連載各地の話題市域の約 8 割を森林が占める真庭市では、豊富な森林資源の徹底活用や生ごみ等の資源化により、バイオマス発電やバイオ液体肥料を生み出す循環型エネルギーの仕組みを構築。さらにデジタル技術を活用した地域スーパーアプリの導入で市民参加を促し地域経済活性化に取り組んでいます。真庭市で加速する、環境と経済が地域内で「回る」取組は、これからの持続可能なまちづくりのヒントが詰まっています。地方創生コンシェルジュ中国財務局岡山財務事務所長 小田川浩二「し尿」「浄化槽汚泥」をメタン発酵して液体肥料「バ真庭市くらしの循環センターでは、従来、廃棄物として焼却処理していた「生ごみ」と、水処理していたイオ液肥」に再生します。この過程で発生したメタンガスは、発電に利用しています。ごみ処理コストの削減や低コスト農業など循環型のくらしを実践しています。今後は、家畜糞尿等を活用したバイオガス発電による循環型酪農システムの構築を図っていきます。市民の 6 割以上が使っている、真庭市デジタル地域通貨「まにこいん」は、スマートフォンを使った電子決済機能や、歩数に応じて「健幸ポイント」が付与されるヘルスケア機能など、デジタル通貨と健康促進活動を連動させ、健康意識向上を目指し、地域経済の活性化とともに市民一人ひとりの生活の質向上につながっています。さらに、防災やこども・子育て、窓口案内、観光、移住定住といった内容に加え、ゴミ出しカレンダー、オンデマンド交通や公共施設利用の予約、休日夜間診療機関などの行政情報にとどまらず、事業者等が実施するイベント、ポイントキャンペーンなどの情報が集約された、日々の生活をより便利にする市民参加型の地域スーパーアプリ「まにあぷり」へと進化しています。市民や観光客は地域で起きている最新の出来事や、おすすめの観光地、イベントなどの情報に簡単にアクセスすることができ、地域経済の循環が促進されます。マイナンバーカード等により本人認証すれば、各種行政サービスのお知らせやアンケートが届き、さらに今後は行政手続きの電子申請の拡充やふるさと納税にも対応します。地域資源である木を従来からの製材にとどまらず、再生可能エネルギーとして活用することや、有機廃棄物を利用した循環型農業から生まれた農産物の地産地消、市外に流出していたお金が市内で循環する仕組みなど「回る経済」を確立させていきます。また、これらの取り組みを学んだり体験できる「真庭 SDGs・バイオマスツアー」を一般社団法人真庭観光局が行うなど、市民、企業、自治体が一丸となって、経済・環境・社会の 3 側面をつなぐ統合的な取組を行っています。地域資源とデジタル技術を活用した循環型のまちづくりが加速!真庭市 82 ファイナンス 2025 Jun.3.混ぜれば「ごみ」分ければ「資源」4.スーパーアプリ「まにあぷり」5.まとめ(まにあぷり)
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