ファイナンス 2025年7月号 No.716
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SPOT (写真 3)JADE 年次総会世銀特別セッション津田開発機関課長挨拶(提供:世界銀行)(写真 4)JADE 年次総会世銀特別セッション Gill 世銀チーフエコノミストプレゼンテーション(提供:世界銀行)世界銀行と日本開発経済学会との連携強化に向けた取組(写真 5)JADE 年次総会世銀特別セッション集合写真(提供:世界銀行)*11) 世銀が発表しているデータについては https://www.worldbank.org/ja/country/japan/brief/opendata など参照。また、MDBs と学術・研究機関との連携強化は、双方にとって、将来的に有為な人材を育成、確保する上でも重要です。筆者が世銀開発見通し局に出向していた際の経験を振り返っても、大学教授が討論者としてセミナーに頻繁に参加したり、共同で論文を執筆するなど、盛んに協力が行われていました。また大学院生が世銀本部を訪問しての意見交換会なども開催されていましたが、平素からの世銀のエコノミストと大学教授との連携が梃子になっていたようにも思います。また、実際に世銀のオフィスを訪問し、第一線で活躍しているエコノミストと意見交換を行うことは、学生達のキャリア形成に大きな影響を与えているのではと思う場面も多く、また、大学院においても世銀や IMF、米国財務省のエコノミストが受け持つ講座も多くありました。こうした協力の積み重ねにより連携を強化し、より長期的には世銀や ADB と JADE はじめ日本の学術・研究機関との共同研究や、インターンシップやサバティカルを活用した人事交流、更には奨学金プログラムとの連携など、多面的な連携の強化に努めて参ります。(以 上)レーバーを加えることが出来る、(イ)MDBs、例えば世銀は貧困、経済、気候変動、保健、教育、ジェンダーなど、様々なデータを自前で作成、あるいは取りまとめていますが*11、こうした「質の高い、あるいは網羅的な」データにアクセスすることができ、例えばより堅牢な検証を行うことが出来るようになる、(ウ)最先端の開発経済の実践に携わることが出来るようになる、などが挙げられます。他方で、MDBs にとっても、学術機関や研究機関との連携強化は、MDBs が「Knowledge Bank」であり続けるために不可欠です。昨今、途上国を巡る開発課題は加速度的に変化しており、MDBs は最新の開発経済の学説に触れ、自身の研究・分析手法をアップデートし、専門的見地から客観的な批評を必要としています。これらの点は、MDBs が加盟国政府と政策対話を行う際などにも重要です。ファイナンス 2025 Jul. 17

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