SPOT 202210.119.82.4▲ 4.80.0▲ 0.65.24.6▲ 0.50.14.90.420235.57.52.71.111.41.02.22.7▲ 3.20.41.73.92024e3.83.82.57.59.81.90.95.21.51.01.23.52025f2.62.62.68.85.32.0▲ 1.83.93.31.21.62.82026f2.82.92.74.72.82.02.33.02.81.41.32.3ファイナンス 2025 Jul. 192021▲ 2.3▲ 4.92.6▲ 11.7▲ 2.30.0▲ 1.68.50.21.84.60.2(出所)世界銀行「Pacific Economic Update (June 2025)」*5(注)2024 年は推計値、2025 年、2026 年は見通しの値となっている。2020▲ 10.7▲ 17.0▲ 3.4▲ 4.4▲ 10.10.5▲ 5.0▲ 0.60.3▲ 0.53.4▲ 3.3(前年比、%)太平洋島嶼国 11 か国フィジーソロモン諸島パラオサモアトンガバヌアツキリバスマーシャル諸島ミクロネシアナウルツバル太平洋島嶼国からのコルレス銀行の撤退について(表 1)太平洋島嶼国の実質 GDP 成長率(暦年ベース)*4) United Nations “List of SIDS” https://www.un.org/ohrlls/content/list-sids*5) The World Bank “Pacific Economic Updates”https://www.worldbank.org/en/region/eap/publication/pacific-economic-updates上国(SIDS:small island developing states)に分類されており、その地理的特性に由来するユニークな開発課題が存在している。*4例えば、国土が小さく人口が少ないため、規模の経済が働かない「狭小性」、離島をはじめ国土が広く散在しており、社会サービスを提供するコストが高くなる「隔絶性」、日用品の多くを輸入に頼っている一方で、海外の主要市場から遠く食料価格や燃料価格の価格変動の影響を受けやすい「遠隔性」、海に囲まれており、海面上昇といった自然災害に対する防災上の課題が多い「海洋性」といった開発課題がそれらの国の開発・成長の阻害要因となっている。特に、太平洋島嶼国にとって、気候変動による影響に対する脆弱性は重大な課題であり、ツバル等の海抜が特に低い島嶼国においては、海面上昇による国土の浸食が現実的な問題となっている。太平洋島嶼国は、歴史・言語・文化的背景の違いから、ミクロネシア、メラネシア、ポリネシアという 3つのサブ地域に分けられる。地域ごとに経済の前提状況も相当に異なる。例えば、メラネシアに含まれるパプア・ニューギニアやフィジーといった国は、人口や経済規模も他の太平洋島嶼国に比べて大きく、中央銀行がキナやフィジードルといった自国通貨を発行している一方、ミクロネシアのパラオ、ミクロネシア、マーシャル諸島は、人口や経済規模が小さく、また米ドル経済圏となっており中央銀行が存在しない。各サブ地域は、米国、豪州、ニュージーランドといった国々との間に歴史的な関係を有しており、安全保障協定や援助協定を結ぶ等、社会経済の様々な面で大きな影響を受けている。多くの太平洋島嶼国は、地理的に国土・資源・人口等の生産資源が限られ、主な国内産業が観光業や漁業に偏る結果、経済成長がそれら限られた産業の動向に左右されやすい構造となっている。2020 年から始まった新型コロナウイルス感染症のパンデミックにおいては、グローバルに旅行客の往来を含む社会経済活動が制限されたことで、表 1 にあるように、経済に大きな影響を受けることとなった。特にフィジーやパラオといった観光業への依存度が高い国は 2 ケタ以上の大幅な成長減を経験し、2022 年以降、ウィズコロナ政策への転換による観光客の受け入れ再開に伴い、徐々に回復基調に戻っている。他方、食料価格や燃料価格の価格変動の影響を受けやすい「遠隔性」により、ロシアのウクライナ侵攻に伴う物価・エネルギー価格の高騰の影響が経済成長の重しとなっている。*5また、太平洋島嶼国の多くは、経済規模の小ささから経済的自立が難しく、税収等の国内資金だけでは政府活動に必要な資金を賄えないため、政府歳入の多くを米国、豪州、ニュージーランドといった外国からの政 府 開 発 援 助(ODA:o f f i c i a l d e v e l o p m e n t assistance)等に頼る構造となっている。その結果、1人当たり国民総所得(GNI:gross national income)が高くなり、島嶼国としての脆弱性は解消されないまま、一部開発パートナーの支援対象外となってしまっている国もある。例えば、本稿の後段で詳述するが、パラオ、ナウル、ニウエ、クック諸島の 4 か国は、世界銀行の所得区分上、高所得国に分類されるため、低所得国向けの譲許的資金である国際開発協会(IDA:
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