。更に、リスクが高いと認められる国や金融機関に対しては、現地訪問や面談による実情確認が求められる場合もある。支援を行うことを明記している。(PALM10)を開催し、首脳宣言及び共同行動計画を発出した。また、PALM の準備として、政府の関係府省庁幹部が集まり、「太平洋島嶼国協力推進会議」が定期的に開催されている。*11太平洋島嶼国は、国際場裡で日本の立場を支持する重要なパートナーでもあり、日本外交における太平洋島嶼国の重要性は益々増している。*12 また、シーレーンの結節点という地政学的に重要な位置関係からも、日本政府が推進している FOIP 構想の主要なステークホルダーであると言える。*13また、日本と太平洋島嶼国の財務当局の間でも、様々なレベルで交流が行われている。2024 年 5 月より、ADB 年次総会の機会に、閣僚級の「日・太平洋島嶼国財務大臣会議」が開催されており、気候変動への対応、債務の持続可能性、金融の健全性と包摂性といった、太平洋島嶼国が直面する財務・金融分野の開発課題を対象に、太平洋島嶼国における実情と今後の具体的な協力方針について、率直な意見交換が行われている。併せて、日本財務省の幹部が定期的に太平洋島嶼国を訪問し、各国の財務省との間で政策対話を実施し、財務・金融分野の二国間協力関係の強化を図っている。コルレス銀行(correspondent bank)とは、国境を越えて行われる外国為替取引において、ある銀行(送金銀行:respondent bank)とその顧客(送金人)に代わり、資金決済等を代行する契約(コルレス契約)を結んだ、中継地点となる銀行のことを指す。*14通常、金融機関が海外で外国通貨による決済を行うためには、相手国で外国通貨建ての預金口座を保有する必要がある。ある A 国の送金者が外国である B 国の受取人にクロスボーダーで外貨を送金する場合、もし、送金銀行が B 国に支店を持っており、受取銀行が同一であれば、銀行内で決済が可能となる。他方、送金銀行の支店が B 国になく、送金銀行と受取銀行が異なる場合、外国現地で資金の取り扱いができない。そのような場合、送金銀行と受取銀行の間で、外国預金口座(コルレス勘定)を開設し、コルレス契約に基づき、SWIFT(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication)を利用して支払指図を行い、互いに開設している口座を用いて資金決済を行うこととなる。また、仮に送金銀行と受取銀行の間に直接コルレス契約がない場合は、それぞれの銀行とコルレス契約を結んでいる中継銀行を介して資金決済を行うこととなる(図 2)。送金人・受取人の所在国によっては、2 つ以上の中継銀行が介在する必要が生じることもある。*15なお、送金銀行と受取銀行、もしくは中継銀行との間でコルレス契約が締結されている業務提携関係を「コルレス銀行関係(CBR:correspondent banking relationship)」と呼ぶ。コルレス銀行業務を行う金融機関に対しては、金融活 動 作 業 部 会(FATF:Financial Action Task Force)が策定したマネロン・テロ資金供与・大量破壊兵器の拡散にかかる資金供与対策のための勧告(国際基準)を満たすよう、所在国の法令において、コルレス契約の相手金融機関のマネロン対応の態勢整備の状況、顧客のリスク評価、所在国のマネロン等リスクの評価をはじめとした厳格な審査が契約締結時及び締結後に継続的に求められている。*16従来、欧米の国際的な金融機関を中心にコルレスサービスが提供されてきたが、2000 年代以降、それファイナンス 2025 Jul. 21〈コルレス銀行の撤退の動向〉〈コルレス銀行とは〉3.コルレス銀行の撤退について
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