ファイナンス 2025年7月号 No.716
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(2025 年 4 月 23〜24 日)SPOT国際機構課長 池田 洋一郎/係長 竹川 優記/係員 原田 龍夫開発機関課長 津田 尊弘/係長 後白 翼国際調整室長 石田 良/係長 山岸 慶祐*1*1) 執筆者の肩書は、令和 7 年 6 月 30 日現在(G20)、G7 財務大臣・中央銀行総裁会議(G7)、国の 会 議 は、 第 80 回 世 界 銀 行・IMF グ ル ー プ 春 会 合(以下、「春会合」)に合わせて開催されたものである。遺 憾 で あ る 旨 発 言 す る と と も に、 米 国 に 対 し て、2025 年 4 月 21 日から 4 月 26 日にかけて、米・ワシントンにおいて、G20 財務大臣・中央銀行総裁会議際通貨金融委員会(IMFC)、世界銀行・IMF 合同開発委員会(DC)等の国際会議が開催された。これら以下本稿では、各会議での議論と、春会合に合わせて実施された日米財務大臣会談の概要を紹介したい。カナダが議長を務めた今回の G7 においても、イタリア議長国下に続き、ウクライナのマルチェンコ財務大臣の対面での参加も得て、ウクライナ情勢や世界経済について議論を行った。日本からは加藤財務大臣と植田日銀総裁が出席した。*1会合では、世界的な貿易政策における大きな変化や、高い不確実性によって特徴づけられる世界経済の見通しに焦点を当てた議論が行われた。国際機関からは、貿易政策と経済政策の不確実性の高まりが、世界経済の成長の重荷となっていると指摘がなされた。日本からは、米国による広範な関税措置の発動は極めてWTO 協定との整合性に深刻な懸念のある関税措置の一刻も早い見直しを求めた。また、G7 が解決すべき国際的な不均衡として、中国の過剰生産能力の問題を取り上げ、G7 は結束して、中国に対してその国内的な不均衡の解消を働きかけるとともに、国際経済システムがより均衡のとれたものになるよう協働していくべき旨を主張した。今回の G20 は、本年 2 月 26~27 日にケープタウンで開催された会議に続く、南アフリカ議長下で 2 回目の大臣・総裁級の会議となった。日本からは加藤財務大臣、植田日銀総裁が出席した。初日のセッションでは、世界経済に関する議論が行われた。本セッションにおいては、多くの国から米国の関税措置に関して言及があった。日本は、ロシアによるウクライナ侵略等の地政学的問題に加え、米国の関税措置と一部の国の対抗措置や、それらがもたらす不確実性が、足元の為替を含む金融市場を不安定にしている旨、発言した。また、経済及び金融市場の安定を維持するため、各国は、その動向を注視し、緊密に情報交換を行い、機動的に協力しながら必要な対応を採るべき旨を指摘した上で、自由で、開かれた、多国間貿易体制の推進と、国内外の格差や不均衡を是正するための建設的な政策対話が必要である旨、強調した。2 日目のセッションでは、国際金融及びアフリカの開発課題に関する議論が展開された。国際金融の議論では、日本からは、現在、ブレトン・ウッズ 80 周年を契機として、IMF の将来に向けたあり方の議論が行われていることに関連して、IMF の基本的役割を維持した上で、長期的かつ既存の制度に囚われない視点でその機能や組織のあり方を議論すべきであること、日本が引き続き国際開発金融機関(MDBs)を通じた多国間支援にコミットしていること、及び、債務問題について、G20「共通枠組」の実施の改善と、債務透明性の一層の向上が必要であることなどを発言した。ま 10 ファイナンス 2025 Jul.巻頭文1  G7 財務大臣・中央銀行総裁会議(2025 年 4 月 23 日)2  G20 財務大臣・中央銀行総裁会議2025年世界銀行・IMF春会合及び G20財務大臣・中央銀行総裁会議等の概要

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